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”場所に捉われない働き方”実現のために~中野区CIO×都CIO②~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第16回は「中野区CIO×都CIO対談」をお届けします!

※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

この記事は全2回でお届けします。前半はこちら

令和3年11月10日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第16回座談会」として中野区CIOと都CIOの対談を実施しました。
参加者(敬称略)
中野区CIO:中野区副区長 白土 純
中野区 企画部長:高橋 昭彦
中野区 企画部情報システム課長:白井 亮
中野区 企画部住民情報システム担当課長:伊東 知秀
都CIO:東京都副知事 宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔
都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤 洋之

テレワーク推進

求められる環境づくり

中野区CIO:白土(以下「白土」)
コロナ禍におけるテレワークの推進というところで、都庁は数値目標を出されていたと思いますが、実は中野区はまだテレワークを導入出来ていない状況です。これからテレワークの導入を進めていこうと思っているのですが、現在都ではどのくらいの方がテレワークをされていますか?例えばテレワーク実施率や、テレワーク実施頻度ですかね。私なんかもテレワークを週1日くらいはしたいなと思っています。一般の職員の方ですとか、部課長、局長とか、数字は出されているのでしょうか。

都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤(以下「小澤」)
丸1日ではなく、午前だけ、午後だけといったテレワークもあります。本当に丸1日になると何割か?というところで、正確に掴んでないのが実態です。ただコロナ禍においてかなり厳しい状況下で人流抑制したいということがあり、宣言中は7割を目標にしておりました。時期的にはかなり良い数字になっている時があり、管理職、局長も自ら率先してテレワークを実施して、その数字までいったかなというところです。ただ緊急事態宣言が明けたのでもう戻っている感もあります。デジタルサービス局はもともと24階の執務室では座席数を6割しか用意していないというコンセプトで設計しています。全職員が来ると椅子取りゲームになるという世界なのでおのずと4割は半強制的にリモートになるという世界を作って今やってもらっています。

都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
都庁のテレワーク実施率はコロナのピーク時で7・8割くらいでした。ただそのテレワークの中には、半日とか、朝2時間だけとか、テレハーフと言っているのですが、ちょうどオリンピックもあったので、それでも良いと言っており、そのようなテレハーフ等も含めて7割・8割でした。

 白土
そこで課題が見えてきましたか?具体的な課題があったらお聞かせいただきたいです。

宮坂
まずは環境面が大事だと思いました。例えばWifiの品質が良くなかったりすると、一気に生産性が落ちます。今皆さんすごく良いカメラを使っていると思うのですが、カメラの品質、スピーカーの品質、Wifiの品質、こういったものを妥協してしまうとものすごく生産性が下がると体感的にすごく分かります。ここは費用面では妥協しない方が良いというのがよく分かる学びでした。また、テレワーク時にはビデオ会議が中心になる訳ですが、ビデオ会議特有のファシリテーションを覚える必要があるなと感じています。僕は元々民間で慣れていたのですが、対面とテレワークでは、議長の役割がテレワークの方がより大事です。そのため、ファシリテーションについて教育研修をやっていかないといけないと思います。これは意外と大事じゃないかなと思っています。最後にテレワークを補完するツールで我々がまだやり切れていないのがチャットです。テレワークで隣には居ませんが、常時チャットで繋がっていると仕事がしやすいのですが、現状のテレワークでは誰がどこにいるか分からない雰囲気になってしまいます。様々な良いチャットツールが出ていますので、そういったものがセットで導入され、ずっとチャット上でやり取りする中でたまにビデオ会議をするというのが体感的には良いのかなと思います。

白土
ありがとうございました。

宮坂
我々も来年度からやれるようにしようかと、部分的には始めているのですが、チャットの導入についてはどうですか?

中野区 企画部情報システム課長:白井(以下「白井」)
我々もテレワークを遅ればせながら進めていきたいと考えています。新庁舎に向けてはユニファイド・コミュニケーションという形で、そこの中で電話・チャット・Web会議等すべて統一したものを導入していきたいと思います。

宮坂
なるほど、勉強になります!ちょうど我々も都職員のネットワークがあるのですが、それをバーション2に切り替えようとしています。最終的にはバージョン3にして所謂ゼロトラストで職員が自分の端末をBYODで使えるところまでもっていこうと思っています。新ネットワークを作られる時にひょっとすると我々が取り組んでいることも参考になるかもしれません。ご興味があればすぐに担当をご紹介しますので是非おっしゃってください。

白井
来年度4月以降新庁舎のネットワーク設計に入っていく予定で現在仕様を固めている段階ですので、非常にありがたいです。

宮坂
我々も刺激になると思います。環境を良くしないとテレワークやデジタル化は中々難しいと思います。まず世間並みの環境を職員に使えるようにしていこうとしていますので、ぜひ意見交換させてください。

フリーアドレスと通信環境

安定した電話対応を行うには

白井
そこでお伺いしたいのですが、IP電話に切り替えていくことを考える中で、新庁舎では場所に捉われない働き方を目指していきたいと思っています。ただ音声通話に関していわゆるWifiでは、結構品質にバラつきがあり、既に導入している区や事業者からの不安も大きいです。東京都さんは全面無線を進めるうえで品質も担保していけるだろうというイメージ感で取り組まれていますか。

小澤
我々もIPフォンはやってはいるのですが、まだ完全無線ではなくLANに引っ張られている部分は沢山あります。フリーアドレスを導入するにあたっては公用携帯(スマートフォン)を使っていますが、導入後もツール特有の障害は出ており、そのメンテナンスも含めてまだ安定はしていない状況です。他にも音がずれる、電話を取るタイミングがずれるなど様々な課題はあります。一方で良くなったのは、スマートフォンにも業務用PCにも同じツールが入っており、マルチデバイスであるため、スマートフォン以外の端末で会話ができます。慣れてくると端末の方が良いと、スマートフォンも使わないで、ビデオ会議をしながら電話も来て、チャットもやるといった形で、使いこなしている職員はオールインワンでできるようになっています。ただ庁内デバイドと言いますか、若い人達は柔軟なのですが、年齢が上の世代はなかなか適応が難しいというのが正直なところです。

都デジタルサービス局戦略部長:深井
通話品質は時間帯にもよりますが、電話をして上手く音声が繋がらない時もあるので課題と思っています。あと先ほど言ったような適応に関しては、チャットやプロジェクト単位でのやり取りもできるようになっていますが、職員側が使いこなせていないというのが現状です。

小澤
我々も完全フリーアドレスと言いながら庶務担当のところは固定しています。特定の職員を指定して掛けてくる場合スマートフォンで問題ありませんが、そうではない代表電話宛に来た電話対応はやはり固定電話が必要だということで置いています。全部フリーにするという議論もありましたが、一部庶務担当は残しています。そういう意味では、比較的庶務は出勤しなければならないことが多くなっています。全体的なメリットは大きいと思っていて、役割分担でやるのは良いと思っています。

白土
ありがとうございます。

―今後もこのような機会を設けたいと考えておりますので改めてよろしくお願い致します。本日は貴重なご意見をありがとうございました!

本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!

執筆者:飛松 涼太(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)

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