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猛暑の新潟湯治③【新潟の美味い水と米と納豆】

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 南魚沼の五十沢いかざわ温泉を発ち、最初に向かったのは名峰八海山の裾野にある「雷電様らいでんさまの水」。日本酒八海山の仕込水であり、魚沼コシヒカリを育む伏流水は、林道を抜けて少し開けた境内の中に顕現した。

 石像菩薩の基礎に龍の顔があり、口から透徹な伏流水がバシャバシャ飛び出していた。荘厳な雰囲気の中、両手ですくい喉から流すと、霊験すら錯覚するように身体に浸透する。
 惜しげもなくドバドバと流れる水は溜まり池を作り、今にも飛び込みたくなる衝動を抑える。この日も凄まじい暑さだった。

 通常であればポリタンでキャッチするが、逗留先にも上質な水源があるためここはペットボトルで4ℓ分採水。喉を潤しながらドライブは続く。

 次の立ち寄り地は浦佐にある「大力だいりき納豆本社」。
地域の生活基盤であり、鮎の生息地としても知られる魚野川の土手の裏。何度行っても場所が分かりにくいが、町工場の並びにある「納豆直売」という旗を目印に。

 ここでは過去に全国納豆品評会において、唯一2度の最優秀賞を戴冠した逸品が製造されている。東京のデパートや通販でも購入が出来るが、当然の如く流通チャネルに乗ると値段は色が付く。本社では元値で購入できるので、年に一度だが魚沼近辺に来た際は寄ることにしている。

 玄関を入るとおじさん
「今日はセールをやっていますので、裏の駐車場へ」と。

 何の予備知識もなかったが、半年に一回特売が行われるそうだ。
裏手に回ると長机の上に徐に発泡スチロールが並べられ、通常の二割引き程度で各種納豆が売られていた。湯治期間中は毎日食べるので、3種類を購入した。

 本当にたまたま特売日だったが、どう告知をしているのか、次にいつ開催されるかは不明のまま。10分くらい現地にいたが誰も客は来なかった。

 
 灼熱となってしまった車内に戻り、下道をじりじりと北上する。
宿を出てから3時間、正午過ぎに弥彦に到着。道中路肩に出ていた気温表示計は35度を指していた。
 県内一のパワースポットでもある彌彦神社、そして硫黄成分を含有する弥彦温泉があることは重々承知。だが暑さと体力不足のため逍遥は断念。

 
 本懐を遂げるべく「農産物直売所やひこ」に向かうと、ゆもとかん旧館の女将さん仰せの通り、おにぎりと豚汁セットが350円で出ていた。米は弥彦産のコシヒカリを羽釜で炊き上げ、山形に近い景勝「笹川流れ」で作った藻塩を使用しているようだ。

 5分ほど待つと豚汁と沢庵、そして球体に近いおにぎりが二つ出てきた。「塩(えん)むすび」というらしい。元々水分が多いコシヒカリ、炊き立てはまだ熱く箸でいただく。

 米は硬さで好みがハッキリ分かれるとは思うが、もちもち系が好きな私の衷心を完全に捉えた。豚汁と塩をおかずに食べ始めると2~3分のうちに無くなってしまった。
 この日は朝から何も食べていなかったので、もうワンセット頼もうか迷ったほど。卑しいと思われそうでここで止めておいたが、もし再訪の機会があれば最初からおにぎりダブル(4個)を注文すると思う。

 昨今の原価高騰や増税により、コンビニのおにぎりを見ても「高くなったな」と思うことがある。一から米を手作りするゆもとかんの女将が強く薦めたそれは、具こそ入っていないが陶酔してしまうほどの満足感だった。

 直売所に出ている同じ米を2kg購入し、新潟市南の出湯温泉へと向かった。魚沼から直接来るよりも40分ほどの迂回路だったが、上等な昼飯と主食を手に入れたことを勘案すれば、無駄足ではなかったと思念している。

つづく

                           令和4年7月14日        

雷電様の水 右に湧水処
魚沼産コシヒカリを育てる伏流水
ドバドバドバドバ
大力納豆本社 場所は分かりにくい
たまたまセールをやっていた
日本一の納豆たち 結構種類がある
普段はこの入口で購入する
弥彦の直売所 軽食のイートインスペースがある
藻塩のおにぎり(200円)と豚汁(150円)
上等な昼食 確かに旨いわ

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<大力納豆>

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