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【キャリア #2】就活・転職でやりたい仕事ってどう見つけたらいいの?

こんにちは!

今回はキャリアの第2回、前回「【キャリア #1 】就活の前提となる、今ビジネスの世界で起きていること」では、以下のような話をしました。
・世の中の変化のスピード(≒不確実性)はどんどん高まっている
・結果として、「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」「ジョブローテーション」が四位一体となった日系大企業の旧来型モデルは既に崩壊
・就活生は、「ジョブ型」で自分の専門性の旗を立てられる会社・職種を選ぶべき

今回は、「じゃあどうやって会社・職種を選んだらいいの?」という話について書こうと思います。

なぜやりたい仕事を見つける必要があるのか?

そもそも、なぜやりたい仕事を見つける必要があるのか?

これについては、「程よく働いて程よい収入でのんびり生きる」「結婚したら働くつもりはない」のであれば、見つけなくても良いと思います。
(但し、働き始めたら楽しくなってもっとやりたくなるかもしれないことや、これからの社会はこれまで以上に格差が広がり、その再生産が続く(自分の子供にも格差が引き継がれる)ことは認識しておいてほしいです)

逆に人生100年時代、60年間は働く可能性が高い中で、仕事自体にある程度やりがいを求めたり、仕事を通じて何か世の中にインパクトを残したいと思うようであれば、「やりたい仕事」を見つけることは必須だと思います。
前回記事の通り、会社任せでどうにかなる時代は終わり、自分自身でキャリアを築いていくことが必須となること、つらい時期・つらい出来事もある中で、自分のパフォーマンスを一定以上に保ち、常に高いアウトプットをめざすには、相応のエネルギー源が必要だからです。

ちなみにエネルギー源は、主に以下の3つのパターンがあると思います。
①夢:自分の長期的な夢・やりたいことに近づいている感
②楽しみ:仕事(またはその主な要素)が楽しくて楽しくてしょうがない
③自己効力感:自分の強みが発揮され、それが周囲に認識されている

やりたいことの見つけ方:「世界」×「自己」

では、やりたいことを見つけるにはどうしたらいいのでしょうか。
端的に言えば、「世界」と「自分」の2つを知ることで、かなりやりたいことはクリアになると思います。

経営戦略論で例えれば、企業の業績を5 Forcesで外部環境に求めたポーターの理論から、内的資源論(Resource Based View)として企業自身の強みに求めたバーニーが台頭してきたように、「世界」だけでも、「自分」だけでも、良い戦略は規定できないのです。

キャリアの観点で、これを非常に良く表している絵が、下記のIkigaiフレームワークです。
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(出所:Héctor García, Francesc Miralles『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』をもとに筆者作成)

日本語特有の表現である「生き甲斐」について、自分の強み、自分の好みという内面と、世界のニーズ、世界にとっての価値が重なり合う部分である、というものです。
好きを仕事でありつつ、「それで食うことができる」という両面重なる部分こそ、生き甲斐であるというのは、直感的にも理解しやすいと思います。

また、この「世界」と「自分」に掛け合わせて重要となるのが、「過去〜現在」と「未来」という時間軸の観点です。

特に就活生の皆さんと話していてよく感じるのは、所謂「自己分析」で、過去の自分を振り返ることにフォーカスし過ぎ、ということです。同時に、世界を知る一手段である「業界分析」についても、身近な業界・人気業界のイメージに縛られている印象を受けます。

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多くの皆さんは、就活をするまでに世の中の仕事や、働く際の価値観などに殆ど触れてきていない中で、その限られたサンプルをもとに判断することは極めてリスキーで、正直やりたい仕事が見つかることは稀だと思います。
逆に、仕事・価値観の幅を持った上で、「未来の自分が好きになりそう」なものは何か?を考えると、圧倒的に筋が良くなります。

また、世界の未来とは、例えば19世紀産業革命により仕事を失った馬車引きのように、世界側の今後の変化も捉えなければならない、ということで、現代で言えば自動運転、AI、SaaS、リモートワーク…などの変化が社会・企業にどんなインパクトを与えるかという観点です。

では、どのようにすれば、見えていなかった「自分の未来」や「世界」を拡充できるのか、ですが、個人的なお勧めは、「極論の妄想で仮説を立て」、「OB訪問・ニュース・書籍・講演等で検証」することです。

