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マーケティング基礎講座@東北ターンLab.【きっかけ食堂個別プログラム②】

今年4月から宮城県石巻市のNPO法人TEDICで活動しています、高橋亜花梨です!
元々は仙台のボランティア団体で活動していて、その時の繋がりから声をかけていただき今は石巻で活動しています。

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TEDICで私は、「石巻の環境資源を活用して子どもにアクティビティを提供する」ということを目的に活動しています。

モノづくりに興味があり、「旅をしながら、全国でモノづくりに携わる人と会ってみたい」という思いから大学を1年間休学しています。が、このコロナ禍でなかなか県外に出られず、10月になってもまだ丸1か月しか旅に出られていません…。

さすがにこれでは何のために休学を選んだのか分からなくなってしまう…と思っていたのですが、東北ターンLab.に参加してから「もっと東北にフォーカスしてみたい」「オンライン上でもできることってたくさんあるんだ」と気づかされました。

「人とのつながりを保つ」ということが苦手な私ですが、少し頑張ってみよう!と思えるきっかけにもなりました。

このnoteの投稿を読んでくださっている方とも、ぜひいつかお会いできるといいなぁと思いながらこれを書いています。

きっかけ食堂 個別プログラム第2回

はじめに
今回は前回に引き続いて、きっかけ食堂の個別プログラム第2回「マーケティング基礎講座」です。

前回は、ゲストの大貴(ひろたか)さん自身のキャリアや活動のお話でした。
今回はより実践的なマーケティングの手法についてお話していただきます。

ゲストの大貴さんのプロフィールや、「なぜマーケティングがテーマなのか?」ということについては、前回ちさってぃさんが書いてくださったnoteをご参照ください。

講座スタート!

改めて、きっかけ食堂個別プログラムのテーマをおさらいすると…

“マーケティングの概論を理解し、地域企業の販促をサポートできる力を身につける“こと。

実際にきっかけ食堂の課題解決のためのマーケティング施策を考えるのが最終的な課題です!
今回はそのためのインプットの時間になります。

前回の内容を軽くおさらいすると…

マーケターとは?
マーケティングのスキルで「事業を成長させられる」人。
マーケティングとは?
一般的には→商品をより多く販売し、利益を上げること。販売を不要にすること。ニーズに応えて利益を上げること
伊藤さん的には→「顧客と価値をやりとりする関係になる」ために仕組みづくり。
結局は関係づくり=『仲間づくり』につながる。

この前提をもとに、今日はマーケティングについてより具体的な手法をインプットしていきます!

ここで大貴さんから質問!

「やったことがあるor知っている“マーケティング”施策を教えてください!」

・SNSでの発信
・Google検索で上位に出したり…
と、さまざまなアイデアが挙がってきます。

では、答えは?

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・お客様からヒアリング
・データの取りまとめ
・そこから企画をつくる
・企画を社内に通す
・それに伴う各種調整
・テレビ、雑誌、看板、デジタルサイネージ、ラジオ
・店舗に物をだす
・動画、HP、SNS、検索で上位に出すようにする、LINE、メール etc.…
 →大貴さんによると「これがすべてマーケティングになる」そう!

これらを組み合わせてお客様と価値をやり取りできるようになる仕組みをつくる、この流れ全体を『マーケティング』というそうです。

「マーケティング」と一言にいっても、さまざまな施策があるんですね…。
これらの中で一つだけ、ではマーケティングは成立しない。これらを網羅しなければならない…と考えたら気が遠くなりそうです。

…じゃあ、何から考えたら?

マーケティングがさまざまな段階から成ることはわかりました。…では、私たちは何から考えたらいいのでしょうか?

最初に問うべきことは、「そもそも何故『マーケティング』が必要なのか?」ということ。
マーケティング以前の問いとして、大きく2点大事なことがあります。

①背景と目的「そもそもどうしてマーケティングをしたいの?」
②目標と現状「具体的にどこを目標にマーケティング活動を行うの?」

きっかけ食堂を例にとると、

①背景と目的
・『日本一、東北に楽しく関わる“きっかけ”になる』ため
・もっと賛同者を増やしていきたい。(「寄付者」以前にまず「賛同者」重視)
②目標と現状
・寄付者も賛同者も、11日の食堂に来てくれた人が多い(8割方)。
・まず食堂の参加者を増やせると活動が伸ばせそう。
→だからマーケティングに力をいれたい。

この2点をヒアリングすることで、「なんとなく伸ばしたい」よりも勘所がわかります。

全体をとらえる

全体をとらえるために、まずは「マーケティング」の流れを押さえていきます。

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【バックグラウンド】
 「なんでマーケティングが必要なの?」
【インプット】
 「よりちゃんと届けきる」ためのインプット
 何を根拠に?(こういうユーザーの声があったからこう思っていそうだ、等)
【アウトプット】
 どんなアウトプットを出すべきか?どう届けるのか?
【アウトカム(結果)】
 背景に対してどんな結果が求められるのか?
 クリアすべき制約は?(人、お金、期限、等…)

・こういう背景があって、こういう結果を求めている。アウトプットが出てこない…
・アウトプット・インプットがあっても結果(アウトカム)が出ない。なぜ?

