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標準化移行、AI・RPA活用における課題業務とは?~武蔵野市CIO×立川市CIO×都CIO①~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。今回は、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第20回は、「武蔵野市CIO×立川市CIO×都CIO対座談会」をお届けします!

※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

※この記事は全2回でお届けします。

令和4年1月20日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第20回座談会」として武蔵野市CIOと立川市CIOと都CIOの対談を実施しました。

参加者(敬称略)
武蔵野市CIO:武蔵野市副市長 笹井 肇
立川市CIO:立川市副市長 田中 良明
都CIO:宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔
都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤 洋之

標準化対象外のシステム連携

自治体が個別に取り組む課題業務をどう考えるか

―まずは標準化・共通化について、課題や取組状況を伺ってもよろしいでしょうか。

武蔵野市CIO:笹井(以下「笹井」)
システムの標準化と共通化の課題は4点あります。1つ目は業務フローの再検討です。既存システムや、独自施策のために導入した業務システムがあるため、今後国の共通標準システムに合わせた業務フローの検討が必要になります。2点目は標準化対象システムのガバメントクラウドへの移行ステップです。3点目は標準化対象外のシステムの移行を、どの基盤に乗せるかの検討です。4点目はシステム更改方針の検討に着手をしても、ガバメントクラウドの移行に関する情報や基準が不足している点です。

都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
ありがとうございます。非常に包括的にやってらっしゃることが伺えますね。

立川市CIO:田中(以下「田中」)
平成29年度より、立川市、三鷹市、日野市の3市がシステム共同利用として取り組みました。具体的には、約60業務について、調達したパッケージ標準への準拠を図り、移行を終えております。ガバメントクラウドへの移行についても、システム共同利用の取組の中で対応し、体制や作業内容は省力化を図れると考えています。

宮坂
ありがとうございます。既に標準化・共通化を大きく実行された中で、ガバメントクラウドの移行にはどのような課題があるか教えていただけますか。

田中(立川市)
国の仕様等が明確になっておらず、システム事業者の移行作業が本当に省力化できるか見えてない点です。また、国主導による対象業務の移行はもちろんですが、移行業務の外側にある、自治体が個別に取り組む課題業務をどう考えるかも課題と認識しております。

宮坂
17業務そのものの情報も欲しいと思われているでしょうし、その他対象外のシステムとの連携も見えてこないことが一番不安な点ということですね。武蔵野市様はいかがですか。

笹井(武蔵野市)
やはり国の共通仕様の対象外である業務をどの基盤に乗せていくのか、連動させるかが課題です。

RPAによる業務効率化と導入時の課題

職員が自分で自分の仕事を改善するようにしたい

―AI・RPAの利用促進についてはいかがでしょうか。

笹井(武蔵野市)
新型コロナウイルスを受けた令和2年度特別定額給付金の給付に関して、AI-OCRとRPAを申請の処理に活用し、迅速な給付を実現することができました。
具体的には、申請書の記載項目をAI-OCRでデータ化して、RPAで自動入力することにより、システムへの取り込みを実現しました。
その成果として、約7万4千件の入力業務を自動化でき、約75%、日数換算で43.8日分の稼働削減効果が得られました。
この経験を活かし、今後は他の給付業務や税務など、随時活用の幅を広げていくという状況です。
課題として、RPAの活用には、シナリオ作成や修正といった作業を実施できる人材育成が課題になっております。

宮坂
具体的にありがとうございました。立川市様からもRPAに関してコメントがございましたらお願いします。

田中(立川市)
立川市としても同様に令和2年度特別定額給付金事業の取組をいたしまして、短時間での処理ができています。
その他AI、RPA活用事例ですが、AI活用による議事録の作成から窓口多言語対応の翻訳等を始めとして、課税課、収税課、保険年金課でも活用しています。また、保育課ではAIを利用した入所判定を活用しています。導入により、2,080時間の作業削減効果がありました。保育園の入園判定通知も1週間から2週間早まり、利用者側の利便性向上に繋がっていると考えております。

宮坂
いずれも積極的に取り組まれていて凄いですね!都においても、今後様々なツールを導入したいと考えておりますが、最初はデジタルサービス局の職員が使用し評価しています。しかし、やはり現場で所管している職員が自分で自分の仕事を改善できるようにしたいと考えています。それを実現するためにはどのようなことが必要でしょうか。

田中(立川市)
立川市もまさにそこで苦しんでいる状況ですが、管理職といったトップダウンでの働きかけも大事だと思います。人材育成という面では、東京都さんの力を借りながら、様々なツールを研修等で使ってスキルを向上させていきたいと考えておりますので、ご支援をお願いできればと思います。

宮坂
管理職から提案されるかどうかも、現場にとっては大きいと思います。実際に作業する人だけでなく、管理職が知っているかも意識する必要がありますね。武蔵野市様はいかがでしょうか。

笹井(武蔵野市)
課題は3つ
ありまして、1つ目は従事している主管課職員の既存業務を見直すきっかけづくりです。それから2点目はワークライフバランスの視点を管理職も職員も強く持つことです。3点目は業務の自動化や、RPAの導入によって人為的なミスを防止できるという、リスクマネジメントの視点です。これらを先ほど事例に挙げました良い成果と共に全庁的に情報共有することも必要だと考えております。

宮坂
ありがとうございます。最後の情報共有につきましては、都も含め各区市町村で共有できるようにしたいと考えています。これを実現できれば、先ほど立川市様が仰られた管理職の意識も変わるようなきっかけづくりにもなると思いますので、是非今後も知恵の共有を皆さんと一緒にさせていただきたいです。

前半は武蔵野市様、立川市様の標準化移行、RPA活用時における課題意識について意見交換しました。後半もお楽しみに!

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