フィンランドで日本食材を買う
これからフィンランドに渡航する、もしくは渡航して間もない方々へ。
和食を作るための食材はフィンランドで簡単に手に入るのか気になるところですよね。
どこで買えるか、何が買えるかを始めとして、自分がよく買っているものや日本から持ってきたほうがいいものも含めてお話しします。ご参考までに。
なお私はヘルシンキ在住者なのでヘルシンキに滞在する人向けの情報がメインとなりますが、他都市の方も参考になると思います。(たぶん)
主要なものは全国展開スーパーでOK
質にそこまでこだわらなければフィンランドの一般的なスーパーでほぼ揃います。昔はあまり見かけませんでしたが、昨今の寿司やアジア食のブームで手軽に買えるようになりました。
フィンランドのスーパーについての解説
スーパーの規模が大きければ大きいほど品揃えも多いので、小さい場所では取り扱いがなくとも大きいスーパーに行けば置いてあることは多いです。
なおKグループはフランチャイズ展開しているため、店(オーナーの意向)によって品揃えや雰囲気が大きく変わります。
いろんなところを見て回るのも面白いでしょう。
一般スーパーで買えるもの&見つけにくいもの
キッコーマン醤油
S-marketで1Lのを買うのがたぶん最安値です。
他ブランドの醤油(ヤマキなど)は好きではないので買っていません。
出汁
フィンランドで売っているものはコンソメのようなものがメインです。
ビーフ、チキン、魚、野菜など種類はありますが和風だしはありません。
出汁をとるための昆布や鰹節は、巨大スーパーなら取り扱っているかもしれませんが"無い"と思ったほうがいいでしょう。
また顆粒のだしはほぼ見かけません。
出汁に関してはアジアスーパーに行くのが確実です。
みそ
普通のスーパーでも手に入りますが、美味しくはないので味噌汁には不向き。ただドレッシングやソースとして使うなら気にはならないでしょう。
味噌汁用はアジアスーパーで買いましょう。
海苔
味が悪く値段も高いので普通のスーパーでは買わないようにしましょう。
Tokyokanかアジアスーパーがおすすめ。
Yutakaの海苔は本当にひどいクオリティです。
米
日本米は売っていませんがお粥用の米(Puuroriisi)が代用できるほど味が近く、また1kg当たり€2前後と値段も安いので助かります。
おすすめはRisella(リセッラ)。
スーパーのオリジナルブランドのものはこれより値段が安いものの、質が悪いものにあたる時があるので買うのをやめました。
粉もの
片栗粉はフィンランド人もよく使うためどこでも売っています。
また比較的大きいスーパーならば米粉、そば粉、粉寒天、パン粉もすぐ見つけられるでしょう。
他の粉もの、例えば白玉粉ときな粉はアジアスーパーで買うのが確実です。
【食材をフィンランド語で探す時の単語集】
片栗粉(Perunajauho)
米粉(Riisijauho)
そば粉(Tattarijauho)
粉寒天(Agar agar)
パン粉(Korppujauho/Panko※)
糖類
黒蜜はフィンランド人もよく使うため小さいスーパーでも売っています。
黒糖やブラウンシュガーも容易に手に入ります。
【食材をフィンランド語で探す時の単語集】
黒蜜(Siirappi)
黒糖(Muscovadosokeri)
ブラウンシュガー(Fariinisokeri)
ワサビ
普通のスーパーで売ってはいますが、原材料は西洋わさびを使用しています。本わさびはほとんど入っていないものが多いです。
質の高いものを求める場合はアジアスーパーに行きましょう。
からし、マスタード
フィンランドのマスタードやディジョンマスタードは普通のスーパーで買えます。からしは売っていませんが、マスタードで代用できるレシピなら問題はないでしょう。
トンカツやおでんなど、和からしでないと成り立たない料理を作る際はアジアスーパーで買う必要があります。
【食材をフィンランド語で探す時の単語集】
マスタード(Sinappi)
ディジョンマスタード(Dijon-sinappi)
コチュジャン
そこそこ大きいのであればスーパーに普通に売っています。
味にこだわるならアジアスーパーで。
オイスターソース
S-marketのcoopブランドが値段も安いのでおすすめ。
味もまあ悪くないです。
カレールウ
比較的大きいスーパーに置いてあることが多いです。
しかし動物性原料不使用のものなので日本で売っているものより物足りない味です。アジアスーパーで売っているものも含め、フィンランドでは植物性のカレールウしか売っていません。
