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化学療法を受けている高齢の癌患者の不安と気分の乱れに及ぼす在宅運動プログラムの効果

こんにちは、こんばんは。
東海BiNI研究会 作業療法士 平松裕也です♪

本日は論文要約をしていきます。
今回の論文はこちらになります。
The American Geriatrics Society:インパクトファクター 4.3

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【背景・目的】
運動介入は癌患者の不安と気分障害を改善する。高齢の癌患者の研究は限られている。我々は高齢の癌患者の不安、気分、社会的・感情的な幸福に対する運動の効果を、最初の6週間の化学療法の間評価した。

【デザイン・設定・参加者】
探索的二次解析の無作為化比較試験
癌診療を実施している地域
高齢者(60歳以上)で化学療法中(N=252)

【介入】
患者は無作為に癌患者のための運動(EXCAP)または通常ケア(コントロール群)に化学療法の最初の6週間割り付けた。EXCAPは自宅で、低~中等度の前進歩行と筋力トレーニングである。
【測定】
共分散分析を用いて、研究群を因子とし、ベースライン値を共変量とし、研究群×ベースライン相互作用を使って、介入6週間後の不安(STAI:状態特徴不安尺度)、うつ(POMS:感情プロフィール検査)、社会的・感情的幸福(FACT-G)に対する効果を評価した。

【結果】
年齢中央値は67歳:77%は乳がんだった。統計上有意な群間差が観察され、STAIスコア(P=0.001)、POMSスコア(P = .022)、社会的幸福度(P = .002)、感情的幸福度(P = .048)だった。各アウトカムについて、ベースライン値がより悪かったEXCAP患者は、6週間で大きな改善があった:これらの改善は、STAIスコアと社会的幸福度において臨床上有意であった。

 【結論】
化学療法を受けている高齢の癌患者の中で、6週間の構造化された運動プログラムは、特にベースラインの症状がより悪かった参加者において、不安と気分が改善した。これらの集団患者における不安、気分、幸福度を管理する適切な運動処方の、発見と価値を見極めるには、追加のRCTが必要である。

【個人的解釈】
今回の論文では、対象・参加者が癌患者であり、療法士が対象とすることが多い”脳血管疾患””整形疾患”に必ずしも通ずるわけではないが、低-中等度の有酸素運動と抵抗運動プログラムにより不安・気分、幸福度の改善に寄与する可能性がある。
介入時間の中では、ベッド上での介入のみでなく、運動療法+抵抗運動を適切に加えていくことで、機能面のみでなく、精神的側面へのサポートにつながる可能性が高くなると考える。

以上です。

少しでも皆様の臨床の一助になれば幸いです♪
では、また。


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