見出し画像

Tinkerer's Cube Draft(発明家のキューブ・ドラフト)を今すぐプレイすべき3つの理由

■はじめに

 MTGAに、2020年9月4日に実装された「Tinkerer's Cube Draft(発明家のキューブ・ドラフト)」。攻略記事を書こうと思いましたが、9/17で終了してしまうため、まずは「なぜこのドラフトはすばらしいのか」をかいつまんで紹介することで、その魅力をお伝えしたいと思います。

■Tinkerer's Cube Draft(発明家のキューブ・ドラフト)とは

 9/9現在英語版の説明しか発見できていないため、上記ページでしか詳細が掴めませんが、説明によると下記の通りです。

In the Tinkerer's Cube, raw power isn't going to be enough to succeed. These cards are interlocking parts that will do far more together than on their own. What are the right gears and widgets for your deck? If you combine the right pieces, you can create an incredible invention!

(日本語意訳:「発明家のキューブドラフト」では、カードパワーに頼った戦略では満足な結果を得られません。これらのカードは連動し合うことで、単独での使用よりもはるかに多くの効果を生み出します。あなたのデッキを正しく機能させる歯車、そして仕掛けは何ですか? パーツ同士を正しく組み合わせることで、驚くような成果を挙げられるでしょう!)

 プールは540枚、ヒストリックのカードプール(各種リマスターを含む)から選択されています。全てのカードは1枚しか登場しません。

■悪いところ

 いいところばっかり書くと単なるステマになってしまうので、先に悪いところを書きます。

 ダメな点はひとつだけ。MTGA上の資産が増えないことです。

 4000ゴールドor600ジェムが参加費で、これは通常のプレミア・ドラフトからすると60%OFF、前回のキューブ・ドラフトと比べても20%OFFなのでお得感があります。

 しかし、キューブ・ドラフト同様「ファントム・ドラフト」、つまりピックしたカードが資産に加わることはありません。(レアや神話レアがザクザクピックできるので当たり前ですが)

 そこまではいいとして。問題は、勝った場合の賞品です。

 同キューブドラフトでは、勝利数に応じたゴールド、そして「Historic ICR」3枚しかありません。

 仮に7勝できたとしても、6000ゴールド+Historic ICRが3枚のみ。うち2枚はレアですが、どのカードがもらえるかは、完全にランダムです。

 平均的な4勝では、3000ゴールド+Historic ICR3枚(レアリティが下がる)。元が取れません。

 通常のプレミア・ドラフトであれば、ピックしたカードがそのままコレクションに入り、また勝利数に応じたパックが「ジェムの他に」もらえるので、(4勝以下で)ジェムが取り返せなくても資産は増えます。

 キューブ・ドラフトの場合は、ほとんど資産が増えません。

 せっかく溜めたゴールドを資産変換したい方は、通常のドラフト(クイック・ドラフトorプレミア・ドラフト)がおススメです。

■良いところその1:プールのカード選択がすばらしい

 ほぼすべての良いところがこの点に集約されますが、とにかくカードプールの完成度が高く、素晴らしいです。

 プール540枚の内訳はこんな感じです。

WHITE 80
BLUE 81
BLACK 81
RED 81
GREEN 78
COLORLESS 22
MULTICOLOR 66
LANDS 51

 変に多色に寄っていないし、かといって単色を組む優位性もありません。土地の51枚はかなり多く、緑以外の色でも気軽にタッチができ、そのタッチに使う土地もサイクリング付のものが多く、ストレスがなく使える仕様になっています。

 なので、その気になれば5色のグッドスタッフ的なデッキも、単色タッチαのデッキも組める。そんな素敵なマナバランスになっています。

「そんなに土地を取っていたらデッキ弱くなるんじゃない?」と思うかもしれませんが、アンプレイアブルなカードも非常に少なくなっています。

 ある程度色を決めてカードをピックすれば、ある程度の完成度のデッキが組めてしまいます。ドラフトが上手くなったと錯覚する程度には。そのぐらい、カードプールに「弱い」カードがなく、ストレスを感じないドラフトです。14手目でデッキの主軸となるカードが流れてくることも珍しくなかったりします。「これは取りたいけど別のカード優先で……」と苦渋の決断で流したカードが平気で一周したりもします。