日本で食べていたものを作りたい場合は日本から持って来ましょう。
ごま油
他のブランドのごま油を取り扱っていることがありますが、必ずPaahdettu、(または英語で)Toastedと書かれたものを買うようにしましょう。焙煎されたという意味で、この記述がないと生のごま油となり香りがしません。気を付けましょう。
おまけ:野菜やきのこなど
白菜、エリンギ、枝豆(冷凍)、木綿豆腐、チンゲン菜などの食品も最近は普通のスーパーでみかけるようになりました。
また健康食品が多く売られているRuohonjuuriでは小豆なんかを買うこともできます。ちなみにアジアスーパーでも小豆は買えますよ。
【食材をフィンランド語で探す時の単語集】
白菜(Kiinankaali)
エリンギ(Eringi または Kuningasosterivinokas)
チンゲン菜(Pak Choi または Pinaattikiinankaali)
小豆(Aduki-papu)
枝豆と木綿豆腐はそのままEdamameだったりTofuです。
酒とみりんは酒屋で買いましょう
フィンランドでは酒類の販売に大きな規制がかかっています。
そのため法律上、料理酒やみりんをスーパーで買うことはできません。
詳しくは別記事にまとめていますので興味のある方はどうぞ。
ではどこで買えるのかというと国営の酒屋Alkoで購入できます。
Alkoで買えるもの
みりんや料理酒といった料理用目的の酒類は中々売っていません。ですので一番値段が安い日本酒を買うのが手っ取り早いです。
状況に応じて日本酒の代わりに安い白ワインを使うという手もあります。
紙パックワインは日本酒に比べると安めです。
ただ、ワインは開けてしまうと日持ちしないので一長一短です。
高いけどここだけにしかないものがあるTokyokan
フィンランド在住者なら誰もが知ってる、日本人オーナーによる日本食スーパーTokyokan(東京館)です。
ただ値段の高さも割と有名です。中国系のアジアスーパーの方が安いことが多いので、ここでしか手に入らないものだけ買うようにしましょう。
ここで主に買っているもの
■焼き海苔
50枚入りで14,90€(ハーフカットなら100枚入りで同じ値段)くらいなので長い目で見ればコスパがいいです。味も悪くないので海苔はここで買うようにしています。
■ゆず味のポン酢
基本のポン酢や麵つゆは自作していますが、ゆず味のエキスを管理する※のが手間なので鍋用にはいつもこれを買ってしまいます。鍋だけじゃなくて卵のお粥や雑炊にかけても美味しいですよ。
■ハッピーターン
■調理器具
日本から持ってきていたすり鉢をうっかり落として割ってしまったときにお世話になりました。こういった日本ならではの調理器具も少しだけ置いてあるので助かりますね。値段は日本で買うより割高ですが、業者に頼んで日本から送ってもらうよりかは安いです。
【本命】安定の品揃えと価格 アジアスーパー
皆様おまたせしました。アジアスーパーのお時間です。
確かなる品揃えとTokyokanよりも比較的良心的な価格設定で日本人以外にも多くのアジア人を救っていることでしょう。
よく行くアジアスーパー
アジアスーパーの多くはヘルシンキ中心地かハカニエミ駅周辺にあります。
規模としてはハカニエミ駅周辺の店のが大きいので、時間があるならそちらに行ったほうがいいでしょう。
Vii-Voan
ヘルシンキで最初にできたアジアスーパーと呼ばれている老舗店です。
名前からも連想できると思いますが、ベトナム人オーナーによる経営でベトナムや中国系食材が豊富です。日本食材も少しですが置いてあります。
昔はここだけしか選択肢がなかったものの、次に紹介するJiaheや他スーパー台頭によりアイデンティティが失われつつあります。値段もそこまで変わらない、むしろちょっと高いくらいですし。
あと店の中が独特の匂いで買い物をするのがつらいです。正直臭い。
それでもなお行くとしたら、ここで売ってるエビのクラッカーが安くて美味しいことでしょうか。ハカニエミに来たついでに寄ることが多いです。
Jiahe Supermarket
ハカニエミ駅近くに中華系メインの本店とJKショップ(Japanese & Korean)、ヘルシンキの中心地Kaivopihaにも出店したりと多店舗展開しています。
元の母体が中華系スーパーだったこともあり、豆板醤や甜麺醤といった中国系食材も豊富です。韓国系のインスタントラーメンも品揃えがいいです。
また調味料だけでなく、シメジやマイタケなどのキノコ類、驚きの新鮮さのチンゲン菜やモヤシ、里芋なんかも売っています。
