一冊では生きていない本たち

ときどき、本屋で棚に並んでいる本たちを、隅から隅まで本を凝視してしまうときがある。

なんか、ジロジロ見ちゃう。
もちろん欲しい本が出てくる。
他の本も気になる。
もう一周店内を回遊する。
店員さんと話す。
帰り際に、また面白そうな本が目に入ってしまう。
「あ〜、これも欲しいなあ」となる。

みたいな具合。
最近、個人が経営している独立系書店をたくさん訪れたが、その時の経験がこんなだった風に思う。

「街を変える小さな店」という堀部篤史さん本に出てくる言葉の受け売りだけど

本ていうのは生活の糧であり、生き物ですからね、魂を持っている。
一冊だけポツンとあったんではダメです。関連させて初めて生きてくる。

宍戸恭一の言葉

ということを、肌で感じた。

大手書店では、実用的なカテゴライズ・選書になっている気がして、味気ない地図を見ている気分になるが、独立系書店では、何かが触発される。

人の重みが宿っているというか、その人のステートメントを見ている気分になる。ギャラリー/展示に近い。
欲しい本が特になくても定期的にまた行ってみたいなと思う。

陳列にあたり、どの本を選び、どこにどうやって置くのか。
薄利な商売でも命がけでやっているのだと思うと、頭が上がらない。

そうやって店主さんが編集して並べたからこそ、手にとって見ようかなと思った本もたくさんあったのだろうなと思う。
店主さんなりに、関連させて並べられているからこそ生きている本たち。
気がつくと、自分が普段興味を持たない本にも手が伸びている。

そんなようなことを感じた日には絶対その本屋で本を何冊か買ってしまう。
メルカリで売ろうなんて微塵も思わない大切な本になっている。

本屋さん、ありがとう!

◯special thanks to 最近行った本屋さん
・ポルベニールブックストア
・恵文社一乗寺店
・誠光社
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