2019年10月、マラソンを走るために台湾に向かった。二泊しただろうか。レーススタートが早すぎて、深夜早朝が入り乱れ感覚的には一泊二日の弾丸だったような気さえする。

　夜、台北に到着して空腹を満たすために街を歩いた。インドネシア行きのトランジットで、台湾は過去によく訪れている。５，６回は来ているだろう。しかし最後に来たのはもう随分前のことで、夜の街の印象は僕に新鮮に映った。何かが変わっていることは分かる。しかしそれが何かはわからない。

　レースで疲れ果てて半分はホテルで寝ていたのだが、朋友に合う予定だったので、ついでに街を歩いて数枚写真を撮った。東京を出発して、戻ってくるまでのショートストーリー。それはどの旅でも変わらないけれど、どこかへ行ったまま”戻らない”旅に、いつでも恋い焦がれている。

All photos by LeicaM10-D + summicron 50mm
©Tokimaru Tanaka 2019