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どこまでがデザイナーの仕事?

なんだか真面目な内容のですが、最近こんなことを考えています。


最近よく考えていること

飲食店から「うち、リピーターが少ないんだよね。もっと新規の人に来て欲しいから広報に力を入れていきたい。ロゴとかメニューとかつくって!」というようなお仕事依頼があったとします。

デザインの依頼を受けたら、どのような方向で、どんなデザインをすれば正解なのかデザイナーはお店のことを調査します。現状のお店の雰囲気・客層・街の雰囲気・近隣のお店の価格帯・近い料理を出すお店などなど、とりあえず一通りは調べてみます。

実際にお店で食事もします。別に食の専門家ではないけど、料理の見た目や味。それと意識するのは「自分と違う世代は喜ぶかな?」「海外の人は喜ぶかな?」「◯◯さんだったら喜ぶかな?」など、自分以外の人に当てはめて喜びそうかなどを考えます。
頭を巡らせながら、店内の雰囲気も見回します。
どこも悪く無い。値段も適切だし、味も美味しいし、雰囲気も良い。「なんでリピーターが少ないんだろう?」と思いながら、トイレを見たときにトイレがあまりにも古くて汚いことに気づいた(とします)。

このお店は、味が悪いから・雰囲気が悪いから・価格が高いからお客さんがリピーターにならないのではない。トイレが古くて汚いからリピーターにならないんだ。

なんとなく答えが見えた気がします。


どこまでがデザイナーの仕事?

さて、架空の依頼なので「トイレ」にしましたが、隣のお店の音が問題だったり、空調が問題だったりと、依頼されたデザイン制作以外のことが「正解」というようなことは結構あります。

この場合、ロゴを作ったりメニューを改定したり、Webサイトを作っても一時的にはお客さんが増えるかもしれませんが、長期的には成功しないはずです。
一番の提案は「トイレ綺麗に直しましょう」です。
お客さんの一番の目的は「繁盛する店舗」にすることです。そのための解決策を考えるのが「デザイナーの仕事」です。だから「繁盛する店舗」に近づけるための正解を出すのが一番の「デザイン」です。
だからこの場合「トイレ綺麗に直しましょう」の提案が一番の提案です。

ただ、これだといわゆるデザイン物の納品をするわけではないので、デザイナーにはお金が入らないという問題が出てきます。


どうしていくか。

最近「チラシつくって」や「ロゴつくって」だった仕事の依頼よりも、「一緒にいい形を考えよう」というような依頼が増えてきているなと感じています。
とっても良い傾向だと思いますし、きっとその方がデザイナーも生き生きと提案できると思います。

そこで、先ほどの「トイレ綺麗に直しましょう」話に戻るんですが、今とても良いところまで来ていると思うんです。
多くのデザイナーさんの努力の甲斐があり、もう少しすれば「事業を進めるにはデザイナーに声をかける必要がある」という未来が来そうなところまで来ている感じがします。

だから、次は「物」でなくても、しっかり対価を得られるような形にシフトしていければ良いよなあ、良い方法はないかなぁと欲を出しています。

「いや、そんなこと当たり前やん」と、思う方もおられるかもしれませんが、まだ、デザイナーへの依頼には何か成果「物」が求められることがほとんどです。
(チラシのデザイン費にプラスいくらかで「提案費」ということを頂くことはあっても、「提案費」だけでの請求は通らないことが多いです。)

モノからコトへ。ともう10年以上前から言われ続けていることですが、ようやくそれが形になりかかっていると、最近よく考えています。
ほんとに、もうあとちょっとなんだと思うんですけどね。

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