マガジンのカバー画像

不条理短篇小説

116
現世に蔓延る号泣至上主義に対する耳毛レベルのささやかな反抗――。
運営しているクリエイター

2017年11月の記事一覧

「新語流行語全部入り小説2017」

「新語流行語全部入り小説2017」

 ある金曜の夜、営業課長の栄村富夫が取引先の社長と猛烈にインスタ映えする最高級天ぷらを食している間に、デーモン閣下の娘(魔の2回生)であり彼の妻であるポスト真実(まみ)は、毎晩のように経費で遊びほうける夫に愛想を尽かし実家(地獄)へと帰還してしまったのであった。

 この人生最悪の日について、ことあるごとに最高級天ぷらの味とともに思い出す富夫はこれを「プレミアムなフライを食べた日=プレミアムフライ

もっとみる
短篇小説「ブルーレットをおくだけで」

短篇小説「ブルーレットをおくだけで」

 そうブルーレットは、おくだけで良いのである。

 ではいったいブルーレットをおくだけで、何が起こるというのか?

 便器が綺麗になる? そんなのは当たりまえだ。

 ブルーレットをおくだけでもっと様々な変化が起こらないのなら、わざわざ『ブルーレットおくだけ』なんていう、思い切った商品名をつけるはずがないではないか。

 つまりブルーレットをおくだけで、世の中にはあらゆることが起きている。もしもあ

もっとみる