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パイオニア環境分析のつもり(8/28~9/5)コンボ放棄じゃダメなんですか?

■はじめに

 こんばんは。禁止改訂から1ヶ月強、パイオニアのメタゲームが健全になりました。この禁止改訂ではスタンダードやヒストリックも禁止(ヒストリックは一時停止)が出され、環境が激変しましたが、パイオニアでは新しいデッキが次々と試されメタに食い込む好循環が生まれています。早速見ていきましょう。


▼Pioneer Preliminary 08/28

5-0
Seleznya Aura
 
4-1
Jeskai Fires
Sacrifice
Mono-G Devotion
Esper Yorion
Jeskai Fires
 
3-2
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-G Devotion
Bant Control
Reclamation
Reclamation
Niv-to-Light

▼Pioneer Challenge 08/29

6-X
Rakdos Arcanist
 
5-X
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Naya Winota
 
4-X
Mono-B Aggro
Mono-G Devotion
Orzhov Aura
Orzhov Midrange
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Heroic
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Reclamation
Sacrifice
Lotus Storm
Niv-to-Light

▼Pioneer Challenge 08/30

6-X
Mono-B Aggro
Mono-B Vampire
Mono-G Devotion
Rakdos Arcanist
Niv-to-Light
 
5-X
Mono-B Aggro
Rakdos Arcanist
Orzhov Aura
Gruul Aggro
Esper Yorion
Esper Yorion
Jeskai Fires
Reclamation
Sultai Dredge
Niv-to-Light
 
4-X
Mono-R Aggro
Mono-R Aggro
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Azorius Control
Spirit
Esper Yorion
Jeskai Fires
Naya Winota
Sultai Midrange
Reclamation
Reclamation
Lotus Storm
Yorion Niv

▼Pioneer Preliminary 08/31

5-0
Rakdos Arcanist
 
4-1
Mono-G Devotion
Esper Yorion
Reclamation
 
3-2
Mono-R Aggro
Rakdos Arcanist
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Mardu Fires
Naya Winota
Reclamation
Sacrifice
Lotus Storm

▼Pioneer Preliminary 09/01

5-0
Esper Yorion
 
4-1
Rakdos Arcanist
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Reclamation
Niv-to-Light
 
3-2
Mono-B Aggro
Mono-R Aggro
Orzhov Aura
Izzet Prowess
Ensoul
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Jeskai Fires
Naya Winota
Naya Winota

▼Pioneer Preliminary 09/02

5-0
Mono-G Devotion
 
4-1
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-R Aggro
Mono-G Devotion
Rakdos Arcanist
 
3-2
Mono-R Aggro
Orzhov Aura
Seleznya Aura
Esper Yorion
Jeskai Fires
Reclamation
Reclamation
Niv-to-Light
Lotus Storm

▼Pioneer Preliminary 09/04

5-0
Niv-to-Light
 
4-1
Mono-B Aggro
Seleznya Aura
Grixis Fires
 
3-2
Mono-B Aggro
Mono-R Aggro
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Orzhov Aura
Reclamation
Reclamation

▼Pioneer Challenge 09/05

6-X
Mono-B Aggro
Mono-G Devotion
Esper Yorion
Esper Yorion
Jeskai Fires
 
5-X
Mono-B Aggro
Dimir Control
Rakdos Arcanist
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Reclamation
Reclamation
Reclamation
Sacrifice
Niv-to-Light
Niv-to-Light
Niv-to-Light
Lotus Storm
 
4-X(上位)
Mono-B Aggro
Mono-G Devotion
Mono-G Devotion
Orzhov Aura
Boros Aggro
Rakdos Arcanist
Rakdos Arcanist
Esper Yorion
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Sacrifice
Sacrifice
Niv-to-Light
Niv-to-Light

■メタゲームブレイクダウン

画像1

 なんという統制のとれたメタゲームでしょう。トップのメタ支配率が11.6%と過去最低の数値です。メタゲームの均衡がとれていることを表しています。

 トップメタは先週と入れ替わり緑単信心。僅差でティムール再生が追いますが、その後を追いかけるのは大躍進の《創案の火》デッキです。一部マルドゥ、グリクシスも含めますが、15/17が「ジェスカイルーカ(Jeskai Lukka)」型で、《裏切りの工作員》+《ルーカ》のコンボが仕込まれている型です。

