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いちにち・いちとおこ

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日記のようなブログのようなエッセイのようなコラムのような。恋愛のことや、結婚のことや、助平なことや、時に真面目なジェンダーのことなどが、主な関心事。
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#コラム

わたしが病気だったころ。

わたしが病気だったころ。

ずっと長いこと双極性障害だった。

精神の病の悩ましいところは「今この人がそうである状態」に病名がつくところで、だからわたしのかつての状態に「双極性障害」の名前がついたことは納得のいく妥当な診断だったと思うのだが、結論から言うと、今わたしは「そうではない」。以前書いた稿で、「双極性障害だったのではなく、HSPが環境への不適応やストレスで鬱状態を起こしていたのではないか」と考察したこともあったが、そ

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わたしが怖かったもの。

わたしが怖かったもの。

 自分のため、というより仕事で考えたいことがあって、愛着に関する本や嗜癖についての本を数冊読むことがあった。ところが結局(いや別に「仕事のため」と「自分のため」は相反するものではないのだが)、愛着や嗜癖について学ぶことは(トラウマに関する勉強もそうなのだけれど)自分の困難を解いていく大きな一歩になったのだった。

 目が覚めたように自分の抱える困難の姿に気づいたのは、この本のこのくだりを読んだ時。

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「見えなくなるもの」に自覚的でありたい。【LIFULLドキュメンタリー視聴レポート】

「見えなくなるもの」に自覚的でありたい。【LIFULLドキュメンタリー視聴レポート】

 先月、株式会社LIFULLからご案内をいただき、同社制作のドキュメンタリー・フィルムの試写会に参加させていただいた。エイジズムをテーマにした『年齢の森』と、ジェンダーと多様性をテーマにした『ホンネのヘヤ』の2本である。

 わたしはエイジズムやジェンダーについて問題意識を持つライターのつもりだったし、LIFULL社もそのように思ってくださっているからお声がけいただけたのだと思う。しかしフィルムを

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マインドフル・セルフ・コンパッション、思いがけない言葉が浮かび上がり、そして涙。

マインドフル・セルフ・コンパッション、思いがけない言葉が浮かび上がり、そして涙。

 ここ2年ほどアプリを使って瞑想を続けてきたのだが、心理学の勉強を始めてから、マインドフルネスが認知行動療法のひとつであることを知り、臨床の場で使われているプログラムがあることを知るに至って、興味は一歩先に進んだ。少し前から、公開されている音声ガイドを利用して、マインドフル・セルフ・コンパッションに取り組み始めている。

 使わせていただいているのは、こちらの音声ガイド。そのうち、(お金の余裕がで

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ノーブラ天国:高齢女子の大人げないファッション雑話

ノーブラ天国:高齢女子の大人げないファッション雑話

 年相応、というものが何なのか、考えることは難しいのだが、年を重ねるごとにファッションがどんどん年相応から離れていっている。真面目なかっちりとした服装を求められる場が身辺からほぼ消えた、ということも大きい。ワードローブは「プチプラ・ユーズドリサイクル・子供服・メンズカジュアル」みたいなラインナップ。今日の格好は、ビームスのメンズ長袖TシャツLサイズ(古着屋で500円で買った)に迷彩パンツだ。

 

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【再掲】わたしは40歳で大人になった気がする。#聞いてよ20歳

猫野サラさんのnoteで見かけて、きゆかさんの私設コンテスト「聞いてよ20歳」に応募させていただくことにしました。再掲したのは、個人誌『離婚した時、もうセックスは終わりだなと思っていた。』所収のバージョン。エッセイ集としてのまとまりをつけるため、結末部に少し手を加えています。note公開時の最初のバージョンは、こちらです。

 子どもって不自由だ。大人の方が、ずっといろんなことができて、未来が開け

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これまでに書いた記事を集計・整理してみた。

これまでに書いた記事を集計・整理してみた。

 ふと思いついて試みてみたら、なかなか興味深い結果に。多く読まれる記事とスキの数が多い記事、スキの数が多い記事とコアに支持してもらえる記事は、ちょっとずつ傾向が違うんだな、と分かった。

◇多く読まれた記事(全期間:2017.2.28.~2020.2.9.)

