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You Tubeでの映像表現雑感

今回はこちらのツイートの深堀りを。

チャンネルとしてのYouTube動画とクライアントワークのムービー撮影を同列で考える時、クライアントワークの方法論をYouTubeに持ち込むということは誰でも考えるが、その逆を行っている人は少ない印象。例えばフィルターワークやRAW撮影を除外して編集優位に徹底的に振る、とか。

あるいは、シネマティックではなくリアリスティックであること。

YouTuber発信ではそれはできなかった。特にここ日本では映像系の人たち-2019年頃からのプロダクション側のYouTubeへの介入が、ひとつの転換になったように思う。ヨガでもゴルフでも似たようなものだが、映像のプラットフォームで映像を視点にすることが、映像表現の進化をもたらしている。

YouTube動画とクライアントワークのムービー撮影は、その目的や制約が異なるため、異なる方法論が必要になる。YouTube動画は、視聴者との直接的なコミュニケーションを目的としており、短時間で多くの視聴者に訴求する必要がある。一方、クライアントワークのムービー撮影は、クライアントの要望や目的に合わせた映像表現が求められる。(You Tubeはあくまでプラットフォームであるので、あらゆる映像表現を公開できる仕組みではあるが、インタラクティブネスと個人のためのアルゴリズムとして現在はその存在価値がある)

しかしながら、YouTube動画とクライアントワークの間には、相互的な影響や可能性が存在する。クライアントワークの方法論をYouTubeに持ち込むことで、より高品質な映像表現やコンテンツが生まれる。また、逆にYouTubeでの映像表現の進化が、クライアントワークにおいても影響を与えている、というのが昨今の状況。もちろんYou Tubeが始まってから既にその徴候は見られたわけだが、2019年頃から企業やタレントやプロダクションの介入によりその傾向は加速しているという話し。(それは既存のユーチューバーたちには必ずしも歓迎されていない)

YouTubeでの映像表現の進化は、よりリアリスティックな映像表現に対する需要を高めていると言える。インスタグラムが写真のトレンドを、ナチュラル、自然光、スクウェア、と変えたように。シネマティックからリアリスティックへ。この需要に応えるように、クライアントワークでもよりリアリスティックな映像表現が一部で採用されている。シネマティックなものは、フェイクとして映り、親近感を欠く。機材が高性能になり、誰でもシネマティック(のような)表現が可能になったことも一因としてある。

一昔前みたいに、1500万くらいのシネマカメラで、1000万ほどするダヴィンチなどの映像制作ソフトを使う必要はなくなったのだ。今やソニーのミラーレスで20万くらい、ダヴィンチは多くの機能が無料で提供されており、そのような低予算でシネマティックな制作ができる。実際、高城剛さんがソニーアルファのみで撮った映画「ガヨとカルマンテスの日々」が公開されている。謳い文句は「家電量販店で全て買える機材で撮った映画」

こうした相互的な影響や可能性の探求がありながら、より高度な映像表現が生み出されているのだと思う。ごりごりの映像制作プロダクションにいる映像制作者も、You Tubeで今起こっている何かを目撃していないわけがない。映像プラットフォームであるYouTubeは、映像表現の進化に貢献するだけでなく、映像制作業界全体に影響を与えていると言える。

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