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ある晴れた日のスナップ考察 - 構図か被写体の美しさか

写真を撮る時、構図を重視するか、それとも被写体の見え方を重視するか、あるいは何も考えないか。

撮る人はとにかく色々考えながら撮っていると思う。(もちろん考えずに撮る人もいる)

今回はそのようなことについて少し考えてみたい。

構図を重視した写真の例

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朝のアイスコーヒー。

正面から水平をとり狙う。
28ミリレンズのため、背景窓枠の垂直が出ていない。

「構図を重視する」ということは、周りの構成要素とカメラを構える位置を意識することだと思う。

被写体の見え方を重視した例

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続いて、被写体の見え方を重視した例。

正面からのアプローチではなく、氷の表情と液体の色が綺麗に出る角度で狙う。背景からの光が透過して、氷にハイライトが入った。

被写体の見え方を重視するということは、被写体に当たる光とカメラの位置(被写体に対する)を意識することだと思う。

良い写真とは?

1枚めの写真は2枚めほど氷のきらめきは出ていないが、氷のブロック感がドリンク作りたての雰囲気を醸している。

2枚めの写真は椅子に座って、そのまま構えてパッと撮ったような見慣れた画角だが、氷の透明感が出ている。

良い写真とは、構図も練られ、被写体も良く見える写真だろう。一般的には。

広告写真はその果てで、構図を構成したうえで、被写体が良く見えるように光を調節して撮影される。確かに良い写真にはなるが、全て完璧であるが故に押し付けがましさがあり、いつもリアリティを喪失している。

現実世界では、構図も良くて、被写体も良く見えるという2つの条件が揃う写真を撮ることは難しい。撮れないからこそもどかしいし、撮れた時には喜びがある。

写真の面白さはそのあたりにあるのではないだろうか。

条件が揃わなくて、思うように写真が撮れなくても落胆しなくていい。

不完全さはリアリティを生む。

ここで言うリアリティは=素人さでもある。

完璧な写真(広告写真的写真)が必ずしも良いとは限らない。

リアリティを欲しがる人はたくさんいるし、僕もその一人だ。

もっと言うなら、リアリティを写してしてそれがファンタジーに昇華されている写真が好きだ。広告写真のように、セットアップではいけない。12時間の長時間労働の中で撮られるのではなく、日常の中で1分以内に撮られなければならない。

写真とはスナップである。

スナップとは自己との対話であり、普遍的で後戻りできないこの世界が与えてくれる、ささやかな贈りもののようなものである。


いつも応援してくださる皆様に田中常丸は支えられています.本当にありがとうございます.