SDGsの重要性について

個人的な感覚としてここ2年くらいでSDGsという言葉をよく聞くようになったなと感じています。新聞とか本とかを読んでるとちょくちょくSDGs関連のことを目にします。

中にはCMで、我が社はSDGsに取り組んでいます、ということをアピールしている企業もあります。

 SDGsをまだ知らない人、あるいはSDGsは聞いたことあるけどよく分かってないという人も中にはいると思います。というわけで、今回はSDGsについて書いていきたいと思います。

SDGsとは

そもそもSDGsとはどういう意味かというとSustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標という意味です。持続可能な開発ってなんだ?と思うかもしれませんが、これは「将来の世代がそのニーズを満たせる能力を損なうことなしに、現在のニーズを満たす開発」という風に定義されています。これはちょっと噛み砕いて説明します。

例えば、ある世代の人たちがウナギが大好きでニホンウナギを獲りすぎて絶滅させてしまったとします。すると例えばその50年後に生まれた人たちがニホンウナギが食べたいとなったとしても、もう手に入れることはできないわけです。

こういった状況では、早く生まれたほうが得で、後の世代になるほど貧乏くじが回ってくるということになります。将来世代が欲求を満たせないのでこれは持続可能でない開発です。

持続可能な開発では、将来の子供たちもニホンウナギが食べれるように、漁獲量を調節したりニホンウナギが生息する環境を守ったりします。こうして世代間の不公平が起きないように開発をします。

SDGsはそういった持続可能な開発に対する目標なのですが、それは誰の目標なのかというと、全ての国々の共通目標となっています。

2015年9月に国連持続可能な開発サミットというのがNYで開かれて、そこで全会一致で採択したアジェンダ(会議の成果文書)がTransforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Developmentというものですが、そこに書かれている目標の部分がSDGsと呼ばれているものです。

なのでこれは国連に加盟している全193カ国が目指す目標ということです。さらに言うと、国がというより民間企業もNGOも含めあらゆる人がこれに取り組むことが望まれています。採択されたアジェンダをざっと見てもらうとわかるのですが、全員でやるぞという意思をすごく感じます。

それでSDGsはGoalsとなっていることから分かるように複数の目標が含まれています。SDGsは17の目標と、そこからさらに細かく設定した169個のターゲットから成りたっています。

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細かいターゲットは以下のように目標の下に設定されています。

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目標は大きく社会に関するもの、経済に関するもの、環境に関するものの3つに分類ができます。
具体的に見ていくと、社会に関する目標としては目標1の「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」なんかがあります。経済に関する目標としては目標12の「持続可能な生産消費形態を確保する」などがあります。環境に関する目標としては目標14の「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」などがあります。

実際に目標、ターゲットに目を通した方が掴みやすいと思うので、興味のある分野だけでも見てみると面白いかもしれません。

また、SDGsには期間が定められていて、2016年1月1日から2030年12月31日までとなっており、15年かけて達成を目指すものとなっています(ターゲットによっては、これより早く達成期限がくるものもあります)。

なので今は5年が経過したところであり、ちょうど1/3の地点にいます。まだまだこれから10年かけて根気よく取り組んでいかなければならないということで、まだ取り組んでいないという人も今から初めても遅くはないということです。

サステナビリティーの歴史

最後に、持続可能性についての議論の歴史について軽く触れたいと思います。
SDGsは2015年に決まったものですが、これは別に最近生まれた新しい考え方というわけではありません。その前から持続可能性を考えて開発する必要性についての議論はされていました。

国際的に環境問題というのが取り上げられ始めたのは、国連人間環境会議が行われUNEPが誕生した1972年からだと思いますが、約50年前のこの時から、環境を犠牲にした短期目線の開発には限界があるということがわかっていました。

環境と開発というのは相容れないものだという議論から発展し、両者の妥協案というか統合したものとして、1980年代に持続可能な開発(Sustainable Development)という概念が誕生しました。

"持続可能な開発"は1980年にIUCNが発表した『Word Conservation Strategy』で初めて登場し、1987年に国連のブルントラント委員会が提出した『Our Common Future』と題するレポートで初めて国連の舞台に出てきました。冒頭で述べたSDGsの定義というのはこのレポートに書かれている定義となります。

Sustainable development is development that meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs. (『Our Common Future』より) 

その持続可能性という考え方が実際に普及し始めたのは1992年の国連環境開発会議、通称地球サミットと言われています。同じ年、今日は有名な気候変動枠組条約(FCCC)や生物多様性条約(CBD)というのが生まれました。

この時から持続可能な開発に向けた様々な国際的な行動指針、目標が順次出てくるようになりました。具体的にはアジェンダ21(1992年)やMDGs(2000年)といったものがこれまで採択されてきました。その延長線上にSDGs(2015年)が続いています。

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というわけで持続可能な開発というのは2015年にSDGsが採択される28年も前から国際的な議論が始まっているということです。貧困や衛生などの一部は改善の兆しがあるものの、いまだに解決できていない重要な問題となっています。

個人的な思い

こういう持続可能性の問題で一番苦しいのは誰かというと僕ら若い世代、そしてまだ生まれていない将来の世代だと思います。そういう下の世代ほど、一生のうち長い期間を、狂った天候や壊れた環境のもとで生きていかなければならなくなります。

僕は一若者として、こういう後ろにつけを回すようなことをしてきた上の世代の態度というのは尊敬しません。自分は後輩世代に対しては責任ある引き継ぎをしたいと考えています。

また、人間にとっての利益という観点で環境問題に取り組むことに対しては引っ掛かりを感じています。数百万〜数千万種いると言われる地球の生物のうち1種類の生物のために最適化された環境は、生物多様性の観点から望ましくないと思いますし、そういう狭い視野で臨む環境問題はまた別の問題を引き起こすだろうと思います。


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