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【vol.1】宮城県の大学生が徳島で野球の仕事を始めた理由【現地インターン生連載】

初めまして!

宮城大学事業構想学群事業プランニング学類4年の阿部拓真と申します!

私は2022年の5月から今年の3月まで球団の現地インターン生として活動させていただいておりました。大学の名の通り、生まれも育ちも東北の宮城県で、徳島はもちろんのこと、これまで四国にすらこれまで足を踏み入れたこともありませんでした。

そんな私ですが、昨年の4月に4年生になったタイミングで大学を1年間休学し、さまざまなご縁があってここ徳島インディゴソックスの現地インターン生として採用していただいきました。中学生の頃から、将来は野球の仕事をしてみたいと思っており実際に球団を運営するってどういう事なのかを知りたく、大学生ながら独立リーグの世界に職員として飛び込みました。

この1年弱の活動を通じて、独立リーグに限らずともNPBや他のプロスポーツの運営に対して「もっとこうしたらいいんじゃないか」「この取り組みはどうだろう?」と外から考えていたことが、簡単には実行に移せない難しさを実感することが多々ありました。この記事を読んでくださっている方の中にもスポーツビジネスに興味がある方がいると思います。私も大学時代にスポーツチームと地域の関係性についてやんわりと考えたことがありましたが、やはり現場でしか感じることのできない現状や課題が多くありました。ひとえにスポーツビジネスといっても、NPBなのか、独立リーグなのか、はたまた他の競技なのかで中身は全く違ったものになると思います。そのような、良い意味でも悪い意味でも、スポーツチームで働くことの現実を生で体感して思ったことについてこのnoteに書かせていただきます。

まずは簡単な自己紹介から

このnoteを読んでくださっている方は、インディゴソックスファンの方はもちろん、将来スポーツチームで働きたい方、はたまた大学生の方など色々いらっしゃるかと思います。ですので、まずは少し私の経歴について書かせてくださいね。

休学という選択肢を知っていますか?

私は現在、宮城大学の事業構想学群というところに通っています。ここは公立大学なので、宮城県はじめとした東北の地域活性化に向けたビジネス・行政・デザイン等の勉強をしていきます。大学を休学しているとはいえ、私も大学2年生までは一般的な大学生らしく、アルバイトや遊びに没頭する日々を送っていました。しかし、もちろんそんな生活をずっと送れる訳でもなく「就活」を意識しなければならない時期がやってきます。例にも漏れず大学3年の夏頃から企業のインターンシップや説明会に参加していったのですが、そこである違和感を抱くようになります。それは「自分にとって就活をすることが一番ベストなのか」ということです。初めは他の学生と自分を比較することによる劣等感があったのかもしれませんが、自分にとってこれから40〜50年働かなければならない中で、たった1年人生のレールから降りたとしてもそれは悪い選択肢ではないと感じていました。そして何より、休学して未知の世界に飛び込むことの方が自分にとってとてもワクワクできていました。


ということで、自分の場合は何をやるために休学。ではなく、何をやるか決めずに休学という決断に踏み切りました。ですので、決断後は何をしようかとても迷いました。迷いに迷いが重なる中、ふとTwitterを見ているとある文字に目が留まります。そうです「独立リーグ」という文字です。前述の通り、自分はプロ野球チームで働いてみたいという思いが中学生の頃からありました。ですので、その瞬間「これだ!」という強い確信が生まれ野球チームでインターンすることを目指しました。

”わざわざ”独立リーグを選択した理由

おそらく、ここまで読んでいて「なんで独立リーグ?NPBの方が良くない?」と思った方もいるかもしれません。そこには自分なりの理由が2つあります。

1つ目は「受け入れてくれる可能性が独立リーグの方が高そう」というものです。NPB球団の中には数チームではあるものの、すでにインターンを募集している球団があります。そしてそれは長くても数ヶ月程度で、私が希望するような1年間ほどの期間受け入れてくれるものはありません。ですので、既にインターンとしてプログラムがある球団に対して、1年間の受け入れをお願いしても恐らく受諾してくれる球団はないでしょう。さらにインターンのプログラムが元々ない球団にしても、たった一人の学生を受け入れるために動いてくれるとも思えません。しかし、独立リーグの球団なら組織としてまだ足りていない部分が多く、可能性がまだあるのではないだろうかと考え選択しました。

2つ目は「経験できる仕事の違い」です。前述の通り、NPB球団は組織として完成されている部分が大きいと思います。ですので、たとえ自分がインターンとして参加できたとしても、経験できる仕事内容は限られたものになっているでしょう。営業や企画、チケットやグッズなど、ある一つの部門についてしか経験できなかったかもしれません。しかし、独立リーグであれば、球団経営に関する幅広い経験ができるのではと思いました。そもそもスタッフの人数が少なく、自分の考えたことをより実行しやすく、そして何より球団の一員として責任感を持って活動できるのではないかと思いました。

