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既刊紹介・執筆裏話②~『片桐酒店の副業』

 さて、すっかり秋らしくなってきましたね。
 という書き出しのまま放置されていた(酷い)既刊紹介、2作目です~。
 2作紹介するだけで何カ月かかってんだよ、と我ながらドン引きですが、この感じだと既刊紹介が終わるより先に新刊が出そうですね……。
 がんばります……。

※既刊一覧はこちらから↓(各版元ページにもリンクで飛べます)

『片桐酒店の副業』(新潮社→角川文庫)

 単行本では2012年、文庫本では2016年刊です。
 単行本でも文庫でも重版がかかり(文庫は現時点で5刷)、私の単著の中では一番多くの方に読んでもらえている作品です。その意味では、私の代表作……と呼んでいいですよね、たぶん。

 文庫化したあと、2018年1月には、ブックファースト様のイチオシ本「PUSH!1st.」にも選んでいただきました(詳細は以下↓)。

 書店の一番目立つところに、ずらりと面陳された自著!!
 それが目に飛び込んできたときにはもう、感動で鳥肌立ちっぱなし。期間にして1ヶ月強、全店で大きく展開していただきました。ゴリゴリ売ってくださった書店員さん方には感謝しかありません。
 全店で集計される文庫の週刊ランキングにも毎週上位にくい込んでいましたし、歴代の同フェアの中でも売上好調だったそうで、お店の期待を裏切らずに済んでホッとしました(笑)。
『絶対読得宣言!』という帯に惹かれ、手に取ってくださった方も相当数いるんじゃないでしょうか。
 そのフェアがなければなかったであろう、読者さんとの巡り合わせにも感謝、感謝です。

 さて、執筆の裏話ですが。

 この話を考えていたときのことは、よく覚えています。実はこの話、デビューが決まる前に書き始めていたのですよね。
『をとめ~』の新人賞応募を終え、さぁ次は何を書こうかと考えたときに、あらためて宅配便に焦点を当ててはどうか、と思ったのがきっかけでした。『をとめ~』にも宅配便の配達は出てくるのですが、その際の視点はあくまでコールセンター側。
 もっと直接、「ものを届ける」とはどういうことなのか、違う形で取り上げてみようと思ったんですよね。「なんでも届ける宅配便」というのがあったら面白いだろうな、と。
 で、一人旅と称して真冬の京都をうろつきながら、最初にプロットをまとめた3章の「悪意」です。あの日は芯から凍えるくらい寒くて、雪がちらついていたなぁ……。
 そうです、本書の中で一番アクが強い(そして好評?の)3章が、一番最初に頭に浮かんだのでした(笑)。

 その後、幸運にも受賞の知らせをいただきまして、書きかけだった『片桐~』もそのままデビュー2作目の原稿として進められることになりました。
 出版してくれる版元があるのか、不安は尽きなかったんですが、完成原稿を読んだ新潮社さんが手を挙げてくださいました。

 もしも『をとめ~』でデビューが決まっていなかったら、この『片桐~』の原稿ははたして世に出たのかどうか。どこかの新人賞に応募するにしても、ミステリ等と比べ、ノンジャンルものでデビューできる賞自体が少なそうだし……
(と、そういうことも今ならわかるんですけど、当時は戦略的視点をまったく持たずに書いていました。良く言えば楽観的、悪く言えば行き当たりばったり。小説を書き始めてから日が浅くて、業界の実情をろくに知らなかったからこそできたことかもしれない。無知ってコワイ)。

 ともかくも、確実に言えるのは、『片桐~』を世に出せていなかったら、小説家・徳永圭はとっくに消えていた、ということでしょうね。
 単行本のときにも、文庫化したときにも、刊行後には複数の版元からお声がけをいただきました。そのおかげでいろいろなご縁がつながり、今もこうして仕事ができている。
 あの日、雪の京都をさまよいながらプロットを考えていた自分を思い出すと、なんだか感慨深くもあります。
 まだデビューさえも決まってないけど、キミは将来、今考えてるその話に作家として支えられることになるんだよー。

 というわけで、私の目標は当分、これを超える新たな代表作を書くこと!
 倦まず弛まず、コツコツとがんばります。

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小説を書いています。5/8に新刊『ボナペティ! 臆病なシェフと運命のボルシチ』(文春文庫)発売。著作一覧はプロフィールをご参照ください。ここではTwitterに書き切れない四方山話や執筆の裏話などをつらつら書けたらと思っています。
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