2022年全日本MTB選手権XCC
大会名:2022年全日本MTB選手権XCC
開催日:2022年11月6日
開催場所:千葉県千葉市・千葉公園
カテゴリー:エリート男子
天 候:晴れ
コースコンディション:ドライ
リザルト:優勝
使用機材
バイク ANCHOR XR9
サスペンション SR SUNTOUR AXON
コンポーネンツ SHIMANO XTR M9100シリーズ
シューズ SHIMANO S-PHYRE XC9
ヘルメット Kabuto AERO R2
グローブ Kabuto PRG-8
ウエア Wave One
サングラス OAKLEY
サプリメント SAVAS(株式会社明治)
ヘッドバンド HALO
全日本MTB選手権XCCが今年も紅葉真っ只中の千葉公園で開催された。
自分にとっては昨年からの二連覇のかかった大会であり、怪我から復帰後の一番の目標にしていたレースである。
5月のtojでの落車による骨折、その傷口に菌が入ったことによる再手術と長期の入院によって、この夏は6週間自転車に乗れなかった。体力は落ちた上に諦めなければいけないことも沢山あったが、今はこうして再び自転車に乗れて大好きなレースの世界に戻ってくることができた。どれだけ多くの人に支えてもらったことだろう。本当に感謝したい。
そしてこのレースはブリヂストンの選手として走る最後のMTBレースでもある。18歳から所属した11年間、ブリヂストンとしてのMTB選手の活動は今日で終わる。チームとスポンサーに支えられたここまでの素晴らしい日々に感謝すると共に、その最後を勝利で締めくくることに強く懸けていた。
レース当日は絶好の秋晴れ。今回のコースは昨年と全く違うレイアウトで、断続的にパワーを出せる区間がほぼ無く、コーナーが多く道幅も狭い。テクニカルセクションも無いので集団がバラけないことが予想できた。また前走車をパスする区間が限られるので、中切れに巻き込まれないためにも常に2番手以内でレースを展開する必要があると考えた。
予選は無事に1位で通過。身体のコンディションと試走で選んだライン取りが確かであることを確認できた。タイトなコーナーでクリートが外れるミスがあったので、決勝に向けてペダルの締め付けを一段強くした。スタート時のギヤも一段重くすることにする。たったの20分間のレースでは小さなミスが許されない。いつも以上に妥協なく決勝に向けての準備を進めた。
そして決勝。1番コールで最前列からスタート。前日のXCE覇者の松本選手に続く2番手の位置に付けた。松本選手のペースが落ちたところで僅かな隙間から一気に追い抜く。最大のライバルと見ている平林選手と北林選手を中切れによって遅れさすことが狙いであったが、2人ともすぐに自分の後ろに付けてきた。そして平林選手がホームストレートで猛然とペースを上げたことで、すぐに3人の先頭集団が形成された。
登りも下りもコーナーの立ち上がりも全てで踏みまくる平林選手のペースは本当に強烈で付いていくのに必死であったが、ホームストレートの直線だけは後ろで身体を小さくして休めることができた。4周目で平林選手が踏みやめたところで先頭に上がるが、ここで踏み込んでも自分の後ろに付けていた北林選手が遅れるわけがないので、あえてスピードを落として体力の回復を狙う。
レース中盤、ホームストレートで牽制が入ったことで前3人のペースはさらに落ち、後ろから4名の選手が合流して7名の集団になる。しかし全く焦ることはなかった。このコースでは常に2番手以内にいることだけが勝つために必要な動きであり、後ろは何人いようが構わない。同様に脚をためている様子の北林選手の位置を気にしながら揺さぶりをかけるが、ピッタリとマークされていることを感じる。
登りセクションでは先頭で走っているときと後ろについていく時とではライン取りを変えるようにした。前にいる時は抜かれないようにイン側ギリギリのライン、後ろに付けているときはバイクが流れるようにアウト側のラインを使う。アウト側のラインの方がパワーが抑えられるので僅かに脚を温存できる。こうしたアイデアはシクロクロスをやっているからこそ生まれると感じるし、自分の強みである。
残り周回も少なくなってきたので勝つための最後の動きを考える。このタイトなコースでスピードの上がる最終周回に前走者を追い抜くのは非常に難しい。そのためラスト2周回から先頭キープでいく必要があると思ったが、少し早い残り3周の時点で先頭に上がってしまった。全開で踏むにはまだ早い。ホームストレートで後ろを見ながら流し気味に先行して残り2周回へ。できる限り脚を使わずにここまできた。ここからは一気にギヤをあげて一度も先頭を譲ることなくゴールまでいく予定であった。
しかしタイトな登りコーナーで北林選手が僅かな隙間にハンドルを刺し込んで抜いてくる。接触して転けそうになったので思わず声が出たが、「すみません!」とレース中にも関わらずしっかりと謝ってくれる。自分が逆の立場なら絶対に同じ抜き方をするだろうが謝る余裕はないと思うので、やっぱりリキは良いやつだなと思った(そしてイケメンである)
とは言え非常にまずい展開であった。もう抜けるセクションは殆ど残っていない上に、全開で走る北林選手を抜くのは簡単なことでない。こうなれば力勝負で先頭を取りにいくのではなく、相手が油断しているタイミングで追い抜くのが得策だ。
コース上で一息つける唯一の場所であるチップスター前のアスファルトのコーナー。ここでイン側にラインを取れば脚を使わずに追い抜けることに予選の時から気付いていたが、そのラインは一度もライバルに見せなかった。今こそ使う時だと集中する。早めに追い抜こうとするとバレるので、ギリギリまで我慢して一気に前に出た。ホームストレートを全開で踏み抜き、先頭でファイナルラップへ。先ほど抜かれたコーナーは今度こそ塞ぎきった。北林選手のタイヤの滑る音が聞こえ、4秒ほど先行することに成功。勝利が近づいていることを感じながらゴールまで慎重かつ全開で走り抜き、二連覇を達成することができた。
ラップタイムと順位推移を確認すると、ずっと2番手以内の位置をキープして最終ラップのスパートに繋げられており、作戦通りの完璧なレース展開であった。
怪我からの復活、二連覇、そしてブリヂストンとしての最後のMTBレースで勝てた喜びはこの先も一生忘れないと思う。なによりレース後に沢山の方から(ドーピング検査員の方からも)良いレースだったと言ってもらえたことがとても嬉しい。この日の自分の勝ち方は、ここまでMTB・シクロクロス・ロードと3種目をブリヂストンで経験させてもらったからできたものです。11年間支えて成長させてくれたチームとスポンサーに感謝致します。
そして大盛況の会場の雰囲気は今年も最高でした。観客との距離が近く、レース中もずっと声援が聞こえて力を貰えました。また来年もこの会場でレースができることを楽しみにしています。
本当にありがとうございました!
TEAM BRIDGESTONE Cycling
沢田時
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