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プロテインの種類と各効果まとめ

・プロテイン、一体どれが一番いいの?

・どう飲むのがいいの?

・色々なサプリメントが出てるけど一体どんな効果があるのかわからない。

こういったご質問を、様々な方から良く聞きますし、新しい物がどんどんでてくるので、専門的に学んでいる僕ら業界の方でもわからない部分もたくさんあります。

今回は、最新のプロテインサプリメントの事情を論文ベースにわかりやすくお伝えして行きたいと思います。

まず初回は、「プロテインは一体どれがいいの?」という問いに対してプロテインの種類についてとそれぞれの効能についてです。

目次
1.プロテインの種類とタンパク質とは?
2.ホエイプロテインの特徴と効果
3.カゼインプロテインの特徴と効果
4.ソイプロテインの特徴と効果
5.各プロテインの効能比較(論文ベースに)

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1.プロテインの種類とタンパク質とは?

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プロテインとは和訳ではタンパク質のことですが、今回の記事でのプロテインはいわゆるプロテインサプリメントのことで、そちらについて解説していきます。

プロテインの種類には、大きく分けて

1.ホエイプロテイン

2.カゼインプロテイン

3.ソイプロテイン

があります。

ホエイプロテインとカゼインプロテインは、牛乳から生成されます。ソイプロテインは名前の通り、大豆タンパクを利用して生成されます。

それぞれのプロテインに応じて、生成される物質の違いからアミノ酸の配分、体内に吸収されるスピード、価格帯などが異なります。


そもそもタンパク質とは何なのでしょうか?

タンパク質とは、20種類以上のアミノ酸が鎖状に多数連結してできた高分子化合物です。

タンパク質は、骨格筋は当たり前、血液や身体の調整を行うホルモン、また成長など多岐に渡る生体の構成要素として必要不可欠です。

何ぞや?というお話ですが、

タンパク質の構成要素がアミノ酸であり、アミノ酸が複数連結したものをタンパク質と呼びます。

アミノ酸の特徴は、分子構造に窒素(N)を含む点です。そのため、タンパク質の分解などを観測する際には尿から排出される窒素量を測定します。

アミノ酸が、2個以上〜50個以上連結したものをペプチド(アミノ酸の連結をペプチド結合呼ぶ)と呼び、50個以上のものを便宜的にタンパク質と呼ぶ。しかし境界は曖昧であり、例えば糖の吸収にかかわるインスリンというホルモンは、アミノ酸が51個の長いペプチドとされています。

体内では、食物から獲得されたタンパク質が消化器、消化酵素によって、アミノ酸まで分解され体内に吸収されます。

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ここまでを見ると、プロテインではなく、昨今アミノ酸のサプリメントが流行っているのも納得いただけると思います。

通常、食物から入手されるタンパク質は、消化器を通じて体内に吸収されるまで約3〜4時間程を必要としますが、アミノ酸単独ですと約30分程で吸収されます。

アミノ酸リーディングカンパニーの味の素様のアミノバイタルやその他アミノ酸サプリメントはアミノ酸自体を顆粒化し、それを運動後に摂取して、アミノ酸を欲している組織にいち早く届けようというものです。

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味の素様は、日本はたまた世界で初めてアミノ酸(味の素が抽出したアミノ酸はうま味成分のグルタミン酸)の独自抽出に成功した会社です。

確かに、運動後などに骨格筋などに必要な組織にアミノ酸をいち早く届けるために、アミノ酸サプリメントなどは効率の良い商品です。しかし、アミノ酸の抽出、顆粒化には製法上、コストがかかるのも確かです。

一方、タンパク質を消化管の消化酵素でペプチドを得て、アミノ酸に分解する過程と体内の恒常性や機能として重要な要素であり、「消化する」という過程そのものが、消化管の機能を改善、他の吸収に関わるホルモンなどの機能を賦活させることにつながるためタンパク質から摂取することもとても重要なことです。

ヒトの体内を構成するアミノ酸は、20種類とされており、その中で、体内で生成されるアミノ酸を非必須アミノ酸、体内では生成されず食物から摂取されなければならないアミノ酸を必須アミノ酸、そして体内で生成されるが生成が代謝上必要量に対して満たないものを準備必須アミノ酸とよびます。ヒトでは、必須アミノ酸が9種類存在し、それらは食物から摂取されなければなりません。

