ならまちカフェ巡り:鹿鳴コーヒー
愛らしい鹿がトレードマークの暖簾。まさに奈良のコーヒー屋さん、と言った面持ちである。
ここは鹿鳴コーヒー。近鉄奈良駅の改札を出てすぐのところにあるカフェだ。
以前から気になってはいたものの、コーヒーを楽しむためかカフェメニューの印象が薄く、紅茶派である私にはなんだか入りにくかった。なんだってこのお店はコーヒーが売りなのだ。
外観は全面窓ガラスで、手前はちょっとしたコーヒーショップ。誰にでも開かれていてとてもオープンなのだが、あくまで個人的に足が遠のいてしまっていた。
・Shop
実際行ってみたところ、もっと早くに来ていればよかった!と悔やんでしまった。なんていいお店なのだろう。
雰囲気も、カフェの椅子も店員さんも。全てが好きだった。
店に入ってすぐ右にオーダーをする場所がある。
いつものごとく、店員さんに「おすすめはなんですか?」と聞いてお勧めしてくださったカフェラテを頼む。コーヒーだけでなく、カフェメニューも注文する。
ここでメニューに悩む。ショーウィンドウの商品は洗礼された雰囲気を醸し出し、どれも美味しいですよ、と私に訴えかけてくる。
実を言うと、ここのクロワッサンだけは食べたことがあるのだ。ふわふわで、外側はパリッとしている。パイのような綺麗な層を重ねるあのクロワッサン───まさに極上の美。
とはいえ新しいものに挑戦してみたい気持ちを捨てきれない私は、シトロンらを横目に見つつ、フレンチクロワッサンなるものを頼んだ。この時間に残っているのは珍しいらしい。
・気になるお味は!!
そもそもクロワッサンにフレンチ?と、疑問を持つだろう。私も初めは名前を気にしていなかったせいでびっくりした。フレンチトーストである。食感が、切ったその感触がフレンチトーストなのである。
ついてきたシロップを余すことなく、フレンチクロワッサンにたっぷりかける。
フレンチトースト特有の口の中で解ける甘さ、牛乳のめぐみ。にもかかわらず、外側のパリッとしたクロワッサンが全体の調子を整えてくれる。たっぷりもったりとしたフレンチトーストではなく、どこかお上品な紳士風の装い。そのギャップにやられてしまった。柔らかいフレンチトーストと、クロワッサンの上の生地の絶妙な砂糖のほろ苦さがマッチする。これを美味しいと言わずになんと呼ぶのだろう?
・フレンチクロワッサン、コーヒーと出会う
たびたび紅茶派であることを匂わせている私だが、なんとこの日面白いことが起こった。フレンチトーストの甘さとコーヒーを飲んでいると、コーヒーが美味しく感じたのである。
何を当たり前のことを言っているのだろう。フレンチクロワッサンとの飲み合わせはさておき、ここのコーヒーは美味しかった。本当に。形容する言葉を書けないのがもどかしい。
・カフェでのおしゃべり
食べながら、初めて会う先輩の話を聞いていた。普段は軽く流すのに、一言も聞き漏らすまい、と必死になって聴いていた。なぜだろう。なぜかしら。
・また今度
帰り際、お土産に大仏プリンを持って帰ってもらうことにした。通販で購入したことがあるほど好きだ、という話を会話の中で聞いていたから。
なんだかんだ、みんな大仏プリンが好きらしい。
以来、大仏プリンを売っているお店を見かけるとついつい寄り道をしてしまう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?