…といった問題が出てこないように、軸がどこにあるか考えてバランスをとる必要があります。

今回は“アウトプット”を中心に具体的な施策を考えていきます!

【アウトプット】の考える順番は?

では、【アウトプット】は何から考えたらいいのでしょうか?

①誰に?どんな価値を? 『価値を定義する』
②どんな手段で?どんな表現で? 『届け方を設計する』

それぞれ詳しく解説していただきます。

①誰に?
大貴さんが挙げていた例をご紹介します。
女子が重いものを運ぼうとしているときのことを考えてみます。
一人では持ち上げられないものは、当然誰かに手伝ってもらいますよね。できれば男子で、力のある人がいい。
その際、「みんな来て!」と声を上げるだけで、「求めている人」は来るでしょうか?
「私は関係ない」と思い、誰も来ない…という結果になることが想像できます。

では、「力自慢の男子、手伝って!」と声を上げたらどうでしょうか?
力自慢の男子が「自分のことだ」と認識し、行動を起こしてくれる可能性が高くなると思います。

マーケティングもこれに似た構造があるそう。
「自分のことだな」「自分に声がかかっている」と思わせないと、興味を惹かない。
ということは、「誰に声掛けしているのか」クリアにすることが鍵になると言えそうです。

ここで一旦、大貴さんからの質問タイム!

ここで大貴さんから参加者へ向けて質問が。

・あなたのお客さんはどんな人ですか?
・あなたが価値を届けたい人は誰ですか?

参加者の方それぞれ、自分が思い描く人を書いていきます。
私自身では、”石巻圏域の子どもたち”を思い浮かべました。

じゃあ、そのお客さんたちに価値を届けるためには、具体的にどう目標を設定していったらいいのでしょうか?

大貴さんによると、ニーズが多様化する現代においては属性で切り取るのはやや粗めなんだそう。ニーズが多様化することによって、声が届きづらくなっているそうです。

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コア(中心)となる相手を見つける

△「若い人多めだけどいろいろいる」のように、ざっくりした目標だと届けたい相手に届かない
〇「XXだと思っているYY代男性」のように、「思い」ベースで考えることも重要なんだそう。

『ペルソナ』を描く
先ほどの話をベースに、さらに踏み込んで『ペルソナ』を描いていきます。

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ある程度、「一人の人間」というのがイメージできるまで『ペルソナ』を練っていきます。
この人がどうやってきっかけ食堂と出会って、どうやって好きになっていくのか、ストーリーを考えます。

私の例で考えると、”石巻圏域の困窮家庭の子ども”が、”普段どういう生活をしていて、何が好きで、何を体験として求めているのか”ということを当てはめて考えていました。

どんな価値を?
『ペルソナ』が描けたら、次はその人に「どんな価値を届けるのか?」を考えていきます。

では、(マーケティングでいう)価値とはなんでしょう?

『バリュー(価値)』とは
 対価(お金や時間)を払ってまで得たい体験(効果・変化・充足感)
『バリュー(価値)がある』とは
 (購入前)対価に対して得られる体験に納得している
 (購入後)対価に対して得られた体験に満足している

ここで注意が。相手方のニーズ(要望)を単に聞いただけでは成立しません。
抑えるべきはインサイト(隠れた心理)の発見・考察です。

こういうときにペルソナが役立ってきます。

・彼がわざわざお金を払って時間を使ってくる理由は?
・何に価値を感じている?何がなくなると価値を感じなくなる?

表面的に言っていることを受け取るだけなく、深堀をして、観察し、データを見て、さまざまな手段をつかいます。

また、マイナスの感覚とプラスの感覚、両方を考えることで「ジレンマ(葛藤)」が見えてきます。
このジレンマ(葛藤)は価値提供のヒントになります。この葛藤が行くか、行かないかの瀬戸際になっているので、これに対してアプローチするのが大事なんだそう!