 他、前回紹介のラクドスアルカニストが頭角を現すなど、メタゲーム上のアイディアが次々とメタゲームそのものに影響を与えている様子が見て取れます。環境初期に猛威をふるった5色ニヴミゼットは6番手まで順位を落としました。アーキタイプ総数は実に31種類(今回の164デッキ中)。75枚同じリストも珍しい状況です。総じて、現時点では理想的なメタゲームと言えるでしょう。

■注目デッキ1:ルールスオーラ(セレズニア)

YASHIMORO (5-0)
PIONEER PRELIMINARY 12201341 ON 08/28/2020
 
creature (13)
1《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
4《命の恵みのアルセイド/Alseid of Life's Bounty》
4《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》
4《上級建設官、スラム/Sram, Senior Edificer》
 
instant (4)
4《ケイラメトラの恩恵/Karametra's Blessing》
 
enchantment (24)
4《きらきらするすべて/All That Glitters》
4《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity》
4《天上の鎧/Ethereal Armor》
4《グリフの加護/Gryff's Boon》
4《成長の季節/Season of Growth》
4《歩哨の目/Sentinel's Eyes》
 
land (19)
3《要塞化した村/Fortified Village》
4《マナの合流点/Mana Confluence》
8《平地/Plains》
4《寺院の庭/Temple Garden》
 
sideboard (15)
1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
2《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
2《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
3《静寂をもたらすもの/Hushbringer》
3《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1《減衰球/Damping Sphere》
3《不可解な終焉/Baffling End》

 彗星のごとく現れたセレズニアカラーのルールスオーラです。8/28のPioneer Preliminaryでいきなりの優勝。今回の集計期間では3件が入賞しています。ヒストリックでもセレズニアカラーのオーラデッキが登場していますが、パイオニアでも満を持して登場しました。

 パイオニア版の強みは何といっても《林間隠れの斥候》という1マナの呪禁クリーチャーを採用できること。他のカードのサポートなしにエンチャントの土台とすることができます。他、《成長の季節》《上級建設官、スラム》によりドロー能力も高くなります。
 《無私の救助犬》は不採用。ヒストリックと違い《グリフの加護》で簡単に飛行を与えられるため、クリーチャー同士の衝突が少ないこともあり、破壊不能よりはプロテクションで突破したい盤面が多い事情があります。

 サイドボードには追加のクリーチャーで消耗戦に備えるほか、《墓掘りの檻》《静寂をもたらすもの》というヒストリックの鉄板コンビが名を連ねます。パイオニアでもこの2者が有効な相手は多いため常連となります。特に《静寂をもたらすもの》は強化土台としても申し分ありませんのでサイドインする機会も多いと思います。オーラを相手取る際はEtB能力での除去が効かなくなることを念頭に置いておきましょう。

 まだまだオーラデッキはオルゾフカラーが中心ですが、ヒストリックではアゾリウスカラーが結果を残し、また、まつがん氏がボロス色のオーラデッキを試しているなど、すべての組み合わせを試す余地がありそうですね。

■注目デッキ2:オルゾフミッドレンジ


BRONSONALEXANDER (11TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12201352 ON 08/29/2020
 
creature (17)
4《徴税人/Tithe Taker》
2《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》
2《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar》

3《残忍な騎士/Murderous Rider》
3《聖堂の鐘憑き/Basilica Bell-Haunt》
2《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
 
sorcery (4)
4《思考囲い/Thoughtseize》
 
instant (8)
2《致命的な一押し/Fatal Push》
3《取り除き/Eliminate》
1《屈辱/Mortify》
2《残骸の漂着/Settle the Wreckage》
 
artifact (2)
2《不滅の太陽/The Immortal Sun》
 
enchantment (5)
2《希望の夜明け/Dawn of Hope》
3《ベナリア史/History of Benalia》
 
land (24)
1《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
2《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
2《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
3《乱脈な気孔/Shambling Vent》
2《寓話の小道/Fabled Passage》
4《平地/Plains》
6《沼/Swamp》
 
sideboard (15)
2《悔恨する僧侶/Remorseful Cleric》
1《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar》
1《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1《聖堂の鐘憑き/Basilica Bell-Haunt》
2《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》
1《不滅の太陽/The Immortal Sun》
2《苦渋の破棄/Anguished Unmaking》
3《屈辱/Mortify》

