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2019。judgment.

安心して慢心ぎみになっている間だって日々は続いていくわけで、ずっとそのままでいいよと言ってくれるその想いでどこまでだって行けそうな気がする、というのは私とあなたの間にあるこの蒸留されたやさしい世界のうちでのみ通用するルール。私はあなたに満足していてあなたが愛してくれる私自身にも満足しているのだけれどその曇りなく正しい事実だけでゆるしてもらえるほどこの社会は甘くはない。いや、ほんとうは、社会まで甘かったら文句なんかひとつもないのだけれど、そうでないからせめてあなたが社会から目を一瞬背けた先に映るかもしれない私とのコミュニケーションとか、ネット越しでも画面越しでも何越しでもいいからあなたの眼に映る私くらいはあなたに甘ったるくあればいい。甘ったるい世界がせめて存在することを許されますように。と、願うだけではやっぱりなんの保証もないわけで。まあ、そんな、わたしたちみたいな自由でやさしい生き物にこそ障壁の多い世界で、だからこそ、出会えたね。たのしいこと探しに来たの?かわいいものでも見たかった?やさしくされたい?心えぐられたかったの?何かに感動したかった?哀れみのかわいいを渡したくなった?だれもこの世界にいないような気がした?なんでもいいけど、出会えたね。そうして、あなたがたとやさしさを交換し続けたせいで、わたしすっかりあったかくてやわらかいひとになってしまったようだから、わたしたち、こんなにあったかくてやわらかいままでもこの世界を愛せるよう、こんなに不器用で誤解されやすくて悲しいことの処理もへたくそで理不尽に弱くてほんとうはプライドも金色に高く硬くそびえたままでいびつな形をしている自分自身にすっかり愛着が湧いてしまった手遅れの最高な身体のままでもこの世界で生き延びることができるよう、居場所を、力ずくで作っていこう。と、決意する、夜。

不遇や不幸をばねにして立ちあがるとか、そういうのすごく泥臭いみたいでいやだけど、私は本当の人生を生きていくことが夢なので、こういう悲しみは鮮やかな線を描くために必要だったのだと思いましょう。私の周りには調理しがいのある悲しみがいくらでも転がっている。心とからだ、どちらを売っているのだとしても冗談みたいな報酬をもらって、それでも自由を生きるのには十分なので、復讐のようにひょうひょうと暮らす。そもそも売り出すためにつくられていないものに値段をつけられることにも慣れた頃、心とからだを同時に値切られたとき怒りはどこへ向かうのが正しい?誰も悪くないなんて笑わせないで。きっと誰もがほんのすこしずつわるいのだ。だから私絶対にわたしを値切らないでいる美しいあなたと何処までもいく方法だけを考えよう。時は、さらさら流れて今にも私たちを取りこぼすだろう。最低限の居場所を守るのにも最大限をこなさなきゃいけないなんて本当に嫌になるね。だから私がここを守るよ。そんな気持ちも、しばらく忘れていた。愛されて幸せなままで私も自分のために生きていけるのだと勘違いしかけていた。始めの頃の気持ちに還ろう、わたしたち、わたしたち以外の誰にも価値なんてわからない、本当の喜びだけを持ってここにいる。初恋のよろこび、気の合う友だちとゆく夕暮れの通学路のよろこび、洗濯物を干したあと居眠りにつくよろこびよ。誰だってそうだね、最低限、ここにいていい権利をもらうために毎日全部を賭さなきゃいけない。そんな生き方もう嫌だよ、って駄々をこねて甘い夢を見るのにもそろそろ飽きてきたから、賭け事でもまあ、いいか。きみと生きていける明日ならばなんだっていいです、きみが思うよりも私はずっと、私のことがよくわからないというひとにとって、信じがたいほどに無価値なのだから、その裁きが間違いだって解らせて、そして、誰の傘下にも入らずに行こう。わたしたちにしかできない勝ち方をしよう。

そう、深呼吸する2019年、始まりです。絶対に大丈夫。


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