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「歌は生きている」~DS「SEIZE THE DAY」より~

宙組初日、ホテルのロビーにてお客様をお迎えしていました。娘さんが一人「4月のDSのチラシを探しにきました」と仰ったので「完売なので置いていませんが見てきますね」と言って事務所に探しに行きました。

丁度残っていたので、ファイルに入れてお渡しすると、娘さんがチラシを抱きしめて急に泣き出してしまいました。

「ありがとうございます…」

「チケットはご予約されたのですか?…」

「無理だと思って諦めてます。大切にします。」

そう言い残して、お帰りになりました。

4月1日から、貴城けい・大空ゆうひ・瀬奈じゅんディナーショー「SEIZE THE DAY」が宝塚ホテルにて開催されました。テーマは「今を生きる。今を楽しむ」チケットは完売の大盛況。懐かしい歌の数々、それぞれの相手役の方々が色んな演出で声の出演をされていました。何年たってもあの頃の歌を聞くと当時の情景が思い浮かびます。あの時の感情や出来事がその歌のメロディーと共に蘇り自分も当時にタイムスリップしてしまいます。

実は私、昔の歌を聞くのが苦手でした。昔に戻る気がして…前に進んでいない気がして。今を生きていない気がして息苦しく感じる事があったのです。でもこの日の歌は違いました。とても心地よい涙を流しました。「歌は生きて」いました。「昔」歌った歌は昔の歌では無く、「今」歌う歌でした。3人のスターさんは在団した時代の過去の歌を歌いましたが、そこには今感じる思いが込められていました。テーマの通り、確実に今を生き生きと生きて、今を楽しんでいました。だからこそ、昔の歌は今の歌になっていました。きっとそれは今を生きている中で新しく感じた感情が歌に込められるからでしょう。先輩たちは今を着実に生き未来に向かっていました。

一枚のチラシを抱きしめて帰っていったあのお客様。そのチラシを見た時にきっと昔の自分の想いが一瞬で蘇ったのかもしれません。それほど当時は深い思いを感じ、暫くその感情を眠らせていたのでしょう。一枚のチラシに込められた涙…涙によって少し浄化されたのかもしれません。あの涙が今、そして未来を生きる力になればと願います。チラシにそんな力があろうとは…そして一枚のチラシで泣かせてしまうスターというものの存在もまた「夢の力」です。

「過去」を思い出す事は「未来」を生きる力になる…たまには過去を振り返るか…

すーさん


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