1位:年の差恋愛はご高齢男女の特権。だから若さにこだわるな。
2位:ゲーム好きな男は結婚相手に向くのだろうか。
3位:006:元カノや元妻

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小林虹介さんの描くネコ。

トークの字数が足りなかったからこちらで。この記事は短いです。

小林虹介さんの描くネコの絵がとてもすき。彼らの顔を見つめていると、なんだかじわじわと泣けてしまう。まさに「なんかいいものが出てる」からだと思う。

タヌ彦さんの死を描いた「キャットピープルワンダーランド」は、いつ読んでも泣く。かなしいというより、やさしくちいさく、いとしくあたたかいから。

わたしが死んだ後は。

わたしが死んだ後は。

 こんなタイトルだからといって、別に死にたい気持ちが亢進しているとかつらい気持ちになっているわけじゃないです。今日はむしろ、元気。

 先日伯父が亡くなり、明日から火葬、葬儀と続きます。この1年は、うちのおじいさんネコ・ピーさんの死に始まり、友人の若い死、いとこの子のさらに若い死、そして今回の伯父の死、と続きました。お別れの多い年だった。

 わたしは夫も子供もいませんので、とりあえず、死ぬときは

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HSPは別にやさしくはない。

HSPは別にやさしくはない。

「HSPは繊細で傷つきやすい」みたいなイメージが普及していることに違和感があったわけだが、それと同じくらい違和感を持っているのが、「HSPは思いやりが深く他人へ配慮してしまいがち」というやつである。個人的な感覚としては、HSPは別にやさしくはない。

 思いやりが深いというより、起こりうる結果のパターンを膨大に算出してしまうだけだと思う。条件を変えた様々な場合のシミュレーションがダダダと走り、相手

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2019年にできたことできなかったこと、2020年にしたいこと。

2019年にできたことできなかったこと、2020年にしたいこと。

 2019年の初めに次の記事をポストしている。

 この記事の中で「2018年はやり切った!駆け抜けた!年だった」と書いていて、2019年はその勢いでもってさらに加速しようと、そしていけると思っていたのだけど、できなかった。体調が悪くなって、足を取られてしまった格好だ。

 2019年の学びは、「ああ、過去にあったことっていうのは、解決しないと先には進めないんだな」というか、「過去に傷ついた自分を

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加齢万歳【我が家のペット自慢】

加齢万歳【我が家のペット自慢】

 おばあちゃんネコがコネコだった頃、確かにわたしは彼女が年を取ることをとても切なく思っていたのだ。 わたしが仕事に出かけることを理解できず毎回毎回部屋のガラス戸にすがって泣くので、「こんなバカな子は、おばあちゃんになっても『おかあさんの子供』のままで、いつまでも泣くのだろうか」と思うとまじ泣きしてしまい、当事のブログに感傷的なポエムをしたためた。

 ところが19歳になった今、彼女はおかあさんがい

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どうか、憎むことのできない敵を、殺さないでいいように。

どうか、憎むことのできない敵を、殺さないでいいように。

  歌で、泣いてしまう。聴くだけでも泣いてしまうが、歌うと猶更泣いてしまう。「歌う」という肉体的運動は、感情を余計に歌の世界にシンクロさせる働きがあるように思う。

 去年、この歌を歌う機会があった。宮沢賢治の『烏の北斗七星』の一節を歌にしたものだ。

「祈り」 作曲:林光/作詩:宮沢賢治
岩手大学合唱団(2013.8.4)
於ローテンブルク聖フランシスコ教会

あゝ、マヂエル様、どうか憎むことの

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