ラジオドラマ脚本 009

タイトル「交換買取致します。」

悟（４５歳）
道子（２３歳）

ＳＥ　大都会の喧噪

道子（Ｍ）夢の中で、愛を買取られたんだけど？

道子「本当に、買い取れるの？」
悟「愛を買い取ります。貴方のいらない愛をすべ
      て、買取致します」
道子「売れるなら‥」
悟「赤いワンピースの君？」
道子「なに？」
悟「ねぇ、きみ、愛を売ってみる気はないかい。
      きみの愛は、高値がつきそうな気がするんだ。
      僕の目は確かだよ。」
道子「人に分け与えるほどの愛はありません」
悟「言い値で買うよ」
道子「いえ、本当に売れるほど、愛はあふれてい
          ません。逆に私が買いたいくらいくらいです」

道子（Ｍ）今は、私自身の愛が信じられないんだ。
　 それを買取りたいって言ってるこの人は何者？

悟（Ｍ）彼女の中にある愛を買い取る事出来たら、
   僕の役目も終わりだ。
　　　　　
悟「俺は、どうなるんだ？」

ＳＥ　女性の叫び声

悟「あれ？」
道子「誰か来て下さい！」

悟（Ｍ）この娘の愛を買い取る事が出来なかった。
   記憶が遠ざかる。

道子「この場で、私が貴方の愛を買い取ります。」
悟「何を言ってるんだ。愛の買い取りは、僕の仕
      事だ。」
道子「もう、あなたの役目は終了」
　　　　
道子（Ｍ）彼の仕事は、愛を買い取る事、自分の
      愛を買い取る事が最後の使命。昨日の夢の通り。
      私が後を継いだ、愛を買いにいきます。貴方の
     ところまで。

【完】

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