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第1期V名人戦 V-B級5局目 自戦記

 Vtuberの、Vtuberによる、Vtuberのための棋戦「V名人戦」の第1期も中盤戦に差し掛かっております。詳細はこちらのTwitterや公式サイトをご覧ください。


◇第1期V名人戦について

 将棋の順位戦・名人戦を参考にし、棋力帯ごとのリーグ戦となっています。今回の私はV-B級ということで真ん中の初段~1級クラスです。本局の星取はこちらの画像をご確認ください。

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◇本局について


 まずはこちらの中継配信と、私視点の配信をご覧頂ければ嬉しいです。

 中継配信(※埋め込みリンクができなかったためテキストリンクとなっています)

https://youtu.be/sOiJ1pH2X9Y

 私視点の配信

 総譜


◇自戦記

 華やかな三間飛車党

 可憐な姿と同様に流麗な攻め将棋。爽やかな攻めにのって駒がさばけていく様は見ていて気持ちの良い攻めだと感じます。
 得意とされているのは三間飛車で、石田流からのさばきは波濤の如し。棋風にピッタリの作戦ではないかと思います。

 ということでこの攻めに負けないよう対策を考えたいところです。棋譜を拝見して特に想定した戦型は以下の4つです。
 フウロさんが先手なら
 ・先手石田流三間飛車vs△4四角型向かい飛車
 ・▲7五歩型角道オープン四間飛車vs角交換型向かい飛車
 私が先手なら
 ・3手目▲6六歩vs三間飛車△5四歩型
 ・3手目▲6六歩vs三間飛車石田流型

 お互いに変化球を投げなければこうなるかなというところです。というわけで3手目▲7五歩vs4手目△5四歩と、先手向かい飛車vs後手三間飛車の定跡を総点検して対局に望みました。


 難解な駒組み

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 実戦は想定していた▲7五歩型角道オープン四間飛車vs角交換型向かい飛車へと進みます。局面図は三間飛車に振り直されたところ。角交換をしている戦型では三間飛車はバランスを取るのが難しいのですが、そこに挑戦されるのがフウロさんらしいなと感じました。もちろん、どこかでバランスが崩れてくれれば指しやすくなりそうだという実戦的な目算もありました。

 長くなれば指しやすくなりそうとはいえ、三間飛車の速さと破壊力は軽視できません。フウロさんはコンパクトに囲いを済ませ、攻める準備を整えます。私の陣形は5三や3三が空いており技にかかりやすい形なため、飛車角桂歩が躍動すれば一瞬で崩壊してもおかしくありません。慎重に手を選び駒組みを進めます。

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 ▲7四歩に△6四歩は微妙な交換で、突かない方がいい可能性はあります。また、△7四歩▲同飛△6三銀では△7三銀や△6一玉が勝ったかもしれません。端的には▲7二飛成の余地がありそうなためで、詳しくはこちらのローランさんのnoteをご覧ください。

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 収まった本譜は△6一玉と寄りました。先手の端攻めが秒読み段階のため、飛車の横利きを維持して受けやすくする意図です。また、△8二金~7二玉とできれば端の憂いをほとんど消すことができます。


 波濤流の流れるような攻め

 中盤戦、ついにフウロさんの総攻撃が始まります。先手は玉形に発展性が少ないので、攻めるよりないという面はあります。怖いながらも後手としては望むところ。全力で受けていきます。

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 端に手を付けて▲8五桂と跳ねたのが最初の攻め。端攻めは読みどおりでしたが、突き捨てて単に跳ねるのは予想していませんでした。ただ、感想戦でも振り返りましたが▲9三歩△同香を入れてから跳ねるのが本筋だったかもしれません。本譜は△8四歩で桂馬を召捕りにいきます。

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 局面図、▲6六角は背筋が凍りました。読み抜けていた手で、飛車と8四の歩の両取りではひと目シビレています。冷静になってよく読むと運良く△4四角というピッタリした受けがありましたが、運がよかったとしかいえません。

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 以下、▲9三歩に△8三金が手厚い受け。すごい格好ですが、飛車の横利きが強く意外に耐久力がある形だと思います。
 図からは▲9四香△同金▲9二歩成△同香▲4四角△同歩▲8三角△5一玉と猛攻です。△5一玉の局面は▲7四角成△同銀▲同飛で大変かと思いましたが、感想戦では△7二歩と受けてそれでも後手が良さそうという結論でした。本譜は▲9三歩△同香▲9四角成△同香▲9三桂成△同桂▲7三金と手厚く攻められました。△5二玉は私らしい顔面受けで、玉のちからと飛車の横利きで受け止めようという意図です。

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 待望の反撃

 先程の図から▲7四金に△7二歩と打った局面はようやく攻めを受け止めたかなと思いました。このまま飛車を押さえ込めればハッキリしてくるので、△9八香成がそれを見込んでの銀取りです。続けて△9七角は飛車が縦に逃げれば銀を取れますし、本譜のように横に逃げてくれれば△7五角成が抑え込みと玉を睨んで味よしです。感想戦でもお伝えしましたが、この△7五角成でようやくハッキリ勝ちになったかなと思いました。

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 最後、△8三とで一瞬冷や汗をかいたとはいえ、と金を消して万が一にも負けないようにしたのは我ながら激辛流でした。もっと鮮やかな決め方が見つけられればよかったのですが……。


◇総評

 フウロさんの攻め、私の受けと棋風のハッキリ出た将棋でした。序盤から終盤近くまで激しい攻めが続き、受かっていたのは正直にいって指運に恵まれたように思います。
 結果的に全体としてはわずかに良い時間が長かったようですが、実戦的に勝ち切るのは大変に感じていたので、また攻めも受けも磨いてがんばります。

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