非必須アミノ酸                  アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、セリン                    準必須アミノ酸                  アルギニン、システイン、グルタミン、グリシン、プロリン、チロシン                  必須アミノ酸                   ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン

2.ホエイプロテインの特徴と効果
ホエイプロテインは牛乳を原料としています。

ホエイは乳たんぱく質の一種であり、和名では乳清と呼びます。牛乳に含まれるプロテインのおよそ20%がホエイで80%がカゼインプロテインです。

ホエイプロテインの特徴として、BCAAの含有が高く、特に筋タンパク質の合成に最も重要とされるアミノ酸のロイシンが豊富に含まれていること、また生成のタイミングで濃縮をさせてるため、体内での吸収が早いことです。

ホエイプロテインは牛乳をプロテインパウダーにする製造方法が大きく2つに分かれています。

•WPC(Whey Protein Concentrate)(濃縮乳清タンパク質)

ヨーグルトの上に上澄みができることがよくあるが、それこそがホエイです。この上澄み液から水分を抜き、精製したものがWPCとなります。WPCのタンパク含有量は、平均して100gあたり70~80gとなります。

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牛乳からホエイプロテインを作る場合には、乳脂肪分やカゼインを取り除いていきます。

以前は牛乳からチーズを作るときの余りものの物質(水分質のもの)として扱われていたいましたが、BCAAやその他栄養素が豊富なことがわかってきて使い方を見直されるようになりました。(ホエイは可溶性のため液体成分になりやすいため上澄みやチーズ生産の余り部分として出てきた)

•WPI(Whey Protein Isolate)(分離日乳清タンパク質)

WPCには乳糖や乳脂、灰分などの一種無駄なタンパク源以外のもの(無駄ではないが、タンパク源といういみでは無駄)含まれるが、それらを取り除いてタンパク含有量をさらに高めたものがWPI(Whey Protein Isolate)となります。WPIのタンパク含有量は100gあたり90g以上にまで高まり、また精製度が高い分、WPCよりも消化吸収速度は早くなります。乳製品の摂取によるお腹の不調の原因となる乳糖不耐症の方にも利用しやすいプロテインとなります。

WPC→WPIとする時の処理として、「フィルター膜処理」あるいは「イオン交換樹脂処理」などの方法があり、フィルター膜処理の方はタンパク質を低温で処理できるとメリットがあり、熱によるタンパク質変性のリスクが少ない。

一方、余計なものを除去して純粋なタンパク質だけを取り出すという点では、イオン交換樹脂処理の方が優れています。その為、後者は、タンパク含有率の高さを求める場合に優れています。

・WPH(Whey Protein Hydrolysate)(加水分解乳清タンパク質)

加水分解ペプチドとも呼ばれ、WPCをペプチド状態に分離したものです。ホエイ含有率が約95%と高くなり、BCAAの含有も豊富となりますが、価格がやや高めとなります。

・CFM(cross flow microfiltration)製法

CFM製法は、ホエイプロテインを作る際に、セラミック膜のろ過装置でホエイ(乳清)をろ過して作る製法です。CFM製法は、タンパク質の含有量を80~90%に保ちつつ、乳糖や脂質を1%に抑え、カルシウム、マグネシウムなど人体に有益な生理活性物質を残すといったWPC製法とWPI製法の両方のメリットを凝縮した製法です。

ホエイプロテイン自体、もともと牛乳に20%しか含有してないタンパク質であることと濃縮させる製法のため、他の種類のプロテインよりも価格帯が高い傾向にあります。

ホエイプロテインの特徴と効果           BCAAが多い                                                                 水に溶けやすい                                                                                 吸収が早い。                                                                                 価格が高い。
ホエイプロテインの各製法まとめ
・WPI
タンパク質含有量70〜80%
乳糖など不純物がある分、ミネラル分も残存
価格が他の製法と比べ最も低値
・WPC
タンパク質含有量90%以上
乳糖その他不純物が少ない
吸収が早め
ミネラル分も除去してしまう
価格高め
・WPH
WPCのホエイタンパク質をペプチド状態に(細かい分子構造に)
タンパク質含有量95%以上
吸収が早い
価格高め
・CFM
タンパク質含有量80%〜90%
乳糖など不純物は除去
ミネラルなどは残存
価格高い

