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社会的処方を制度にするのか、文化にするのか?~私が文化にするにこだわる理由

社会的処方研究所を立ち上げて、日本に社会的処方を広めていくための活動を始めてから1年半が過ぎました。
野帳~Field Noteを作成して地域でのResearch、関心のある皆さんを集めての月1度のFactory、そして今年はスタッフ(れーちゃん)を視察のためにイギリスに派遣することもできました。私自身、2年前とは社会的処方そのものに対してもそうですし、社会に対する見方が大きく変わりました。

元々社会的処方研究所は3か年計画でしたので、いま第1期の折り返し地点に来たことになります。
来年1月には社会的処方研究所から本も出版され、それを機に世の中に社会的処方の仕組みを広めていくための活動を加速させていきます。

そこでひとつ考えなければならないことは「社会的処方を制度にするのか、文化にするのか」という課題です。
社会的処方が必要な人と、地域資源とをマッチングする「リンクワーカー」という職種がイギリスにはありますが、これは国やコミュニティの仕組みの中で制度化されています。こういった専門職を日本の中でも養成して、各地域に設置していくというのが「制度にする」ということ。
それに対し、住民一人一人が社会的処方について知り、自ら「リンクワーカー的に」動き出していくような社会を作っていくというのが「文化にする」ということ。
詳しいことは書籍の中で書いていますが、制度にすることの良さは、制度化自体がそんなに難しいことではなく、短期的な効果が望めるといったことがあります。それに対し、文化にするのは、地域に理念が浸透するまでに時間と工夫が必要で、労力が大きい割に目に見える変化がわかりにくいという面があります。
ただ、それでも私が「文化にすること」にこだわる理由を、言葉にしてみたいと思います。

※この先は有料コンテンツとなりますが、この文章は社会的処方研究所オンラインコミュニティにて公開されているものです。ご興味のある方はリンク先からお申込みください。
※12月に、国や学者などの見解を踏まえて結論を追記する予定です。購入者へは通知が届きます。
→2019/12/22、有識者や国の方々の意見を追記しました!

これまでも日本は「制度にしていく」ことで多くの失敗をしてきた

海外で実施されている良い取り組みを、日本に取り入れていこうという活動は、社会的処方に限らず、これまでもたくさんありました。
しかし一方で、海外でその取り組みが生まれて、発展してきた歴史や文脈を考慮せず、単にその結果だけを日本に取り入れたことで、本質が喪われてしまった例も多いのです。

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