甘くない現実に隠れた希望

というような淡い期待を持ちつつ独立リーグ各球団のHPを見てみましたが、どの球団もインターンはもちろんのこと、スタッフの採用すら行なっていません。正直、そうだろうと感じていました。決して独立リーグの球団を蔑む訳ではなく、インターン生を募集している余裕なんて多分ないんだろうな、と感じていた部分もありました。しかし、そこで簡単に諦めるほど自分も甘い考えで休学したつもりはありません。ですので、覚悟を決めて北は北海道、南は沖縄まで30チーム以上の球団に「自分はこういう経緯で大学を休学します。1年間インターン生として面倒を見てくれませんか」とメールしました。おそらく返信なんてほとんど返ってこないんだろうと思っていましたが、その予想通り返信が返ってきたのは5.6チームほどでした。そして大体が「受け入れは難しい」「ボランティアなら募集している」という絶望的な内容でした。

しかし、ある球団だけは突然に「一旦zoomで話しましょう」と言ってきてくれました(実はもう1球団お話しを聞いてくれそうなチームがありましたが、途中で連絡が途絶えてしまいました…)。そう、その球団こそ徳島インディゴソックスです。このnoteを球団関係者やたくさんの方が見ることを承知でお話しすると、正直最初は「よりによって徳島…?遠すぎる…」という印象でした(もちろんそんなネガティブな印象は今となってはありませんよ!)。ありがたく連絡をいただいたにも関わらず、自分で連絡したのにも関わらず、あまりにも未踏の地からの連絡に少し怯えていた記憶があります。どこかで「福島とか北関東のチームなら地元から近くて安心だな」という気持ちがあったのも否定できません。それぐらい、自分にとっては徳島があまりにも未知の世界でした。

”徳島”を逃すか、逃すまいか

しかし、そんなことも言ってられません。覚悟を決めて独立リーグの世界でインターンをすると決めたのならば、その可能性を逃すわけにはいきません。ましてや、徳島という選択肢を逃せば自分はさらに路頭に迷います。ですので、「絶対に徳島でインターンしてやる!」という強い覚悟のもと、最初の面談に挑みました。

そしてどんな方がいるかも分からないまま挑んだ面談。そこには社長の南さん、運営マネージャーの米本さん、当時入社2年目の高島さんがいらっしゃいました。ここでもまた今だからこそ言えるかもしれない話ですが、最初は南さんの関西弁といかつさに少し圧倒されていました。関西弁の人とほとんど話したことがない自分にとっては、「あれ、怒られてる?」と勘違いしてしまうほど初めての経験でした。あれから1年が経って、最初どんなことを話していたかはあまり覚えていませんが、おそらく野球に対する自分なりの想いは伝えていたんだろうと思います。果たして最初自分はどんな人間として映っていたのでしょうか。

初めての面談から数日して、メールで「このインターンを通じて挑戦したいことは何かをまとめて欲しい」と連絡がありました。私にとってはもう徳島でのインターンに挑戦することしか考えていなかったので、なぜかそこで「徳島インディゴソックスがやってみたら面白いんじゃないかと考える100案」についても勝手に考え、それらをパワポにまとめて球団に送りました。その後2回目の面談で南社長に対してそれをプレゼンしました。案の内容はともかく、自分の熱量を伝えたかったのだと思います(ちなみに南社長はスタバからzoomを繋いでくれました)。

今振り返ってみるとなんのこっちゃ状態ですが…

その後球団スタッフ内のmtgを経て、自分のインターン生としての受け入れが決まりました。実は球団的にもスタッフが一人抜けるタイミングで人手が欲しかったという事情もあったらしく、本当に奇跡かのように徳島でのインターンが始まることとなりました。

いざ、未到の地へ。

下見を兼ねて初めて徳島に来た時の一枚

という流れで、私はここ徳島インディゴソックスでインターンをしておりました。今振り返ると、独立リーグ30球団以上に連絡を入れるなんて自分でも良くやったことだな、と思ってしまいますが、当時はそこに対する恐怖心なんて全くありませんでした。それぐらい自分にとっては野球の世界に飛び込むという未来に対してワクワクしていたんだと思います。じゃなかったら絶対に躊躇していたでしょうから。

次回の記事では、このインターン期間中の仕事でも半数近くを占めた「試合運営」について書かせていただこうと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

阿部拓真