「無断翻訳された状態のシナリオを評価される」ことの問題点について

色々問題あるとかないとか、で揺れてますが、
私が一番気になるのはこの部分かな……というポイントに重点を置いて話します。

【前置き】--------------

以下は例のサイトそのものへの批判というよりは、
「サイトが現状抱えてしまっている問題構造への個人的な意見/感想」であり、
サイトそのものの価値や意味を問うようなものではありません。

また、あのサイト自体の利用者の規模や、
どんな人たちが使っているのか、ということは、
異なる言語・異なる文化のユーザーである以上、憶測しかできませんので、

ひとまず「中国TRPGプレイヤーの一部の人が使っている」という大雑把な前提で考えます。


【サイトのこと】--------------

まず、国が違い文化が違う以上、
「ユーザーからウケるものも違う」という可能性、
「日本の現行プレイヤーにはウケても、
 違う文化ではぴんとくるものではないかもしれない」という可能性があるので、

「評価が日本とは異なる場合があるかも知れない」というのは当然のことと思います。

そこで、シナリオの作られた日本とは異文化に属する人が、
「同じ中国人/中国の文化圏でTRPGしている人的にこのシナリオどうだったのか」
を知りたいと思うことも、それはあるだろうと思います。

そうしたシナリオとの出会いであるとか、
どんなシナリオなのかの把握などを進めるサイトとして、
有用に使うことができるだろうという可能性は感じます。

「プロではなくアマチュアが、同人活動で作っているものへの評価」
が行われること自体の是非は一度置いておいて、

「そういう目的で使っているのだろう/需要があり、価値があるのだろう」と把握している、ということですね。

しかし、そうした運用をされるに当たっても、
一点、私は一個人として、強く疑問に思っている点があります。

それがタイトルで述べた、
「無断翻訳された状態のシナリオを評価される」ことの問題点です。


【「無断翻訳された状態のシナリオを評価される」ことの問題点】--------------

※この問題は
「シナリオ作者が中国語翻訳版を用意、あるいは認可して配布している」パターンには当てはまらないものです。

前提として、
日本の多くのシナリオは中国語版が存在しません。

いわば公式的には未翻訳という状態となり、
中国語で遊ばれることを想定していないものが殆どです。

このため、中国語翻訳版が存在するとすれば、
イコールで「シナリオを勝手に翻訳した人がいる」ということになります。

さて、無断翻訳自体の是非は、
シナリオの規約にもよるでしょうし、一度置いておくとして……
(規約NGなもんは、そりゃあダメですよ~!)

この場合、何が問題となるかといいますと、
「作者本人による、翻訳クオリティのチェックが難しい」ということが挙げられるかと思います。

大方の日本人は中国語がわかりません。

そうなると、例えば……
翻訳の際に誤訳が発生し、シナリオの伝えたい言葉が真逆になってしまっていたとしても、
誤訳に気付くこと自体が困難となってしまいます。

作者に相談せず翻訳されている場合などはなおさらで、
そもそも「翻訳されていることすらしらない」という状態は、
「クオリティチェック不可能」とすら言えるでしょう。

シナリオ作者に許可を取って翻訳している、というパターンもあるのでしょうが、
その許可は基本的に、
「シナリオを遊びたいと思ってくれた人が訳してくれるなら、どうぞ遊んで下さい」
という単なる善意でOKを出されているものが大多数であり、
「その翻訳ベースでシナリオを評価されること」までは想定していないものと思われます。

つまり、
「翻訳クオリティチェックまではさすがに出来ない
 =シナリオの価値、面白みが担保されているかまではわからないけど、遊びたいならいいですよ」
程度の、「個人利用」の範囲で想定して許可をしたはずが、

翻訳の品質によっては、
「シナリオ自体の価値を落とされた状態で評価されてしまう」ということにも繋がりかねない、ということですね。

「正しく翻訳されたら面白いかも知れない」物に対して、
その作品自体の問題ではない理由によって、
不当な評価が下されるかもしれない、という事態は、個人的には非常に悲しさと憤りを感じるものです。

しかし、これ自体は「個人利用の範囲」、
つまり「翻訳した人と、その人の周りで遊んでいる人がどう思うか」というレベルの話であれば、
致し方のないことですし、恐らく現状は防ぎようのないことだと思います。

けれども、その評価を、
「まだシナリオに触れたことがない人たちにも見える場所に書き込む」
ことは、また別の問題を生むものと考えます。

「シナリオ自体の問題ではない要因によって、イメージダウンに繋がり、不当な評価・扱いを受ける可能性」、
「今後シナリオに触れる可能性のあった人たちが機会を損失する可能性」、
これらが浮上する、というのがその問題点です。

私はこの部分に、
サイト自体に存在するであろう目的意識や有用性とのちょっとした矛盾を感じますし、
ごく個人的には、どうも納得できないものを感じてしまいます。

(この問題自体は、
 「シナリオ作者が中国語翻訳版を用意している」
 あるいは「認可して配布している=ある程度公式的なものとして公開している」
 ものには当てはまらないので、最初にそのように記載しました。)


【さいごに】--------------

くだんのサイトの管理人や利用者の方々と、
日本のTRPGプレイヤー・シナリオ作者の方々は、
互いに異文化の人である以上、
前提となる価値観が違う人が多い、というのは確かなことだと思います。

簡単に分かり合うことはできないと思いますし、
そもそも分かり合うこと自体が不可能かもしれません。

「言ってることをわかってくれない」って言ったって、
「そりゃあそうだよ(ほんとにわかんないんだと思うよ)」というレベルの話です。

国を隔ててもインターネットで繋がってしまった以上、
そして作品をインターネット上で公開した以上は、
そうした、分かり合うことも困難な人たちの目に作品が触れ、
評価される機会が存在すること自体は、致し方のないことと思います。

文化や考え方の違いから、
このサイト自体、評価されること自体に反感を覚える人もいるでしょうし、
それもまた、致し方のないことです。

恐らく、くだんのサイト管理人の方が対応時、
「無断転載ではない」と繰り返し発言しているのも、
こちらの国とは「無断転載」の定義やイメージ自体が異なっており、
そこが伝わってないからなんじゃないかなー、と個人的には推測しています。

日本人的には「フツーNGでしょ!」と思っても、
相手にはそれが「フツー」ではないかも、ってことですね。

そして、そうであれば、
その「フツー」の定義から伝えなければ、真っ当なコミュニケーションは望めないと思います。

さておき、同じ趣味を持っている人間として、
いがみ合うため、傷つけ合うためにしている活動では決してないだろう、
ということは感じますし、

このnote自体の結論としては、
「色々問題点はあるけど、今後交流が増え、理解が深まって、良くなっていくといいね」となります。

個々のシナリオの規約を破っている、であるとか、
権利者的にアウトなことをされている、であるとか、
このnoteでは大きく取り扱わなかった問題も、
一つ一つ解決していかなければいけないだろうと思いますが……


落とし所がなくなってくるのでこの辺りで。
最後までお目通しいただきありがとうございました。

読んでくれたあなたのTRPGライフが、
とっても楽しいものであることを祈ります!

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