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不動産投資の視点で考える賃貸と持ち家

ライフプランを考える上で無視して通れないのが「家」です。賃貸にするか、持ち家かというのはまず頭に浮かぶ選択肢だと思います。いずれにしても不動産投資の考えを持っているかどうかで、見えてくる景色は変わってきます。この記事では、両者の是非ではなく、それぞれの背後にある不動産投資家の考えについて見ていきます。

賃貸

賃貸の家に住むということは毎月一定額を大家さんに支払うということになります。この場合大家さんが不動産投資家です。なぜ大家さんが大家さんをやっているのか、考えたことはあるでしょうか?

大家さんはご存知の通り、アパートやマンション、戸建などの不動産を所収し部屋を人に貸し出す人です。大家さんはどのような理由で部屋を貸し出しているのでしょうか?それはもちろん儲けるためです。では、どれくらい儲かるのでしょうか?具体的な例で考えましょう。

大家さんはまず、家を仕入れる必要があります。自ら新しく家を建てる場合もありますし、中古として売りに出ている家を買うこともありえます。例えば、ある地上7階建36部屋の築20年の中古アパートを4億3600万円で買ったとしましょう。

一人暮らし用の部屋で家賃は月63000円としましょう。部屋数は36戸あるので全て部屋が埋まった場合、月226.8万円の家賃収入が得られます。年間では2721.6万円で、購入価格の6.24%となります。つまり、満室状態を維持すれば16年で購入費用を回収できるわけです。その後にもアパートは残るので、大家さんはそれ以降は年2721.6万円の不労所得が得られます。もし、16年後のアパートの資産価値が2億円だとすれば、売却することで利益を得ることもできます。

これが大家さんの行なっている不動産投資です。なお、こちらの計算では理想的な状況を想定していますが、常に満室とは限らない、家賃が常に一定とは限らない、周辺環境が常に一定とは限らない、など多くのリスク要因も存在しています。大家さんがローンを組んでアパートを購入した場合は、変動金利だと金利が上がるリスクも存在します(家賃を上げて対処する場合もあります)。

先ほど大家さんはアパートを所有していると言いましたが、必ずしも1棟丸々所有しているわけでもありません。1部屋だけ持っている場合もあるわけです。つまり分譲マンションの1部屋を買って貸し出すというわけです。こちらであれば1部屋数千万円で買うことができ、資金の少ない大家さんには優しいのです。

最近は、不動産会社が分譲マンションを大量に買い付けて一般サラリーマンに対して、1部屋1600ー2000万円程度で売って部屋を賃貸に出して家賃収入を得られるようにするサービスもあるようです。1部屋大家さんになるハードルはかなり下がっています。

持ち家

持ち家の場合、自らが不動産投資家となります。先ほどの大家さんの例と同様に考えるならば、買った家を自分に貸し出す大家さんと見ることもできます。

投資家たるもの、いかにして資産を増やすかというのを考える必要があります。持ち家の際に重要な点は、建物価値は何年でどれだけ減少するのか、あらかじめ決まっているということです。戸建なら22年、マンションは47年、木造アパートは20年経過すると価値が0円になるといった具合です。

なので、4000万円の新築戸建を買って22年後の資産価値と、同額の新築分譲マンションを買って22年後の資産価値を比較した場合、よほど戸建の土地が値上がりしていない限り、後者の方が資産価値が高いわけです。一生そこに住むのなら資産価値の差なんて意味がない、と考えることも可能ですが、後者であれば売却して利益を出し住みかえることもできます。また、近年は主に都心マンションの価格が上がっていることもあり、いずれ売却することを見越して分譲マンションを高額で買う人も多いようです。

賃貸であれば、部屋の広さにあった人数が住むので気にせずにすみますが、持ち家の場合、住む人数が変わっても広さは変えられないという問題もあります。四人家族用に家を買っても、子供が自立したりすると20年後は二人しか住まない、ということも十分考えられます。たまに帰ってくる子供のためにスペースを常に用意しておくべきなのかはよく考える必要があります。

田舎のおじいちゃん・おばあちゃんちに好きなタイミングで泊まりに行ける、というのは子供・孫からすれば嬉しいものですが、受け入れる側の負担は重くなります。最近では、老後は夫婦二人住める程度の家に住みかえるというライフプランを考えている人もいます。帰省する際はホテルに泊まる、といったことも今後は増えていくのではないでしょうか。それこそ、帰省用ホテルを提供する不動産投資家が出てきてもおかしくないと思います。

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