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不条理短篇小説

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現世に蔓延る号泣至上主義に対する耳毛レベルのささやかな反抗――。
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2014年6月の記事一覧

短篇小説「隣は何をする人ぞ」

学校の門前に文具屋があり、競馬場の向かいに消費者金融があり、飲食店にトイレがある。世のなか合理的にできている。

男が倒れたのは美容院の前だった。男の頭髪は燃えていた。パーマネントに失敗したのだ。失敗の方法は色々ある。

男はとりあえず、美容院の隣の店に駆け込んだ。そこは煙草屋だった。煙草屋には入口がなかったのでカウンターの窓に頭を突っ込んだ。店内すべての煙草に火がついた。火災と言っていい。

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