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大量の作品を展示する事にこだわる理由

本日から中野ブロードウェイ4階のギャラリーリトルハイにて、時計荘個展「いつか見た石の夢」が無事始まりました。

混雑回避のための整理券配布などでお時間をたくさん割いていただいたり、会場内人数制限を設けたりとご不便をおかけしましたが、皆様のご協力のおかげでたくさんの方にご覧いただくことができました。

本当にありがとうございます。

どのお客様もまずは個展会場内の作品の多さに驚かれ、またこういった機会にたくさんの作品を見比べながらお選びいただくことをお楽しみくださって、私にとってはとても嬉しい滑り出しでした。

そうなんです。

今回の個展初日に展示した作品数はなんと271点!!

流石に250点以上の作品を並べる機会は2年に一度のギャラリーリトルハイでの個展ならではなのですが、普段から私の個展、催事はとにかく作品数の圧倒的な多さに常に重きを置いて活動してきているのです。

なぜ、「たくさんの作品をご用意してお客様をお迎えすること」を私がとても大事にしているのか。その理由を今日はお話ししたいと思います。

これまでの記事で、私が美術の専門教育を受けた作家ではなく、石好きが高じて鉱物作品を作るようになり、展示販売するに至ったお話をしました。

つまり私は「アートを作って売る」ことを専門的に訓練されてきたわけではなく、むしろずっと長い間観客側の人間でした。

その上、結婚後転勤族を経て出産育児をしている間は都内の素敵な展示や興味深いイベント、おしゃれなお店に出掛けることはほぼ不可能でした。

稀に都心まで外出できたとしてもそれは家族に子供や家事を頼み、自分でもそれに備えてできうる限りの準備をし、その上で出かけた先でも時間制限を覚悟の上で時計と睨めっこしながらの慌ただしい行動を余儀なくされることがほとんど。

それでもそうして行った先で素敵な作品と出会ったり、感動したりする経験は私にとっては大事な命の洗濯で、なくてはならない心の栄養だったので、そういうお出掛けは今でも心の中の大事な場所に輝いています。

私のような理由でなくても、人はその人なりの生活で様々な条件のもとにいろんな都合をどうにかして繰り合わせ、日々の生活の潤いの一つとして、楽しみにギャラリーを訪れているものだと私は思います。

今日のような個展初日に照らし合わせて考えてみると、よくわかります。

たくさんの方が私の展示をご高覧くださいましたが、お客様のご芳名録を拝見していると、遠方から来てくださっている方もいらっしゃいますし、在廊中にお話を伺うとそれこそ小さなお子様がいらっしゃったり、お身内のかたの介護をしていらっしゃったり、お仕事がご多忙な中時間をやりくりして下さっていたり、本当に生活は千差万別ではありますけれど、いろんな都合の中来て下さっています。

私にとっては「大好きで作ってるいつものやつ」を「いつも通りに」展示するだけだったとしても、お客様にとっては「非日常の特別なもの」を「特別な機会のために万難排して選びに」来てくださっている場合だってあるわけです。

そんな中、もしも何もみるべきものがなかったら。

それは本当に、辛いことです。

もちろん、私の作るものは全て一点ものですから、お目当てのものがsold out になっている場合はありますが、そういう時でも、せめていらしていただいた記念に、目を楽しませる何かは置いておきたい。

お目当てのものとは違っても、もしかしたらお気に召していただけて、新しい喜びとしていただけるものになるかもしれない。

がっかりして会場を後にするようなことが、少しでも少なくなるといい。

そんな思いが強く私の中にあり、「スペースをしっかり取って余白の美で味付けして、上品なディスプレイを」というようなオシャレな展示に憧れはあるものの、どうしてもお越しくださる方々の笑顔に替えられる物などない、という気持ちがある為、物量には異常なほど、最終日まで絶対に品切れを起こさないよう、頑張って準備させていただいています。

それはあまりスマートなやり方ではないですし、野暮ったいかもしれません。

もちろん、生産スピードが異常で作品の物量がたくさんあるというのは私の勝手な形態であって、オンリーワンの工芸品や美術品を時間かけてお造りになる方々はそういった物ならではの素晴らしさがありますから、自分のやり方が最上のものだなんて思っていませんし、思えるわけでもないのですが。

ギャラリーにあるまじき物量で皆様をお迎えするのに「自分だったら、時間を割いて見にゆくのだからたくさんの中から一番のお気に入りを選びたい」というのは、わたしにっては十分その理由となりえる重要な要素です。

いや、もちろんクオリティの向上は常に心がけておりますが…そういった意味でも、人目に触れる展示へ出す作品を数多く作る、というのは修練にもなりますし、一石二鳥です。
制作工程が比較的楽な物も中にはもちろんありますが、手加減をして作っているものは一つとして、ありません。
たくさんの石たちに囲まれてたくさんの作品を作るたびに新しい発見があり、その楽しさに魅了されているのもまた、確かです。

本日は本当にたくさんのお客様にご高覧頂きましたが、そんなわけで「大量にずらっと」をモットーにご用意しておりますので、どうぞ最終日までお日取りに拘らずいつでもお気軽にいらしてくださいね。

感染予防対策をしっかりしまして、スタッフ一同、心より皆様のお越しをお待ちしております!

………………………

9月は中野と相模原(東林間)の2箇所で展示をしています!
もしご都合が付けば是非お立ちよりください🙂

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頂いたサポートはすべて、確実に作品制作に充てさせていただきます。 (作品展示のご高覧、ご声援だけでも十分ですのでご無理なく!)

うれしいです!ありがとうございます!
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鉱物アート作家「時計荘」こと島津さゆりです。国内六ケ所の店舗やギャラリーにて作品を常設展示販売しており、季節ごとに個展や催事を開催しています。

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コメント (2)
私も時計荘さんと似たような作品を作っているので興味津々です。
額縁に入れた青い作品などは私のキノコの中にLEDを入れた額縁作品と共通点を感じています。
数えたことはありませんが、今回終了した2人展でも作品数は200点を越えていたと思います。こんなところまで似ていたんですね。(笑)
そうなのですね!共通点のある方がいて嬉しいです。
私も、シャドウボックスの作品は昔からある技法ならではの良さがありとても好きです。古いオランダのアンティークシャドウボックス群、「バーファラーボックス」を見てから、ずっと好きだなあと思い作り続けています。楽しいですよね。
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