(売れ行きが悪いのか新鮮とは言い難いですが、蓮根や大根もあります。)
JKショップにも生鮮食品は売っていますが本店のが種類が少し多いです。
本店はJKショップ(ハカニエミ店)からは歩いて1分もかからない距離なので両方行ってもいいでしょう。
Kiina Supermarket
Kiinaはフィンランド語で「中国」という意味です。中華系スーパーマーケットですね。
このお店の利点は立地がいいことでしょうか。とにかく何かのついでに寄りやすいのです。
品揃えは特に突出したところはないですが菓子類は割と豊富です。Jiaheとはまた違った品揃えを楽しみたい人はぜひ行ってみてください。
他にも大小あれど、アジア系スーパーは増えてきています。
ぜひお気に入りのお店を見つけてみてください。
アジアスーパーで買えるもの
アジアスーパーに行く目的は主に、近場のスーパーで買えないもの、買えるけどもう少し質のいいもの、お菓子やインスタントラーメンなど嗜好品がメインでしょう。
(内容は多岐に渡るため商品別の紹介は省略とさせていただきます。)
日本から持っていくべきもの
持っていくべきものというよりは、アジアスーパーで手に入りにくいものなど自分が持ってきてよかったなと思ったものです。
食材、調味料
■乾物類(ひじき、切り干し大根、高野豆腐、花けずり鰹節など)
軽いものが多いので、乾物が好きな人は多めに持ってくるといいでしょう。
他にも乾燥油揚げなんかも日本に行ったときに買い込むようにしています。
出汁用こんぶと乾燥ワカメはフィンランドでも手に入りますが割高です。
鰹節(大きくて固い)や昆布、ワカメ以外はあまり見かけません。8年前くらいに高野豆腐を見かけましたが、取り扱っていた店はだいぶ前に閉店してしまいました・・。
■質の高い食材(茅乃舎のだし、こだわりの味噌や特別なカレールゥなど)
だし、みそ、カレールゥはフィンランドで売っていますが日本のものに比べると質は落ちます。たまの贅沢用や人に振舞う時のために高い品質のものを持っていくのもありでしょう。
■心を回復させる食べ物
フィンランドの冬は長く鬱になりやすいです。それでなくとも慣れない土地で暮らすということは心にも大きな疲れが出てしまいます。
よく飲んでいたお気に入りのお茶や菓子、お酒など自分にとって大切ともいえる、心が安らぐようなものも持っていくようにしましょう。
私の場合は永谷園のお茶漬けです。
調理器具
■箸と菜箸
箸はこちらでも売っていますが、当然割高で選択肢も多くないです。
菜箸もダイソーので十分なので料理をする方にはぜひ持参をおすすめしたいです。ポテチを箸で食べる人は必須なので数セット持っていきましょう。
■卵焼き用の四角いフライパン
四角い卵焼きが好きなので念のため持ってきました。
Tokyokanでも売ってたりするのでしょうか?
■京セラのおろし器
料理する人はぜひ。すりおろし器はフィンランドにもありますがこの形でセラミック素材のは見かけません。
あとは好みになりそうです。つまり工夫次第でどうとでもなります。
持ち込み時の注意事項(税関)
フィンランドはEU外から一部の食品の持ち込みを規制しています。特に肉製品と乳製品は厳しい規制があります。黙っていればバレないと思う人もいるでしょうが決まりは守りましょう。
例えば食材には肉が含まれているものが多いですが、体感としては肉のかけらが入っているものはNG、肉のエキスなど原形をとどめていないものはOKな印象です。(詳しくはご自分で調べることをおすすめします。)
なお酒類の持ち込みも一定量以上は課税対象です。気を付けましょう。
居住国や旅行時の滞在期間などによって色々と取り決めがあるので詳しくは下記をどうぞ。
また単品価格が€430を超えるものを持ち込む場合は課税対象となります。超えないよう気を付けるか、入国時に税関に申告するようにしましょう。
おまけエピソード
去年日本に行ったときにちょっとお高めの炊飯器を買いました。
価格は€600としっかり€430越え。ビックカメラのレシートを手に握り税関を尋ねました。
フィンランド入国時刻は早朝5時過ぎ。自分以外には1組の夫婦しかおらず閑散としていたためか、税関窓口には誰もおらずベルを鳴らして人を呼ぶ羽目に。
少しすると奥から眠そうに職員が一人でてきました。
課税額が大したことなかったのか、夜勤で眠たくてどうでもよくなったのかスルーされました。追加でいくら払うことになるかシミュレーションまでしたのにまさかの€0でした。
こういうこともあるみたいですね。