私たちは今、企業のブレーキとアクセルを同時に、しかも丁寧に踏み分けないといけない

先週、エステーの鹿毛さんと一緒に「いま、できることを一緒に考えてみる」という勉強会を、アジャイルメディア・ネットワーク主催で開催させて頂きました。

その時に感じた話を、Yahooニュースに寄稿してみたのですが。

Yahooニュースには細かすぎるなと思って省いたものの、個人的に一番印象に残っている話を、自分も忘れないようにここにメモしておこうと思います。

それがタイトルに書いた「私たちは今、ブレーキとアクセルを同時に、しかも丁寧に踏み分けないといけない」という話です。

鹿毛さんが、東日本大震災と現在のウイルス感染拡大を比較した際の違いとして、企業を車に例えて説明されていたのは、こういうイメージの話でした。

東日本大震災の時は、全ての企業のマーケティング活動が一旦停止して、ある意味エンジンが強制的にストップされた状態だった。
日本中が自粛ムードに包まれ、各社はいつエンジンをかけるのか、周りを見ながらビクビクしながらタイミングを見計らっていた。

いまは、本当は一旦車を止めるべきなんだけど、多くの企業が惰性で動き続けてしまっている。これは実はとても危ない。

本当は止めるべきものは、ちゃんとブレーキを踏んで止めるべき。
でも、一方で、これからのために同時にアクセルを踏むことも考えないといけない。

本当はブレーキとアクセルを、今後のいろんなシナリオを考えて、丁寧に踏み分けないといけないのに、一部の企業は、早くこの騒動が終われば良いのにと、深く考えないまま車を惰性で動かし続けてしまっている。

同じ趣旨の話をad:chanのイベントでも話されていたので興味がある方はこちらも見て頂ければと思いますが。

難しいのは、外部からは企業がちゃんとブレーキとアクセルを同時に丁寧に踏み分けていることで、停止せずに動くことができているのか。
単なる思考停止の惰性で動いているだけなのかが見えない点でしょう。

特に、通勤自粛要請に対して、論理的に判断してどうしても出勤しなければいけない人だけが出勤しているのか。
まわりの人も出勤しているから、雰囲気で出勤しているのか、は本来は大きな違いがあるのですが、電車の中では誰がどっちなのかは見ても分からないわけです。


ただ、いま全ての企業が考えなければならないのは、このブレーキとアクセルの論理的な使い分けでしょう。

短期で考えると企業は全力でブレーキを踏むべきです。

政府からの自粛要請もそうですし、感染拡大を止めるために、できる限り社員の移動を制限し、自社が感染の伝播ルートにならない努力をすべきでしょう。

また、広告やPRのコミュニケーションも、脳天気なものは不謹慎と指摘されるリスクがありますし、あざとすぎるものや便乗商法に見えるものも控える必要があるでしょう。

飲食店や、小売り店はできるだけ日々の出血を止めるためにコストダウンをし、キャッシュを作り、出口の見えない不況に備えるべきでしょう。
根拠のない楽観論で現状維持をするのではなく、まずは思いきってブレーキを踏んで立ち止まり、冷静にゼロベースで考えないといけないタイミングではあるわけです。


ただ、中長期で考えると企業は全力でアクセルも踏むべきです。

今回のウイルス感染拡大によって、私たちの気持ちや、潜在意識は確実に大きく変わります。
やっぱり対面で話すのが一番だよね、と私は思っていましたし、いまも思ってはいるものの。

おそらくしばらくの間は、リアルの店舗やイベントなどの経済活動は縮小せざるをえないでしょう。
その結果、ビデオ会議やオンラインの宅配サービスなど、新しいサービスを使ってみた結果、経済活動の中心がそちらに大きくシフトする可能性も否定できません。

残念ながら、5月6日になったところで、基本的な状況が劇的に改善するとは思えませんので、ほとんどの企業はGWが明けるまで息を潜めて待っているわけにはいかないでしょう。

飲食店は宅配や通販にビジネスモデルの一部を切り替えていくべきでしょうし、メーカーですら工場で生産する商品のポートフォリオを根本的に考えなおす必要があるかもしれません。

企業人である私たちは、自分達の会社や事業をウイルス感染が終息するまで生き延びさせるために、アフターコロナの時代を見据えたビジネスモデルのシフトに向けて、全力でアクセルを踏まないといけないわけです。


日本は、幸いなことに、またウイルスと戦う最先端の現場の方々の努力のお陰もあり、欧米諸国に比べるとウイルス感染拡大のペースを長くおさえ込むことができています。

だからこそ、私たちは医療現場の方々の努力に報いる意味でも、今のうちにブレーキとアクセルを丁寧に踏み分けて、未来の日本のためにできる活動を見つけていく必要があるのかなと改めて感じる次第です。


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