2《衰滅/Languish》

 まったく新しいタイプのデッキです。クリーチャーベースのビートコントロールを行うデッキで、分類上は「オルゾフミッドレンジ」としました。

 序盤は《思考囲い》《徴税人》《異端聖戦士、サリア》などで相手の行動を妨害、相手の攻撃を食い止めつつ、対処の難しい《オブゼダート》や支配力の高い《カリタス》でフィニッシュします。
 一番のユニークポイントはメイン採用の《不滅の太陽》。強力なPWを多く擁する白ですが、このカードを採用するがために75枚中PWはゼロ。トップメタ上位は緑単信心、ジェスカイファイアーズなどPWに頼るデッキも多く、問答無用でシャットアウトできるこのカードは相手によっては絶大な効果を生み出します。反面、ティムール再生やアグロ全般にはお荷物になってしまう点が気掛かりです。

 制作者はその点を心得ており、サイドボードにはインスタントタイミングでエンチャントに触れるカードが5枚。どちらも汎用除去としての面もありますが、ティムール再生を意識していることが伺えます。他、ビートダウン対策、墓地対策をバランスよく組み込んでいます。

 このデッキには採用がありませんが、メタ的に有効な《エイスリオスの番犬、クノロス》が採用できるカラーでもあります。スゥルタイミッドレンジが下火ですが、久々に登場した正統派のミッドレンジということで、今後のカード選択も含め注目したいところです。

■注目デッキ3:イゼット果敢

MTGAGGROPRO (3-2)
PIONEER PRELIMINARY 12201374 ON 09/01/2020
 
creature (18)
4《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
4《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》
3《スプライトのドラゴン/Sprite Dragon》
4《嵐追いの魔道士/Stormchaser Mage》
3《嵐翼の精体/Stormwing Entity》
 
sorcery (5)
2《突破/Crash Through》
3《舞台照らし/Light Up the Stage》
 
instant (19)
3《選択/Opt》
4《送還/Unsummon》
4《ショック/Shock》
2《馬力充電/Dynacharge》
2《サムトの疾走/Samut's Sprint》
4《魔術師の稲妻/Wizard's Lightning》
 
land (18)
5《山/Mountain》
4《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
4《蒸気孔/Steam Vents》
1《硫黄の滝/Sulfur Falls》
 
sideboard (15)
2《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
2《潜水/Dive Down》
2《呪文貫き/Spell Pierce》
1《白鳥の歌/Swan Song》
2《無謀な怒り/Reckless Rage》
1《ナーセットの逆転/Narset's Reversal》
1《霊気の疾風/Aether Gust》
2《削剥/Abrade》
2《コジレックの帰還/Kozilek's Return》

 スタンダード2021からモダン、レガシーまで幅広く活躍するイゼットカラーのアグロデッキがパイオニアでも久々の登場。グランプリ名古屋2020を制したことでも有名ですね。

 強さを支えるのは赤単やボロスアグロ同様、1マナ2種の果敢持ち。ここに《嵐追いの魔道士》の他、新顔《スプライトのドラゴン》《嵐翼の精体》が2マナ圏として登場。《戦慄衆の秘儀術士》や《ハゾレト》は不採用、早いタイミングでの打点重視の構成となっています。
 《執着的探訪》は採用せず、代わりに採用したのは《送還》。アドバンテージを損なうカードの代表格として挙げられるカードですが、テンポ全振りのこのデッキなら気にならず。特に地上戦において《メレティス誕生》や《ウーロ》などスタッツの高いカードの採用率が高くなってきたので、火力によらずブロッカー排除ができるこのカードに白羽の矢が立ったのでしょう。また、パンプスペルに採用された《馬力充電》は、ゲーム中盤で《ラッパの一吹き》として使えるため、クリーチャーを多めに引いてしまった場合の逆転手となります。

 サイドボードもテンポ(軽さ)重視。基本スタッツが高いため《白鳥の歌》のトークンや《コジレックの帰還》の全体ダメージは気になりません。変な小細工をせずに、とにかく手数で押しまくる、というコンセプトが75枚に行き渡っています。

 幅広いフォーマットでプレイされるアーキタイプだけに、乗り慣れた方も少なくないはず。モダンのように多様なメタゲームにおいては、自分の強みや得意デッキを見つけることも勝利へ近づく手段のひとつ。イゼットカラーのアグロデッキが好きな方は、ぜひ手に取ってみてください。

■終わりに

 「ゼンディカーの夜明け」のプレビューが進んでいます。新しい2色地形や青のメタエンチャントなど、パイオニアにも影響を与えそうなカードが続々と公開されています。「M21」や「イコリア」がパイオニアで不発だっただけに、今度こそ環境を変えるエキスパンションになってほしいところ。カードが紹介されるたび、パイオニアで活躍できるかどうか、という視点からも眺めてみましょう。きっと新しい発見があると思います。

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