ないなら自分でつくる?
お仏壇の代わりになるもの
父のお仏壇探しから、欲しいものがないことに気づいた私。
思い切って”仏壇の代わり”になる品を作ってはどうか?と考えるようになりました。
これから5年先、10年先を考えると、私と同じように感じる人が増えるだろう。
そして、そのような人たちは既存のお店に行くことなく、ネットで探すだろう。
だったら”仏壇の代わり”を提案できるのではないだろうかと。
そもそも、私は木が好き。工芸やアートも好きでした。
宗教や信仰によらず自由に祈るといっても、大切なものに向かってお祈りしたい、拠り所となるものが必要だと思いました。
そこで考えたのは「本物の素材を使うこと」、「丁寧に手仕事でつくること」の2つ。
例えば、無垢の木材を使って、腕利きの木工職人さんが手仕事で作る。さらに漆の仕事が加わってもいいかもしれません。
時間をかけた手仕事の中には、真摯な精神が宿っていると感じます。
どんなかたちで?
知り合いの木工ロクロ職人さんから、箱物作りに優れた木工所を紹介してもらいました。
もともとは仏壇を製造していた職人さんで、今は遊山箱など無垢材を使った家庭向けの製品作りをされています。
”直角の達人”といえるくらい、レベルの高いものづくりをされる職人さんに出会うことができました。
デザイナーさんにも協力してもらい、かたちを妄想しはじめました。
イメージする条件はこんな感じ。
スペースがなくても祈れる場を作る
ホコリが溜まらないようにする
最終的には本棚などに収納したい
まずは大きさ。ネットでも、サイズ感が伝わるようにするには、みんなが知ってる何かに例えると直感しやすいと考えました。
思いついたのが、あの定番辞書の”広辞苑”です。
誰もが一度は見たことのある辞書だから大きさをイメージしやすいだろうと。その背幅や高さを参考にしながら検討を進めました。
辞書のように、表紙と裏表紙を扉としたらいいのでは?・・・という発想が生まれた頃に、デザイナーさんに書いてもらったスケッチがこちら。
どんな素材で?
ところで、今店頭で見かける仏壇の多くは合板で作られています。
中は合板で、表面には違うものを貼っています。
薄く削った木を貼る場合もあれば、木目模様を印刷したものを貼っている場合もあります。
普段、無垢材を住宅や家具に取り入れている人から見ると、合板を使用した仏壇には違和感を持つだろう思いました。
そういえば、ネットで探しても、無垢材のテーブルは売っていますが、無垢材のミニ仏壇はほとんどありません。
さて、さきほど考えた「本物の素材を使うこと」、「丁寧に手仕事でつくること」の両方をかなえてくれるのが、今回出会った”直角の達人”です。
”直角の達人”は、長い間、工房で乾燥させた無垢材をお持ちでした。
一般的な木工所は、無垢材をストックしていません。
その理由は・・・合板が普及してしまったから。
すぐに手に入り、加工もしやすい合板で作る日々だと、高価な無垢材を買い置きしておく必要はないのです。
一方、”直角の達人”はずっと以前から、将来を見据えて無垢材のストックをお持ちでした。
木の製品を作るには、”乾燥”が大切なポイントになります。
伐採して1,2年あるいは数年しか経っていない木材は、しっかり乾燥ができていないため、製品に仕上げても、ゆがみなどが発生してしまう可能性があります。
箱物をきれいに仕上げるには、長い時間をかけてゆっくりと乾燥させた木材を使うことが大切なのです。
しかも、木材乾燥機で急いで乾かした物ではなく、ゆっくりと自然乾燥させたものが一番なのだとか。
さて、話し合いを繰り返し、”直角の達人”がお持ちの木材の中から、ホワイトアッシュを選び、最初のプロトタイプを作ることになりました。
並行してブランド名の検討も必要です。
ネーミングについては、また次回に・・・。
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