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マーケティング戦略|テスト・マーケティングについて

Webマーケティングについては「TANOSHIKA HP作成」サイトにも詳しく掲載しています。
今回の記事では、マーケティング戦略|テスト・マーケティングについて書いてみます。
情報元は『マーケティング戦略』 野口智雄著 です。

失敗回避のためのトライアル

新製品の市場化のためには研究開発、販売促進など多額のコストがかかります。失敗して大損害を被るリスクを回避するため、市場化の前に限定された場所で行う試し販売のことをテスト・マーケティングといいます。

テスト・マーケティング

★新製品は企業にとって血と汗の結晶であり、さまざまな思い入れがあります。しかし、実際にそれが売れるか売れないかは市場の判断に委ねられており、一種の賭けとさえいえます。
★企業内では新製品についての試用は多頻度に行われますが、実際の消費者のニーズにマッチしているかどうかは予測の域でしかありません。また、消費者の多様な利用法をすべて想定することはできず、市場化後に不備が見つかることもあります。全国販売した後でこのような事態になると、回収、賠償などの負担が発生し、企業の信頼性も低下します。
★この種の不確実性のリスクを回避するため、特に米国企業は頻繁に市場でのトライアルを行います。かつてわが国でこれが実施される場所は静岡県でした。ここは所得も日本の平均値に近く、地理的にも東西南北のほぼ中央にあるということで選ばれています。しかし現在では流行の発信地は東京であり、ここでヒットすると全国への普及度が高いので、テストの地は東京に移っています。
★ただし、テスト・マーケティングには時間と場所が必要で、悠長に行っているとタイミングを逃したり、競合企業から察知されたり、コストがかさんだりというデメリットがあります。時間、場所、コストを考えた的確な実施が不可欠です。

テスト・マーケティングの事例

ふくや

本場博多に本社を置く明太子の「ふくや」では、現地で購入するのが当たり前だった明太子をプレゼントというキャンペーンを打ちました。
月に1度のそのキャンペーンの応募者は年間で5万人に達したのです。「明太子が好き」というユーザーの声も多く届きました。
このキャンペーンは明太子がネット販売に対応できるかを確認するためのものでした。
この結果を受けて「ふくや」はさっそくインターネットでの通信販売に踏み切り、1ヵ月で1万個の受注に成功したのです。
「ふくや」のテストマーケティングは、自社商品をプレゼントするというシンプルな方法でその導入に成功したといえるのです。

レッドブル

エナジードリンクの「レッドブル」はマスマーケティングとテストマーケティングを上手く取り入れて成功しています。
TVなどで「レッドブル」の広告を目にすることが多いと思います。まず多くの消費者にその名前を認知させたのです。
その上で、不定期に宣伝カーを街中に走らせて遭遇した人に無料で「レッドブル」を試してもらうというテストマーケティングを行いました。
宣伝カーに会っただけでレッドブルが1本無料で飲めるのですから、消費者にとっても嬉しいキャンペーンでしょう。
企業側としてはただ飲んでもらうというだけでなく、その場で意見を聞けるという宣伝効果以上のメリットもあるということになります。
また「レッドブル」はターゲットとなる若者が興味を持つであろう場で、スポンサーとしてその名を広めているのです。
レッドブルの名は耳や目で消費者に認知され、広告・キャンペーン・スポンサーとして掛った費用を上回る大きな業績を残せています。

花王

花王が大切にしているのは、徹底して顧客の声を聞く姿勢です。顧客が今何を求めているのかも声を聞くことで明らかになります。
テストマーケティングに於いてもその姿勢は変わりません。花王が打ち出したテストマーケティングの代表を挙げましょう。
洗濯洗剤「アタック」
特定保健用食品「ヘルシア緑茶」
花王の主力製品である「アタック」も発売当初からの課題であった重くて嵩張るという洗濯洗剤問題に取り組んだ製品です。
従来の4分の1のサイズで、従来と同様の機能を持つ「アタック」を売り出す前に花王は入念なテストマーケティングを行いました。
地域は東京とその他の各都市とで比較し、年代についても調査されたのです。
その結果、新「アタック」は比較的若い20代~30代の世代に多く受け入れられ、東京以外の都市では浸透しにくいことが分りました。
この結果を受けて、花王では個別のプロモーションなど施策を行うことで競合他社へ対抗していったのです。
このような施策の結果「アタック」は長きにわたって洗濯洗剤シェアのトップを走るブランドに成長しています。
花王の顧客の声を聞き、マーケティングに活かす手法が成功した例といえるでしょう。
「アタック」と比べると「ヘルシア緑茶」は比較的新しい花王の主力商品です。
発売当初は緑茶で内臓脂肪を減らすという発想は珍しく、特定保健用食品ということも後押しして花王のヒット商品となっています。
この「ヘルシア緑茶」もまた、発売前にテストマーケティングを行った商品なのです。
花王は「ヘルシア緑茶」を全国的に売り出す前に、コンビニのみで販売するというテストマーケティングを行いました。
まずはサラリーマンなどターゲットとなりやすい消費者に向けてのこのマーケティングは成功して、中年層からの支持を得ました。


最後までお読みいただいて、ありがとうございました。

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