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肋間神経痛(帯状疱疹、ヘルペス、胸の痛み)の鍼灸治療

疫学:肋間神経の走行に沿って生じる疼痛発作。

原因:椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊椎分離症、脊椎すべり症、脊椎圧迫骨折、脊椎腫瘍、脊椎カリエス、肋骨骨折、肋骨腫瘍、肋骨カリエス、脊髄腫瘍、脊髄くも膜下出血、帯状疱疹、脊髄癆など。疼痛は咳やくしゃみなどで増悪する。通常一側性で第5肋間(乳首の高さ)に好発する。

注意点:悪性腫瘍、気胸など各種胸膜疾患、呼吸器や心臓の急性疾患などとの鑑別が必要。

一般的な治療法:対症療法。

当院の治療法:基本的には背痛と同様に治療します。根本的な原因は背部筋群が肋間神経を神経根付近で圧迫することにあると推察されます。神経根付近で凝り固まった筋肉が血管や神経を圧迫することにより、抹消の胸付近に症状が出現するようです。実際に、背部筋群へ刺鍼することにより、症状が緩和されるか消失します。脊椎、椎間板、靭帯に異常が見られる場合は、鍼灸治療は適合しません。器質的異常が無く、筋肉のコリが原因であるような場合は、鍼灸治療が最も効果的です。基本的に、背中の筋肉が硬い場合は、脊椎付近で自律神経節や肋間神経が圧迫されている可能性があり、背部痛以外に、不眠、イライラなど多彩な自律神経症状の他、深呼吸ができない、肋間や胸が痛い、乳腺炎を繰り返す、胃が痛む、などの症状が見られます。起立筋群への刺鍼がメインになりますが、必要があれば、頭部、頸部、腰部へも刺鍼します。顎関節症(食いしばり、歯ぎしり)がある場合は斜角筋や胸鎖乳突筋が収縮したり、交感神経が優位になって、自律神経に異常を来すことがあるため、顎への刺鍼も必須となります。軽症であれば、1~3回の刺鍼で背中の痛みが減少するか消失し、自律神経症状も徐々に減ってゆきます。

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