私自身は今まで「マイナスを解消する」ことばかり考えていたので、「マイナスとプラス両方を考える」という視点は目から鱗でした!

どんな手段で?
次は、届くまでのストーリーを『段階分け』して考えていきます。

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媒体によってそれぞれの得意分野が違うので、どこが勘所なのか考えながら使うツールを決めていきます。
また、サービスによって強いところと弱いところがあります。ここでもまたペルソナが役立ちます。例えば、自分が届けたいと思った相手がおじいちゃんなら、SNSでの発信は届きづらいですよね。
どんなコミュニケーションをとれば、どんな出会いがありうるのか?を考えます。

どんな表現で?
ポイントは、狙った相手が狙ったタイミングで見てくれて時に“腹落ちする”伝え方にすること。
そのために伝えるのは“メリット”ではなく“ベネフィット”

マーケティング的にはこの2語をこんなふうに使いわけます。

(お客さんの目的や困りごとに対して…)
メリット(利点):変化を起こせる要素(発信者視点)
ベネフィット(便益):体感できる変化や効果(相手視点)

ここで実際にワークをしていきます!

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この商品のベネフィットをどう伝えればユーザーが体感できる・イメージできるでしょうか?どういう伝え方ができるでしょうか?

ベネフィット(便益)
・長時間でも疲れず、制作活動に没頭できる!
・マンションでも気にせず、いつでもDIYできる!
・女性にも子どもにも扱いやすい!家族みんなで楽しくDIYしよう!
・替え刃の買い替えも少なくお得!

届けたい価値は、POPで変わってきます。
「高いけど買う価値がある」「ほかにはできないことができそう!」と思わせれば、実際に購入するという行動に繋がります。

同じベネフィットを持つ商品でも、「誰に宛てるのか」で内容が全然変わりますね。

最後に質問タイム!

Q.「広報」と「PR」の言葉の違いは?
・PR…双方向のコミュニケーション。社会が求めているものを届けること。
・広報…「関係者」に対して情報を伝えること。自分が届けたいものを届けること。単一方向。

<接触ツールのチャネルの特徴について>
Q.SNS接点と検索(Googleでの検索)接点はどう違う?
A.「情報を求めて検索をする=モチベーションがある=高い確率でアクションを起こしてくれる可能性がある、ということに繋がる。一方SNSは、投稿を起点に1回検索が挟まれることが多いので、SNS投稿だけでなく検索接点を押さえることも重要になってきます。
SNSで認知を広めることはできますが、売れるかは分かりません。SNSで接点があっても、検討段階で検索したら出てこない!という状況になると、顧客の不信感へつながってしまいます。モチベーションが高いユーザーを逃さないためにも、検索接点を押さえることは重要といえます。」

Q.TikTokとInstagramとTwitterはどう違う?
A.「ビジュアル寄りのSNSはInstagram。個人のアカウントを狙うのか、趣味用のアカウントを狙うのか、でも使い分けができます。
リアルタイム性、バズりやすさのあるSNSはTwitter。取れるコミュニケーション量も多いので、誠実さや人の良さをアピールすることもできます。
TikTokは、最近20代~30代のユーザーも増えてきています。TikTokは流れてくる映像を無思考でみられる(=フラットな心理状態で見ている)ので、YouTubeなどと比べて広告が流れても煩わしさを感じることが少ないそう。当たりさえすれば、他のSNSよりもインパクトを与えられそうです。」

「提供したい価値やペルソナを組み合わせ、どのSNSを運用するのか、どう運用するのか、一連を設計するのもマーケティングの一部といえそうです」(こうせいさん談)

講座終了!

…と、ここで90分に及ぶマーケティング基礎講座は終了!
次回のプログラムでは、実際に施策を作るためのきっかけ食堂へのヒアリングを行います!

最後に

かなりボリュームのあるマーケティング講座でした!
実際マーケティングを生業にされている方に講義していただく、というなんて贅沢な2時間を過ごさせていただいたんだろう…!と思いました。

私が今TEDICで挑戦している事業でも、「子どもたちに届ける」ではなく「今、子どもに何が不足していて、何を求めていて、私たちに何ができるのか」を考えたうえで、「どうやったら届けることができるのか」を改めて考える機会になりました。
特に、「誰に声をかけているのかクリアにする」というところは今までなかった視点でしたし、重大な欠点だった…と反省しました。

そして何より、前回の記事でちさってぃさんも書かれていましたが、「マーケティングはあくまでコミュニケーションである」ということが強く印象に残りました。

前回・今回と合わせて、「マーケティング」という言葉の印象が大きく変わった講座でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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