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再編進むインターネットの動画メディア。 明日はどっちだ?

縦型動画が定着した理由は?

インターネットメディアの再編が進んでいます。日本テレビの同期入社だった森川亮さんと僕が「C CHANNEL」を立ち上げたのは3年前、2015年でした。
スマホの動画メディアを新しく立ち上げる際に紆余曲折はあったものの、「縦型で行こう」と心に決めてスタートした「C CHANNEL」。縦型動画は「うまく行かないだろう」という声も大きかったことを覚えています。それでも結果的に、現在の動画メディアは「縦」中心にトレンドはが動いているように思います。
じっさいに、個人による動画投稿には縦型が多くなっています。
僕たちが「C CHANNEL」を始める時に目論んだ通り、スマホは縦で使うのが基本で、そして人を撮影するならば、縦型がより親和性が高いのです。6月末にはインスタグラムが縦型動画のサービスを提供し始めました。縦型動画は一つのフォーマットとして定着する可能性がますます高まっています。

スマホ動画アプリも続々誕生

4月から「C CHANNEL」は「mysta(マイスタ)」というサービスを共同で始めました。ソフトバンク、TBS、松竹、集英社、をはじめとするメディア企業とコラボレーションしています。
アイドルやアーティスト、芸人やインフルエンサーたちをスマートフォン経由で応援する形のサービスです。スマホ版のスター誕生アプリとしてエンターティナーを育てる喜びと、お気に入りのタレントと直接やりとりができるところが売りになっています。

「SHOWROOM(ショールーム)」「17Live(イチナナライブ)」といったライブ系のサービスに加えて最近パワーをつけてきた「Tik Tok(ティックトック)」などのオンデマンド型の個人動画サービスは確実に盛り上がってきているように感じます。

CGM型とテレビ視聴型。2つの動画サービスの競争激化

Youtubeを最大のプラットフォームとした個人投稿型のプラットフォームがCGM(Consumer Generated Media)型です。ユーザー参加で、個人が投稿していく形。もう一つは、テレビ番組の見逃しといった従来のオンデマンドサービスです。この2つの動画サービスの体験が戦いを繰り広げているのが、現在の構図でしょうか。統計によればスマートフォンにおける個人行動の占有時間は「動画」の割合が若者を中心にどんどん増えています。この2つの方向性でのシェア争いがこれからますます激化することは間違いありません。
CGM型は日本では「ニコ生(ニコニコ生放送)」が最初に切り開いたものでしたが、自分でメッセージを発信してメディア化するトレンドはその後、中国を中心に先に大きくなりそれが日本にもいよいよ波及してきている気がします。

新しい形の発信者と受信者の形が生まれる

これからますます、個人やタレント性のあり方が変わるでしょう。発信者受信者の関係値もさらに変わってくるに違いありません。昔は情報を出す人、受けとる人がはっきり別れていました。それはメディアでも、タレントでも同様でしたが、現在は境界が曖昧になりました。新しい形の送信者、受信者が出てきて、相互受信し合うコミュニケーションが増えてきています。特に、インフルエンサーと呼ばれる人の増大はすごいものがあります。20世紀までは、ある程度権威がある人や、報道機関、研究機関しかオピニオンを表明することはできませんでした。いまや、誰もがオピニオンを発信できるようになりました。その時に重要なキーワードは「親和性」「共有性」です。それを獲得できる人は人気を得てフォロワーを増やしていくことになるのでしょう。

「Tik Tok」に感じる新しさとは

僕が特に注目しているのは「Tik Tok」です。遊びの延長に動画があり、同じテーマをいろんな人が遊び感覚で作るのが面白い。特に中高生時代のくだらないことにワクワクする感覚が見て取れます。そこにインスタグラムの次に来る動画を使った新たなコミュニケーションがあるような気がします。我々の「mysta」もその新たなコミュニケーションを切り開こうとしています。
世界的なトレンドになるかはこれからですが、インスタグラムは「かっこいい」「素敵」を表現するメディアでした。いまは少し、カッコつけたものをアップするのに疲れてきたような気がします。シャープなものが少し下火になって、もう少し間が抜けた簡単な表現に若い子たちのコミュニケーショントレンドが移っている気がします。ただ、この流れは一瞬のもので、すぐに変わる可能性も多分にあるのかもしれませんが・・・。

動画の特徴である変化率をどう表現するか

動画における特徴の一つが、画面の変化率の大きさです。変化の乏しい画像はすぐに飽きてしまいます。カッコいいものが、カッコいいものとして送られているだけだと、魅力が足らないということです。そこには「絵がわり」が求められるのです。写真の静止画像は一瞬を切り取ることで成立しますが、動画というメディアは「決定的瞬間」だけでは成立しないのです。ですから、「変化を何で表現するか?」が新しい可能性になると思うのです。

動的感情をを揺り動かせるアプリが生き残る

いま人気のある動画アプリは、エンタテインメント性が強い気がします。その理由をキーワードとして挙げると、「可愛い」「楽しい」「面白い」「ウキウキする」といった、動的な感情がベースにあるようです。
例えば、ユーチューバーは発信者意識が強かったと思いますが、「Tik Tok」はおもちゃのようです。人気があるCGMモデルの中ではいちばん「Tik Tok」が自由な気が今はします。自由だからこそ、カルチャーが生まれるのではないでしょうか。
彼らはショート動画として何が面白いかについて真剣に向き合っています。「C CHANNEL」もそこに3年間ずっと真剣に取り組んで来ました。文字から写真、そして写真から動画でコミュニケーションしていくという時代の流れがいよいよやって来たようなきがします。
「17ライブ」「ショールーム」はどちらかというと動画におけるライブチャットアプリですから、動画の面白さよりも、応援する人とのバーチャル握手会のようなものが受けていると思います。ライブですし、我々がチャレンジしている「mysta」や「Tik Tok」とは少し違うコミュニケーションのような気がしています。
次回は、テレビ視聴型プラットフォームについて語りたいと思います。


コンテンツプロデューサーの三枝孝臣です。メディアの現在と未来を僕なりの視点で語ります。ベンチャー企業経営者としての日々についても綴って行きます。