夕暮れ、揺れる電車で (著:Ken)


「あなたに出会えてよかった。」


振られた。

3年付き合った彼女に今日振られた。
お互い大学生で、何かと忙しく時間を取れなかったことが原因だ。

最初は僕の完全な片想いから始まった。
高校が同じでマドンナのような存在だった彼女に僕は一目惚れだった。

当時の彼女には彼氏がいて、なかなか告白するタイミングはなかったけど
高校卒業のとき僕が告白して付き合うことになった。

大学に入ってからは、同じ県内の大学に通うことになった。
高校の時のように毎日顔が見れるわけじゃないけど、
時間があれば会いに行ったし、会いに来てくれた。

大学3年になって、お互い研究室に入った。
サークル仲間、ゼミ仲間との飲み会や旅行。
休日に会うことも少なった。

そして今日振られた。

もう少し彼女からの連絡を返していたら。

あの飲み会を一次会で帰って彼女と電話してたなら。

たくさん後悔が残る。
でも、悪いのは自分。

何も言えなかった。

彼女が別れを切り出してきたとき、
困惑と後悔から、何も言葉にできなかった。


「あなたに出会えてよかった。」


夕暮れが差し込む電車で、
その言葉は心にこだました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?