世界最強に近づく日本のバドミントン 桃田賢斗、タカマツ組らのメダルラッシュに期待

一昔前までは五輪でのメダルを考えることすらできなかった日本のバドミントンであったが、リオ五輪の女子ダブルスで、「タカマツ」組(髙橋礼華 ・松友美佐紀)が見事に金メダルを獲得し、奥原希望も銅メダルと活躍したあと、一気に日本で最も金メダルに近い種目の一つとなった。リオ五輪でのメダルを期待されながら、賭博の問題で出場できなかった桃田賢斗も復帰し、今やランキング世界1位と堂々たる金メダル候補となっている。3月10日にも全英オープン2019で優勝し、その健在ぶりを示した。
男子はダブルスでも嘉村健士・園田啓悟組が世界3位、遠藤大由・渡辺勇大組が世界4位といつ優勝を狙ってもいい位置につけている。また女子の方でも、日本人として始めて世界1位になった山口茜(現在5位)や、現在世界2位の奥原希望が世界を相手に堂々たる地位を確立し、女子ダブルスでは「タカマツ」組(現在2位)の後塵を拝していたが、今は世界1位となっている福島由紀・廣田彩花組。ほかにも松本麻佑・永原和可那組(3位)、米元小春・田中志穂組(7位)と、TOP10に日本勢が4組ランクインしている。そして去年全英オープンで優勝した混合ペアの渡辺勇大・東野有紗組(世界3位)は今回の全英オープンでは惜しくも準優勝に終わったが、それでも金メダル候補に変わりない。日本のバドミントンは今やどのカテゴリーでも金メダルの可能性があり、なおかつ複数のメダルも期待できるという状態だ。(世界ランキングの順位は2019年3月5日現在のもの)
バドミントンが五輪種目となって以降、バドミントンは中国、韓国、インドネシアの三ヶ国の独壇場だった。これまで獲得しているメダル数は中国が41個、韓国が19個、インドネシアが19個で世界では他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せていた。一方日本は、ロンドン五輪以前はメダルの獲得は0であり、現在まで3つのメダルを獲得しているに過ぎない。
日本のバドミントンをここまで強くしたのは2004年11月からバドミントン日本代表のヘッドコーチに就任した朴柱奉(パク・ジュボン)の力が大きい。選手として輝かしい実績を持つ朴氏は日本のヘッドコーチに赴任してから選手のメンタルを強くすることや代表合宿を通して技術の向上を図るなど改革を進め、それが時間と共に効果を生んできた。朴コーチは何よりも「勝ちたい」という執念が勝利を呼ぶと言う。レベルの高い大会に出場し、世界のレベルを知りながら、勝つためにどうしたらいいかを考え、練習し、それが自信となっていった。
この朴コーチの指導により、日本のバドミントンの躍進が顕著になったのは、「オグシオ」の愛称で人気を博した小椋久美子・潮田玲子組の活躍だった。2007年の世界選手権で銅メダルを獲得するなど、国際大会で活躍するようになり、オグシオ組の活躍のおかげで国内でのバドミントン競技自体への関心も大きくなった。この頃から日本の競技者も自分も国際大会で勝てるようになれるという一種の自信のようなものが芽生えてきて、徐々に世界の舞台で好成績を残すようになっている。
今や国内での五輪代表争いが熾烈になり、世界で活躍しても五輪に出られる保証はないくらい強化が進んだ日本のバドミントンであるが、混合ダブルスで一度奪われた王座を中国勢が奪取するなど、他国も日本を標的として切磋琢磨して来ているので油断は大敵だ。メダルラッシュが期待出来る競技ではあるが、金メダルを獲り世界最強の称号を得るかどうかはこれからの選手たちの努力にかかっている。

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