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感染流行から2年。自由記述回答から見る都民の意識変化-都民アンケート結果から

iCDC(東京都公式)

 こんにちは。東京iCDCリスコミチームです。

 リスコミチームではこれまで、合計6回の都民アンケート調査を行ってきました。2020年10月、2021年3月、そして今回の2022年3月と3回のアンケートのなかでは、自由記述回答もして頂きました。

 その傾向を踏まえ、今回のnoteではコロナ下での市民の皆さんから寄せられたご意見を振り返ってみます。
(以下、わかりやすくするためにそれぞれを(自由記述回答の)第一回、第二回と整理して記述します。)

 この後の説明では、ある程度の「見取り図」を踏まえて説明するために、自由記述回答に含まれるキーワードについて、それぞれの語の頻度をもとに行った分析の結果を示しておきます(下図;KH coderを使用)。

 この対応分析の図では、第一回調査(1_20-10, 回答数1,000)、第二回調査(2_21-04, 回答数10,000)、第三回調査(3_22_04, 回答数10,000)の、いわば「重心」が、赤い四角で表されていますそれぞれの赤い四角の周囲に集まっている語ほど、その時の自由回答で言及される頻度が高いことになります。
 したがって、例えば「心配」という語は第二回調査と第三回調査の水平方向の中間点少しうえに位置していますが、これは第二回調査でも第三回調査でも、「心配」という語が同程度使われていたことを示唆しています。

第一回調査[1_20-10]、第二回調査[2_21-04]、第三回調査[3_22_04]の
自由記述回答に含まれるキーワードについて、それぞれの語の頻度をもとに行った分析の結果。

赤い四角の周囲に集まっている語ほど、その時の自由回答で言及される頻度が高い。

 
 それでは、図を手がかりに都民の皆さんの自由記述意見を読み解いていきましょう。
(実際の分析では、この図だけでなく様々な分析を行っていますが、簡単のため以下では割愛し文中に盛り込みます)

○ 第一回調査(2020年10月)で目立った声

 サンプル数が大きく異なるので、第一回目は参考程度に留めておきますが、第一回目調査の重心[1_20_10]近傍にあるキーワード(以下<括弧付き>で記述)から読み解いてみましょう。

 この時期の都民の皆さんは、大きな<不安>を抱えながらも同時に<問題>の複雑さを理解し、どのようにバランスをとっていくべきか、ということについて危惧し、意見を述べていました。
 その多くは、ソーシャルメディアで目立つような「感染対策か経済か」といった二者択一の議論ではなく、どうやって複雑な問題の落としどころを探っていくべきか、という提案でした。
 一方、この時点では<周り>に感染者が少ないことから、回答者と周囲の緊張感の違いを述べた意見も多くありました。

 2020年10月の時点では、人々は漠然とした不安を周囲と共有し、またリスク状況を整理しようと考え、試みていた時期だと言えるでしょう。

○ 第二回調査(2021年3月)で目立った声

 この調査時期は、緊急<事態>宣言の実施が繰り返され、一般化した時期でした。
 半年前の第一回調査の際には<不安>を訴えていた人々は、それと逆に<安心>を求めた声をあげはじめます。ワクチンを<早く>普及させ、またこのパンデミックが<早く>終息して<欲しい>との願いと共に繰り返されました。

 また同時に、長引く自粛やままならない生活への疲れが目立ち、体調や経済も<悪く>なることで、こんなことになったのは何が<悪い>のかと思考しています。
 ただ、この<悪い>と非難された対象は、政治・政府、接触確認アプリ、会社までさまざまです。また、この<悪い>とされた中では、あやしげな専門家を起用して不安を煽る<マスコミ>の報道姿勢への批判も目立ちました。ただ興味深いことに、コロナも<悪い>ことばかりではなく、テレ<ワーク>や家族での時間の過ごし方が変わることにより、自分の働き方や人生を見つめ直すきっかけになった、などの意見も多く見られました。

 長びくパンデミックに疲弊し、悩んだり何かを批判しつつも、なんとか前に進もうと試行錯誤していた都民の姿が浮かび上がります。

○ 第三回調査(2022年3月)で目立った声

 最近おこなった第三回調査の特徴に入ります。早く<日常>に戻りたい、<いつ>戻れるのか、というという強い願いが繰り返されていました。そのなかでは、<インフルエンザ>を引き合いに出して、日常のなかで新型コロナを受け入れるあり方について丁寧に議論している声が多かったです。

 一方、これは質問紙調査からも伺えたことですが、回答してくださる都民の皆さんは、本当に辛抱強く、またきちんと対策をする傾向が強い方々です。
 <マスク>に関して周囲が緩んできたから引き締めるべき、などの意見が寄せられました。
 また、オミクロン株など相次ぐ変異株が登場した1年だっただけに、<重症>化の危険度を見極めたい、自分はどんな<症状>が残る可能性があるのか、など、<予防>対策の知識をアップデートし続けたい、といった前向きな意見が目立ちました。

 注目すべき点としては、今年の調査では、「飲み」「旅行」といったレクリエーション関係の言葉が過去よりも良く言及されていたようです。
これは長引くコロナ禍のなかで、飲みたい、旅行したいという人々の意見が集約されたのだろうとコメントの中身を見てみましたが、結果は少し意外なものでした。

 <旅行>に関しては、予想通り「早く自由に旅行したい」という声が大半でした。
 一方、<飲み>に関しては、
当然ながら「早く人目を気にせず<飲み>たい」という意見もありましたが、こうした<飲み>を渇望する人々は、どちらかというと少数派(約15 %, n=22/150, ランダムサンプリング)で、
半数近く
(48 %, n=72/150)は、無軌道な<飲み>を行う無頓着な人々への不満、無理に<飲み>会に誘いたがる上司への苦情などが目立ちました。

 
そして興味深いことに、残りの意見で目立ったのは、「上司に気を遣う不要な飲み会が減った」、「本当に必要な飲み会だけ行われるようになった」など、コロナのおかげで飲みかたや人間関係を見直した、など肯定的にとらえる意見でした(28 %; n=42/150 )。

 長引くばかりでなく、複雑化するパンデミックのなかで、都民の皆さんが情報をアップデートしつつも状況に適応し、また前向きに活路を見いだそうと思考しておられる様子が伝わってきます。

 以上はもちろん、「東京都のアンケートに答えてくださったかたが、またさらに時間を割いて書いてくださった自由記述回答を分析した結果に過ぎない」とも言えますので、過度な一般化には注意が必要です。

 しかし、こうして時間の流れを踏まえて大づかみに捉えることで、都民の皆さんが、コロナという災厄に見舞われるなかで、不安の中で状況を冷静に分析し、ライフスタイルを見直して対処していこうと努力されている様子が伺えました。

以上、都民アンケートの結果をお示ししました。

 都民のみなさんの新型コロナの感染流行のなかでの意識について理解を深めることができました。この結果は、今後の情報発信や体制整備に生かしていきたいと思います。

ご協力くださった回答者のみなさまに感謝いたします。

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