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テリファー

『テリファー』のレビューをしていきたいと思います。

まずはおおまかなストーリー、と言いたいがこの映画にストーリーなどない。ただひたすらに残酷でおぞましくて惨たらしい映画である。

一応適当に説明すると、「ハロウィンの日に現れるピエロの格好をした殺人鬼(アートザクラウン)が人を殺しまくる映画」である。
このピエロ以外にももちろん殺される役のキャラクターがいるが、まぁ〜キャラがうっすい。唯一物語後半に、おそらく幼い我が子を亡くして心を失ってしまったと思われる女性が出てくるが、本当にこれ以外のキャラは大してバックボーンは無い。
僕はそのキャラのバックボーンを掘り下げれば掘り下げるほど死んだ時のカタルシスは大きいと思っているのでこういう死にキャラを蔑ろに描くのはちょっといけすかない。


ブツブツ言ったが気になった点は作品通してこれだけで、全体の完成度はかなり高かった。
"スプラッタ映画としては"本当にレベル高い。
殺人鬼系スプラッタは、グロさ、ヴィランの魅力、恐ろしさ、あたりが重要なのでその3点について評価する。

まずは「グロさ」
これについては言うまでもないだろう。本当にグロかった。『哭悲』や『グリーン・インフェルノ』 なんてこれに比べたらカスや。
まず最初の犠牲者がピエロを店から追い出した飲食店の店員なのだが、主人公が店を後にしてからもう次に登場する頃には目鼻口に蝋燭突き刺さされて生首ジャックオランタンと化していた。一発目からフルスイングである。
その後主人公とその友達(こいつはピエロにダル絡みをしていた)の二人はピエロにひっ捕えられる訳なのだが、主人公が目を覚ますと目の前には例のピエロと裸で両足に縄をくくりつけられ逆さ吊りにされた友人の姿が。そしてピエロは主人公が目を覚ますと待ってましたと言わんばかりに切れ味の悪そうなノコギリを出して友人を股の部分からギコギコギコギコ。30秒くらいギコギコしてやがった。友人は首の辺りまで真っ二つにされてしまいましたとさ。(ちなみに胸を切られてる頃はまだ生きて叫んでるという脅威の生命力を持つ)
そのほかには、顔面を除く全身の皮をひっぺがしてそれを身に纏ったり、ロープにくくりつけた無数の医療用バサミで斬りつけたり、顔面を食ったりともう全部やべぇ。
しかもコイツのヤバポイントは「殺す事」じゃなく「痛ぶること」に重点を置いてるっぽいので痛そうな事しかしない。ジワジワジワジワ殺す。 グロすぎるからなのか知らないが、ちょくちょくモザイクで規制が入ってるところがまたグロさを増長させる。想像のグロとでも名付けようか。
とにかくグロさで言ったら右に出るものは現状僕の中ではない。

次にヴィランとしての魅力についてだが、これが一番良かったかもしれない。むしろアートザクラウンのキャラクターのみで成り立っている。コイツの魅力はまず「一切のセリフがない」事だろう。セリフがないというか、音を発さない。足を切られようが頭をぶん殴られようが悲鳴どころか吐息一つ発さない。そこがこのアートザクラウンがそこらの殺人鬼と格が違う事を表している。痛覚なんてはなから存在せずただ痛がる様子を演じているだけなのではとも思えてくる。こんな人間離れした一面を持つアートザクラウンだが、ガチで敗北しそうになるとすかさず足首に隠した拳銃を使う所がまた面白い。普通こういうホラー映画の殺人鬼はたいてい包丁だったり鉤爪だったり、己の慣れ親しんだ武器を使うように思うがコイツにはプライドなんてもんが無いので負けるくらいなら拳銃で一発かます精神を持っている。しかし本来の目的が痛ぶって殺す事なので、拳銃で致命傷を与えてしまった際にはそれまでの狂気に満ちた笑顔から一変して無表情になり、痛ぶる事もなく弾倉が空になるまで顔面に撃ち込む。
おもちゃが壊れてしまった子供のような悲しさを孕んだ表情をしていてそこがまた良いスパイスになっている。

次に恐ろしさに関してだが、これは実際見てもらわないとあまり伝わらないと思う。
例えば、この映画は基本アートザクラウンから逃げる感じで進むのだが、いかんせんアートザクラウンの底?が見えなさすぎて、バレてるのかバレてないのか分からないという恐怖がある。そのせいでいつバレてキャラが凄惨な死を遂げるんじゃないかと思ってハラハラする。
また、物語の基本的な舞台となるのがこのアートザクラウンの拠点でもあるアパートであり、密室での逃亡劇というだけあって圧迫感と焦燥感そして孤独感が半端なく、こちらも緊張して口ん中パッサパサになる。


総合評価 B+

近々3作目が公開されるらしいので非常に楽しみ。

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