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専門家ボードのメンバーはどんな人?②(検査・診断チーム 石井 良和 先生)

東京 i CDCの専門家ボードに参画いただいている先生方を順番に紹介していきます。
2回目は、検査・診断チームの石井 良和 先生です。

Q.最初に自己紹介をお願いします。

A.東邦大学医学部微生物・感染症学講座の石井良和(いしい よしかず)と申します。この度、東京iCDC専門家ボードの検査・診断チームの一員に加えて頂きました。
私は、これまで細菌がどのようにして抗生物質に抵抗するのか調べることを研究テーマとしてきました。抗生物質が効かない細菌を耐性菌と呼ばれ、そのような菌が原因の感染症は治療に難渋することが少なくありません。もう少し研究のことをお話させていただくと、私は人のおなかの中に住んでいる、大腸菌の仲間のペニシリン耐性のメカニズムについて詳しく調べています。この耐性菌は、世界中の人や動物、食品、環境などからも見つかっていて、重い感染症の原因にもなります。そのような耐性菌への対策に重要なことは、国を超え、専門分野を超えて幅広い人と協力することです。
私は新型コロナウイルスについては門外漢ですが、これまで培ってきた知識と経験をもとに、少しでも東京iCDCの活動に貢献したいと考えています。

石井先生

石井先生2

(写真はいずれもSARS-CoV-2の病原体核酸検査実施の様子です。2枚目の写真の作業者が着用しているガウンは、入手が困難になったため、ビニール袋で自作したものを着用して対応しました。)

Q.次に先生の経歴を教えてください。

A.私は、日本大学理工学部薬学科を卒業し、長崎大学医学部付属病院(当時)の薬剤部に薬剤師として、約10年勤務しました。当時は多くの抗生物質が臨床応用されはじめ、感染症の治療に苦労しない時代が到来したと考えられていました。しかし、これらの抗生物質が効かない、いわゆる耐性菌が蔓延してしまいました。私はこのような耐性菌に興味を持ち、東邦大学医学部微生物学講座(当時)に異動しました。幸運にも、新たな耐性菌を見つけて報告することができました。耐性菌は私に取って重要な研究テーマですが、現在は、臨床検査の精度向上に繋がる基礎研究も重要なテーマだと考えて進めています。

Q.最後に都民の方へのメッセージをお願いします。

A.全ての検査は、正しい方法と手順で実施され、適切な結果が得られていることの検証が必要です。新型コロナウイルス感染症の診断のための検査法は作られてからの日が浅く、検査法や試薬などについての検証が十分とは言えません。東京都は、長年にわたり、臨床検査の精確性向上のための取り組みを続けています。令和2年度にはその一項目として、新型コロナウイルス感染症の検査について精確性の調査をしました。私はこの調査に参画して、調査とその結果に基づく改善の必要性を感じているところです。検査・診断チームの取り組みが、必要とされる感染症検査提供と、精確な検査結果に基づく質の高い医療により、東京都民の皆様の安心・安全な生活に繋がるように努めます。

お忙しい中、ご協力いただきました石井先生ありがとうございました。  東京 i CDCでは、今後も専門家ボードに参画いただいている先生の紹介記事をnoteにて発信していきます。引き続き、東京 i CDCの活動にご注目ください! 

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