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だから僕は練習する 天才たちに近づくための挑戦

ダイヤモンドオンラインのサイトで「練習について僕が思うこと」として連載していたときからすごくいい内容だなと思って読んでいたので、今回書籍になってものすごく嬉しい。ということで感想とか。

何度か書いているけれど和田毅はわたしが世界でいちばん好きな野球選手で、人物としても尊敬している。まず顔がいいし。こんなにもお顔が素晴らしく男前で整っていらっしゃるのに性格も素晴らしい。

今回は顔のことは置いといて、和田さんの考え方の話。

解説にもあるけれどこの本はあくまで「野球」について書かれているけれど世の中のどんなことにも当てはめられる普遍的な考え方が書かれている。
というか「考えること」がいかに大切かという話がほとんど。
しかし「考えることが本当に正解なのか自体はわからない」とした上で「究極にどうしようも無い状態に追い詰められるまでは考えることを諦めない」とも書いている。

そしてなぜそこまで和田さんが執拗に考えるのかというと、自分にはこれといった長所がない、才能がない投手だと認めているから。
いちファンとして人生の半分以上和田毅を見てきた人間としては、そんなことない!と言いたいのだが、素人のわたしでもわかるような和田さんの野球の才能はなにかと問われると、申し訳ないことに返答に窮してしまう。

「プロ野球選手・和田毅」は人為的につくり上げた作品と和田さん自身も表現している。自分ひとりでつくり上げたものではなく、いまも専属トレーナー契約を結ぶ土橋氏と大学時代から二人三脚でつくり上げた作品だと。
本当にそうなのだと思う。
2016年、開幕前のインタビューで”「今年もちゃんと140キロ出るかな」「130前半だったらどうしよう」って不安になる。”と話していたからだ。2017年も優勝特番のハワイで内川・川島といろんな話をしていたとき、最後にちらっと「140キロ出なかったらどうしようって考えるよ」とこぼし、他のふたりから「そんな事考えてるの?しんどくない?」みたいなことを言われていた。
「プロ野球選手・和田毅」であることを失いたくないという恐怖心から考えて練習を続けているのだという話も、誇張表現ではなく本心なのだと理解できた。こんな話をしているのは、和田さんからしか聞いたことがない。

プロ野球という華やかな世界の第一線で活躍し続ける一流選手、なんてその他大勢のひとりである我々とは相容れない、次元が違うなんて感じることも多いけれど、和田さんにはそれがない。どんな話も地に足がついている。

わたしが感じる”和田毅”の他の選手とは違うところというと、ものすごく謙虚で、すさまじく負けず嫌いなところだ。プロ野球選手なんてほとんどが負けず嫌いだが、和田さんは普段が謙虚で温厚で優しい人なので、ピッチャーとしてものすごい負けず嫌いな面を見せられるとギャップでびっくりする。考えてみればこんなにギャップを感じる選手は和田さん以外にいない。(そしてそこが好き!)

和田さんは考えて練習をすることでどんどん球速が上がったという成功体験と、築き上げてきた「プロ野球選手・和田毅」という存在が失われることへの恐怖心でいまも練習へ臨んでいるとのこと。
ただ、それでも「今日はダルいな…」と感じる日はあると明言されている。個人的には和田さんレベルの人間でもそう感じることがあるのか!という驚きがあったし、それを正直に書く誠実さが好きだと思う。

自分にはこれといった才能がない、特筆するような長所もない。だけどそれを自分で認めて、受け入れている。失うものがなにもないから、素直に人の話にも耳を傾けられる。やるだけやってみて、合わないようならやめるという選択肢も持てる。
なんで才能がないのにやめないのかというと、野球が好きで楽しくてもっと上手くなりたいから。根底にそういう、ごくシンプルな感情があるから。

数え切れないほどの仮説と検証を繰り返して、たくさん失敗してここまで来た。不器用ですぐにできないから。でもそのぶん成功を再現するための正確なレシピを持っているし、人がつまずいたときのアドバイスの引き出しも多い。
去年の夏に斉藤和巳さんのトークショーでも同じような話があった。不器用な人は自分が不器用だと知っているから、できないことに対してひたすら身体に染み込むまでやり続けて一つ一つ積み重ねていくことができる。器用な人は壁にぶつかったとき、それまでどうやっていたかもわからなくなるので戻すのに時間がかかると。

和田さんの才能というのは、「考えるのをやめない」を実現できる精神力なんじゃないかなと思う。

「考え続ける」というのはすごく大変で労力を使う。けれど和田さんはやめない。野球が好きで、楽しくて、もっと続けていたい、もっと上手くなりたいから。そのためになにもない自分はなにをすればいいのか?どうすれば大好きな野球を高いレベルで続けていられるのか?を突き詰めて、突き詰め続けたから「プロ野球選手・和田毅」として18年目のシーズンを迎えている。

ふつうに生きている凡人にも「できないこと」「うまくいかないこと」は大小問わずたくさん現れる。
わたしはこれまで、些細なことができなかったりするたび「自分はだめ人間だからこんなかんたんなこともできないんだ」と思っていたが、それこそ考えることを放棄していた。「才能がないから」は思考停止なので、「じゃあどうする?」を考えるべきだった。実際それでうまくいったりできるようになったことはここ1年ちょっとでいくつもある。凡人にこそ「考えること」が必要だと身を持って実感した。

考えて実践してもうまくいかなくて、嫌になってきたときにはどうすればいいかということも、なんでそれをできるようになりたいのかを考えればいいとこの本を読んで気づいた。
和田さんは「野球が好きで楽しいから」考えて練習し、2018年の苦しいリハビリ期間も自分にコントロールできることを考えて続けていた。だから去年復活の白星をあげられて、現在も順調にキャンプで調整している。

ずばり「問題が起きたら、その手前に目を向けよう」とも書かれている、すごく大切なこと。つまづいたら、掘り下げて考えるしかない。
このページの和田さんは投球フォームの話しかしていないけれど、たとえば朝起きられないという問題を解決するならその手前、夜寝るのは問題ないのか?というところに目を向ける。そこで夜寝るのが遅いのが原因で朝が起きられないのなら、なぜ遅くなるのか?とまたその手前に目を向けていくといった具合。

去年までに書いてた自分のnoteをざっくり読み返してみると似たようなことを書いていたりするんだけど、改めて和田さんの言葉から再度気づくことができてよかった。なにかに躓いてしまった折に読み返したい御本。書籍として出してくれて本当にありがとうございます。

あとやっぱり最後に顔の話をしてしまうんだけど、本当にものすごく顔がいいんですよ・・・・・・写真が・・・・・たくさんあって・・・・・・館山さんとの対談もすごくいい・・・。

6章のあたりは完全に書き下ろしなのと、あとがきでケガから復帰したときのことを書かれてるんだけど、これも本当に泣いてしまう・・・・・。こちらこそ戻ってきてくれて、諦めずにいてくれて、また今年も選手として応援させてくれて本当にありがとう・・・・。

スポーツライターの田中さんの解説も、泣いてしまう・・・・。651日ぶりの白星がついた交流戦優勝のあとに、和田さんが田中さんと交わした言葉が・・・・・・。どんな顔でそう言ったのか、なぜかありありと思い描けてしまって、涙が止まらない・・・・・。本当に帰ってきてくれてよかった・・・・・・・・・。

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