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毎日僕だってずっとこわい。

 今年最初に行ったストリップ劇場は2頭の池袋ミカド劇場でした。1月は予定が詰まっていて劇場に行く時間が取れなかった。確か日本で初めてコロナ感染者が確認されたのは1月中旬だった。まだこの頃はそれほど僕は意識していなかった。次にストリップ劇場に行ったのは2中のライブシアター栗橋だった。黒井ひとみさんの優しさ、浅井ひなみさんの表情の良さ、小宮山せりなさんのギャグで守られた場内、友坂麗さんの佇まい、山口桃華さんのエロは正義さ…ほんとたのしい時間だった。そして今年1番最近行ったのは2中楽日、2結初日の広島第一劇場だった。確かこの頃には、ストリップ劇場でも「握手をしない」「写真撮影の前にアルコール消毒」「換気」など感染対策がすすめられていたと思う。2中に広島に行った時には、たぶんこれより後になるともしかしたら条例(日に日に状況が変わっていたので、いつ東京から出ずらくなるかと考えた)もしくは自分の精神負担的に広島まで遠征出来ないと思った。そういう気持ちで広島まで急遽行こうと思った。

 その後、Twitterに書いたが映画館には行っていた。みな自粛していき、映画館に人がいないであろうと思ったので感染しずらい環境だと思ったし、文化的な場所が追いやられていることが辛かった。この頃何度も映画館に行っていた。いつでも一列に自分を入れて2人とか、場内全体で10数人だった。ただ、広島から戻ってからストリップ劇場には行けなかった。3,4回行こうと試みた。「あの劇場なら広いし大丈夫だろう」「あそこなら近いし、なにより通勤で皆それなりに混んだ電車を使ってるじゃないか」そういう思いを免罪符に電車に乗っても、車中で頭が痛くなる。感染して、それによって誰かやどこかを、名指しで晒され続けたライブハウスのようにするのが怖くて仕方がなくなっていた。新宿に着いてそのままUターンして最寄り駅に戻ることがつづいた。

 もうその頃には、毎日何回も何回も何回もコロナのニュースを検索するようになっていた。東京都が記者会見をすると言えば見、国会中継も見ていた。日に日に状況が変わっていく。あの日の行動が意識が低くかったと反省することもしばしば出てくる。頭痛が止まない。想像していた未来なんかじゃ勿論ない。4月1日現在では基礎疾患があることや高齢であることが重篤や死亡するとイコールではなくなっている。誰がいつどうなるか分からない状況。その中で、身近で収入源を失う友人もいる、コロナのために面会禁止の介護現場で、毎日会っていた家族と会うことが出来なくなり、会えないうちに老衰で亡くなった方もいた。

 僕は今ストリップ劇場に行かない。きっと状況が落ち着くまで行かない。新しい本を作ろうと取材のため動き出した所だった。エッセイの挿絵を描かせてもらってる新井見枝香さんがデビューしたところだった。行きたいし、行くべき時だと思うんですよ。でも、無症状でも陽性なら感染リスクがあると言われると、自分が感染して、好きな場所の最後の駄目押しをしてしまうかもしれない。それは自分が症状が出ることではなく、身近な誰かを重篤や死亡させて初めて感染者と分かった後に来る絶望かもしれない。そんな責任を僕は負えない。ストリップ劇場には、こんなときだからこそ行って応援したいと無理してでも行く熱いお客さんがいることも知っている。でも、僕にはそれが更に怖い。

 また、行けない大きな理由は普段高齢の方と接することが多い職場にいるからです。自分が感染源になったら、お年寄り何人もが重篤化して亡くなるかもしれない。いつ自分がコロナになるのか、もしかしたらもうコロナになっているのかそれすら分からない。でも感染経路に娯楽施設があったときに、年寄りにもその家族にも会わせる顔がない。今は映画館にも行けない。

 僕たちは劇場にいる誰の生活についてもまるで知らない。あの踊り子さんは家に帰ると基礎疾患を持つ親と暮らしているのかもしれない。あのお客さんは、祖父母と暮らしているのかもしれない。今自分が劇場に行くことで得られるものが、誰かの不安や命より優先すべきことに思えない。すでに歌舞伎町で感染が確認され、流川で確認がされている。ドイツに住む友人と話をすると、カフェや美容院もしていないと言う。もう本当は日本もそういう時なんじゃないのかと不安ばかりが募る。

 生きていなければもう誰にも会えないわけだから。僕は僕自身が、そしてあなたが誰かとたとえ辛くてもまた会える日が来る日々を願います。

追記 このツイートにある項目11を同時に読んで貰えるととてもありがたいです。思うことは色々あるんです。腹も立ちます。



2頭…2月1~10日 2中…2月11~20日 2結…2月21~29日 のことを指します。


 





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