3.カゼインプロテインの特徴と効果

カゼインプロテインの原料も牛乳です。

ガゼインプロテインはチーズやヨーグルトを固めるための不溶性の物質です。一般に乳固形分と呼ばれる成分の主要成分の一つです。

カゼインプロテインは体内への吸収速度がホエイプロテインより遅いため、トレーニング後などの早期のタンパク質需要に対しては不向きですが、吸収がゆっくりのため体内のタンパク質濃度(アミノ酸濃度)を長時間高く保つことが可能です。
そのため、カゼインプロテインは就寝前であったりエネルギーを消費し、かつ食事摂取ができない筋分解が進んでしまうタイミングの前に摂取することで、筋分解を抑制することごできます。

また、カゼインプロテインはほかの物質、特に成長期には欠かせないカルシウムと密接に結びつき、吸収促進をさせる能力を持っています。

他の物質と接合したカゼインプロテインはお腹の中で固形となって消化吸収されにくくなるので、低カロリーでありながら、満腹感を得られるといったこともあります。

カゼインプロテインの特徴と効果          吸収が遅い(体内に長くタンパク質を提供)     カルシウムの吸収を促進              価格がホエイに比べて低価格

4.ソイプロテインの特徴と効果

ソイプロテインの原料は大豆です。

ソイプロテインはカゼインプロテインと同じく、摂取してから吸収されるまでに時間がかかります。(だいたい摂取してから5-6時間)。そのため、カゼイン以上に腹持ちが良いのが特徴です。

また、大豆からの生成のため、ホエイプロテインよりもかなり安価で手に入れることができます。

かつて、大豆プロテインの効果としてイソフラボンの含有が身体によいとの謳い文句がなされましたが、大豆イソフラボンが良いとされた理由は、女性ホルモンであるエストロゲンと似ており、女性が摂取することで、女性らしい身体、また生理的な背景からも健康になれると言われていました。

しかし、エストロゲンと大豆イソフラボンは分子構造が似ているだけで、実際にはもともと謳われたようなエストロゲンが持つ効果全てを反映しないのが報告されています。ただ、大豆イソフラボンが腸内細菌で代謝された際に生成されるエクオールという物質が、女性ホルモンと似た働きを担い更年期の予防や改善に繋がることが近年わかってきています。ただ、エクオールを生成できるのは体内にエクオール生成菌と呼ばれる菌を保菌した日本人の約40〜50%です。(尿検査で簡単に検査可能)大豆食品の摂取が多いこと、睡眠時間が多いこと、適度な運動などによって保菌しやすい状況を作れるためやはり適切な生活習慣が大事となります。

欠点として水に溶けにくい部分でパウダーがダマとなる点があります。またそういった点から味も芳しくない点もあります。

ソイプロテインの特徴と効果            吸収がホエイやカゼインより遅い          イソフラボンが更年期障害の予防となる(女性ホルモンの機能を全て担うわけではない)          価格がホエイやカゼインと比べて低価格       水に溶けにくい

5.各プロテインの効能比較(論文ベース)

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J Nutr. 2020 Feb 18. pii: nxaa024. doi: 10.1093/jn/nxaa024. 

*exogenous Raは外因性フェニルアラニン率で、客観的なアミノ酸濃度を表す。

ホエイプロテインは摂取後30分から60分でアミノ酸濃度が高濃度、その後徐々に濃度が低下していき、180分後にはかなりの水準まで低下してしまいます。

しかし、カゼインプロテインは、高濃度ではないが摂取後300分ほどまでホエイの120分時の濃度を上回って維持することごできます。

また、それに対して通常の牛乳を摂取することもアミノ酸濃度を一定即時的に高濃度にしつつ、また維持率も高いことがわかります。(ただ、牛乳の場合、脂質が含有してるため、カロリーの部分で摂取が高くなってしまう)

以上のことから、高濃度でアミノ酸が必要な運動後、トレーニング後はホエイプロテインを摂取し、就寝前や食間など、摂食をできないタイミングの前にカゼインプロテインを摂取することで、体内のアミノ酸濃度を高く保つことができ、筋分解の抑制および合成を促進させることができます。

プロテインの種類は様々ありますが、それぞれにそれぞれの特徴があります。その特徴をしっかりと押さえた上で、自分の用途に合わせて取捨選択することが重要です。




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