 総じて、「デッキにしやすい」ドラフトです。初心者の方にもおすすめです。

■良いところその2:「レアゲー」が発生しない

 ごく一部のカードを除き、レアゲーが発生しない印象です。

 一例として、収録されたプレインズウォーカーを見てみましょう。

《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》
《バスリ・ケト/Basri Ket》
《放浪者/The Wanderer》
《謎めいた指導者、カズミナ/Kasmina, Enigmatic Mentor》
《はぐれ影魔道士、ダブリエル/Davriel, Rogue Shadowmage》
《敬慕される炎魔道士、ヤヤ/Jaya, Venerated Firemage》
《無頼な扇動者、ティボルト/Tibalt, Rakish Instigator》
《野生造り、ジアン・ヤングー/Jiang Yanggu, Wildcrafter》
《混沌の船長、アングラス/Angrath, Captain of Chaos》
《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》
《運命の手、ケイリクス/Calix, Destiny's Hand》
《ボーラスの壊乱者、ドムリ/Domri, Anarch of Bolas》
《大判事、ドビン/Dovin, Grand Arbiter》
《戦場の詩人、ファートリ/Huatli, Warrior Poet》
《ビヒモスを招く者、キオーラ/Kiora, Behemoth Beckoner》
《嵐の伝導者、ラル/Ral, Storm Conduit》
《崇高な工匠、サヒーリ/Saheeli, Sublime Artificer》

※太字は神話レア

 弱っ! いや強いのもありますが。

 いずれにしても、単体のカードパワーは抑えられています。《王冠泥棒、オーコ》《秘宝探求者、ヴラスカ》《精霊龍、ウギン》みたいな「1枚で勝てる」カードはありません。

 場持ちがいいPWは初期忠誠度の高い《ビヒモスを招く者、キオーラ》ぐらいで、基本的に(単体では)盤面干渉がなく、簡単に対処できるPWばかりです。

 PWを例にとりましたが、神話レアも同様です。

 アモンケットリマスタードラフトのように「《スカラベの神》1枚に負けた」とか「《蠍の神》1枚で死んだ」とかそういったことはありません。

 支配力の高いカードや対処しづらいカードは確かにありますが、「どうしようもない」というレベルのカードはほとんどありません。

 特に「神」はリミテッドで支配力が高い傾向がありますが、リミテッドブレイカ―としてその名を馳せた《永遠神オケチラ》あたりは見られず、収録された「神」は下記の通り。

《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》
《深海住まいのタッサ/Thassa, Deep-Dwelling》
《荒涼とした心のエレボス/Erebos, Bleak-Hearted》
《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》
《鋭い目、ナイレア/Nylea, Keen-Eyed》
《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》

 「なんだよPWよりこっちのほうが相当強いじゃねーか」というご意見はごもっともですが、1枚でゲームを決定づけるだけの勢いがあるのはせいぜい《ヘリオッド》《ハゾレト》ぐらいで、他はじわじわとアドバンテージをとっていくタイプの「神」です。プレイして即座に勝てるほどのカードではありません。(《タッサ》出したターンに投了したことはありますが。ダメじゃん!)

■良いところその3:シナジー重視で楽しいデッキが組める

 さまざまなアーキタイプをサポートする「専用カード」が多く含まれています。

 たとえば、「リアニメイト」を組みたい場合。ドラフトではどうしても専用カードに偏り過ぎて、確保度合い(というよりもパックからの「出方」)でデッキ完成度が左右されてしまいます。

 しかしこのキューブでは、「釣る先の確保」「墓地に落とす方法」「墓地から釣る方法」がそれぞれ数パターン用意されています。

 釣り先はサイクリング付になっていることも多いです。墓地に落とす手段も、切削、サイクリングやルーター、起動コストなど多岐にわたります。そしていわゆる「釣る方法(釣り竿)」多岐にわたっています。

《戦慄衆の指揮/Command the Dreadhorde》
《宿命のネクロマンサー/Doomed Necromancer》
《不断の絆/Unbreakable Bond》
《掘葬の儀式/Unburial Rites》
《影武者/Body Double》
《再来/Back for More》

 すべて1枚しか登場しない「シングルトン」なので、カード枚数のばらつきで左右されることもありません。「○○と○○が引けたから、リアニメイトを組もう!」と思えば、(「たまたま」他のプレイヤー2人以上と被らなければ)組むことができるのです。

 自分のやりたいことが素直に表現できるって、ドラフト環境としては最高じゃないでしょうか。

■終わりに

 最初に言いましたが9月17日までの開催となります。みんなでこのお祭りを楽しみましょう!

(おまけ)組んでみたデッキ

画像1

 +1/+1カウンター軸。打点が雪だるま式に増えて面白い。
 タッチも余裕です。画像のデッキは赤をタッチして《グランムリー》《クローティス》を足してデッキパワーの底上げを図っています。


原則、全記事全文無料で公開していますが、モチベーション維持や更新頻度の向上、家族サービス費用、コンテンツ精度の確保等のため、あなたからのサポートを随時お待ちしております。たとえ少しずつでもご支援いただければ、これほど嬉しいことはありません。よろしくお願いします!