「ラジオ体操」は五輪レガシーだって小池知事が言ってますけど、そんな訳ありません

 今の都政では、小池知事に言われれば、都庁職員は文句一つ言わずに何でもやります、やらされます。
 例えば・・・・。
 8月25日月曜日、都庁舎にラジオ体操第一の音楽が流れました。勤務中の職員はしばし仕事の手を止めて立ち上がりリズムに乗って体を動かしまていした。
 その様子を映し出すニュース映像を見ると、体操をする職員一人ひとりから、やらされてる感、イヤイヤ感がひしひしと伝わってきます。「なんでこなこと、やらなきゃいけないの?」というアホらしさが全身からほとばしるラジオ体操。見ていて悲哀すら感じてしまいました。

 しかもラジオ体操第一の曲を演奏したのが東京都交響楽団だというのですから豪華ですよね、さすが東京都庁。フルオーケストラ演奏のラジオ体操、それはそれでレアではありますが、話題づくりのためだけに都響を引っ張り出すのは、ちょっと邪道なのではないでしょうか。これに費やすマンパワーと時間があるなら、もっと別のことに使っていただきたい。

 そもそも小池知事は五輪前からラジオ体操にご執心でした。五輪機運を盛り上げようと、様々なラジオ体操動画を作成してUP。筆者も現役時代最後のほうでのラジオ体操を強制されたひとりです。午後2時になると庁内放送のスピーカーから音楽が流れ出すと同時に、ラジオ体操をしないといけない雰囲気が職場全体に流れていました。同調圧力による強制的なラジオ体操を小池知事は職員に求めていたのです。 

 小池知事の言い分によれば、運動をすることも1年前に無観客で行われたオリパラのレガシーのひとつなのだそうです。そりゃいくらなんでもピンボケすぎませんか。五輪を契機に国民が体を動かすことの喜びを見出しただなんて、何十年前の話をしているのですか。
 第一、ラジオ体操は戦前に普及・定着した日本独自の国民的な健康増進文化です。それを東京五輪と無理矢理結びつけて、レガシー、レガシーと騒ぎ立てるのはホント止めていただきたい。ラジオ体操に失礼だと思います。(戦前のラジオ体操に、国家総動員体制につながる側面があったことは十分承知の上で申し上げています。)

 それにしても、やらされてる職員も少しは声を上げるべきですよ。いや、やる気のない職員の姿こそがせめてもの抵抗の証なのかも知れませんね。都庁OBとして、そう信じたいと思います。

 蛇足ながら・・・・。
 ラジオ体操をする職員のニュース映像で感じた違和感がもうひとつあります。フロア全体に林立する職員達、撮影の演出のために他のフロアなどからかき集められた側面はあるとはいえ、それにしても体操をするには密すぎる職員の数。
 小池さんに言わせれば、テレワーク、リモートワークも五輪の大きなレガシーだったはずです。テレワーク2割3割のスローガンはどこに行ったのか。コロナ拡大第7波のまっただ中、都庁はどうやらテレワークを忘れて出勤メインの働き方に逆戻りしてしまったようです。
 小池知事にとってはラジオ体操もテレワークも、所詮、目先の話題性を盛り上げるための道具の一つに過ぎないのです。

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