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個人の好きをブランドにする“はじめの一歩”Vol.4

今回も前回の記事に引き続き、個人が“自分の好きなこと”でブランドをつくるときにまず最初に考えておくべきことについて話をしたいと思います。

今回は、これからのブランドづくりは『リアルは使い方が命』というテーマで話していきます。

ブランドをつくるときにお店など“リアルな場所”を固定で持つことは、「大きなリスクを伴うだけでなく、本当にすべきことの足かせにもなるので、最初のうちは避けるべきだ」というのは『投資を最小化せよ』の記事でお話しした通りです。

リアルな場所を持つ場合も、『移動式』『ポップアップ』『間借り』の方法で、できる限り投資を減らして必要に応じた有効な使い方をすべきというのが基本的な考え方です。

では、必要に応じた有効な使い方とは何でしょうか。

ここで前提としておきたいのは、従来のように「お店=モノを売る場所」という使い方だけではもう立ち行かない時代が来ています。デジタル化の大きな流れにより、オンラインを通じてモノを買う比重はどんどん高まっています。また、飲食でいうとデリバリーやテイクアウトのニーズも高まっています。昨今の小売業や飲食業の苦境を見ればそれらは歴然です。しかも、今回のコロナの影響でその流れはさらに加速しています。

お店に「売上」の役割だけを担わせるのは荷が重すぎるということです。

売上以外の役割を担わせて、売上の比重を減らしてあげるor無くしてあげることが、“リアルな場所”を有効に使うためには重要ということです。

これは、常設的な場所を持つ場合も、ポップアップストアなどの一時的な場所を持つときも同じです。

では、ここからは売上以外のどんな役割を持たせればお店が有効に使えるのか?を考えていたいと思います。

役割1:ユーザーとの信頼関係づくり

ブランドを知ってもらい、ブランドを好きになってもらうことに注力する、とうお店の使い方です。好きになって貰えば、オンラインや近所で買い物するときに自然と想起される存在になることができます。だから、そのときお店で買ってもらわなくてもいいということです。

そうなると、提供する店舗体験は必然的に変わってくるはずです。

店づくりでいうと、商品よりもブランドの世界観やものづくりの様子が全面に出た設計になると思います。それにより“ブランドの顔”がしっかりとお客さんに見え、ブランドの人柄がよく伝わり、ブランドが確かにそこに居るという安心感を与えることができます。

接客であれば、店舗スタッフに「売上ノルマ」という考え方がなくなるので、本当に良い商品に出会ってもらうためのブレない接客になります。そうすると結果的にお客さんの満足度は高まり、継続的なファンになってくれます。お客さんとブランドの『出会い』や『つき合い』を重視した体験を用意することがお店の役割ということになります。

また、さらに深いブランドとユーザーの『交流の場』としても機能すべきです。具体的に言うと「イベント」や「ワークショップ」などです。リアルでないと体験できない交流の機会をを頻繁に設けながら“場”という資産を有効に活用していくことが重要です。

さらに、体験の質自体をガラッと変えることも検討する必要もでてきます。例えば『ブランド体験エンターテイメント化』です。普段販売している商品やサービスでは表現しきれないブランドの提供価値を体験化して、ブランドのファンになってもらうという考え方です。単にブランドが伝えたいものを体験させるのではなく、ユーザーがわざわざ足を運んで行きたくなるようなエンターテイメント化された体験です。

このエンタメ化は、お店全体をそのままテーマパークにしてしまったUNIQLO PARKStarbucks Reserve Roastery Tokyoなどの事例を見てみるとわかりやすいと思います。

役割2:ブランド発信のメディア

もうひとつの役割としては『メディア』である。これは、“リアルな場所”はそのブランドの事業のメイン領域ではなく、サブあるいは一部でしかない場合が多い。

これは、hotel koe tokyoTrunk Hotelが例として分かりやすいです。koeの場合はアパレル、Trunkの場合はブライダルがメインの事業ですが、リアルな場としてホテルを持つことにより、ブランドの考えるライフスタイルや世界観を発信しているわけす。情報を五感で伝えることができるメディアなので、深い共感を生み出すことができます。

また、もっとライトな使い方もあります。

これは、先日記事にしたたなかいもが良い例です。このブランドは石焼き芋屋なので移動販売用のトラックがあるのですが、ただ焼き芋を販売するためだけに使ってはいません。この場合のもうひとつの役割は、“ミュージックメディア”です。元ミュージシャンであるというオーナーが作曲した「いしやきいものうた」を流すことで、ブランド固有の強みを発信しているのです。

役割3:ネットワークのためのコミュニティ

最後の役割は『コミュニティ』です。これは役割2と同様に、“リアルな場所”はそのブランドの事業のメインではなく他の所にあります。それは、人と人のネットワークの仕組みです。

例えば、Weworkの入居者はおしゃれなワークスペースとしてのオフィスを買っているのではなく、ユーザー同士のビジネスマッチングの仕組みを買っています。その仕組みの一部としてオフィスがあるわけです。

また、例えば6curryKITCHENという月額定額制のカレー屋の会員は、好きなカレーを良心的な価格で食べられる権利を買っているのではなく、カレー好きたち同士が繋がれる仕組みを買っています。その仕組みの一部として、カレー屋があるわけです。

このように、“リアルな場所”はコミュニティ・ツールのひとつとしての役割を担うケースが増えてきました。

まとめ

今回紹介したもの以外にもあるかもしれないし、これから先また別の新しい役割が出てくることは容易に予想できます。

いずれにせよ、これまでその場でマネタイズすることを役割として担わされていた“リアルな場所”は、別の役割を追加したり、別の役割に移行しないとしんどくなってきていることは確かです。

新しくブランドをつくるとき、“リアルな場所”の使い方を戦略的に考えておくことは非常に重要であると言えます。

僕のnoteではこれからも『これからの時代のブランドづくり』に役立つ情報を投稿して行きたいと思っています。特に、Brand Recipeでは、実際に自分のブランドをつくるときに必要となる手順をレシピ化してマニュアルにしているので、ぜひチェックしてみてください。

また、質問相談等にも可能な限りお応えさせていただきますので、ぜひご連絡ください。よろしくお願いします。

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