極論の妄想で仮説を立てる」とは、仕事を色々な側面で二項対立で区切り、妄想し、どっちが好きそうか?を自分に問いかける方法です。例えば…
・世の中幅広い人へのインパクトを感じたい(消費財マーケなど)のか、目の前の人と深く関わりインパクトを感じたい(キャリアコンサルティング、コーチ、プライベートバンカー等)のか?
・海外転勤はあるけど日本的文化で仕事(商社)がいいのか、国内勤務だけどグローバルな文化で仕事(外資)がいいのか
・(ITをやりたい、という時に)B2Bの社内システムをやりたいのか、B2Cのサービス開発をやりたいのか
・(営業の中で)大企業向けの営業がやりたいのか、中小企業向けがやりたいのか

このような極論での思考を繰り返していると、自分なりの価値判断基準が朧気に見えてくると思います。そうした価値判断基準を構造化・組み合わせると、新たな職種や業界も見えてくるはずです。

ちなみに、就活生からよく聞く2大キーワードは、「世の中にインパクトを出したい」「成長したい」ですが、これはいずれも極めて漠然としていて判断基準になりません。あらゆるビジネスは世の中にインパクト(付加価値)があるからこそ利益を創出し存在しているのであってあらゆる仕事に当てはまりますし、「成長」も、その方向性が伴わなければ意味を成しません(世の中や自分のやりたいことに無意味な方向に成長しても意味はない)。こうした漠然とした状態でなく、それを極論で良いのでどういう状態か、を具体化して妄想してみてください。

そうして出てきた仮説や切り口をもって、その職種/業界の人とOB訪問したり、類似キャリアの人の本を読むと、仮説が検証されたり、新たな切り口が出て来たりするので、一段筋の良い仮説になると思います。その新たな仮説をもとに、次の社会人と話す、本を読む…と繰り返していくのです。
特にOB訪問は、VISITS OB, Matcher, Biz reach campusなど、大学や自身のコネクションに関係なく色んな人に聞けるプラットフォームが随分増えたのでおすすめです。

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なお、よくコンサル志望の学生で、「やりたいことが分からないのでコンサルで色んな業界を見たい」という方がいますが、そんなことは時間の無駄なのでやめた方が良いです。
そもそも、「よく分からない」からといってモラトリアムの期限を延ばすようなマインドセットでは、コンサルに入ろうが何年経ってもやりたいことなど見つかりませんし、「目の前のクライアントの一大事を解き、結果に結びつけつ」ことへの情熱なしには、1人のコンサルタントとして価値を出すことすらできません。
また、コンサルで1プロジェクト 3~6か月もかけて1業界・1社のことだけ知るよりも、上記のようにさっさと考えてOB訪問で検証すれば、3日で知ることができ、その方が圧倒的に早いです。

コンサルは万能ではない?「成長」とは何か

最後に、先ほど少し触れた就活生からよく出てくるマジックワード「成長」と、これもよく出る「コンサル(ベンチャー)は成長できる」について私の考えをお話したいと思います。

私の考える、意味ある成長ができる仕事の要件は以下の通りです。

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方向性:自分が何の方向に成長したいのか?(経営者として?営業として?ファイナンス?仕事の進め方?マネジメントスキル?)がクリアでない限り、無意味な筋肉ばかり付き、中長期的な仕事の成果は付いてきません。自分は何を得たいのか?この職場でそれができるのか?がフィットしている必要があります

ケイパビリティ:1人での試行錯誤には限界があります。周囲から学ぶ、組織に蓄積され、これまでその企業を勝利させてきたノウハウから学ぶことができることは非常に重要です

フィードバックループ:いくら周りが優秀でも、雑務が多すぎて打席に立たせてもらえない、打席に立っても、その結果や今後どうすべきかが、周囲からフィードバック・アドバイスを得られなければ、短期間で成長するのは難しくなります

これをふまえて、コンサル(戦略コンサルに限って説明します)は成長できる場なのかで言えば、「方向性」さえフィットしていれば、圧倒的に成長できることは間違いないです。中にいる人材は極めて優秀ですし、そういった中でチャレンジングな仕事(打席)がどんどん与えられ、1人1人を育てるためのフィードバックループの早さも、個人的な経験から言えば事業会社の10倍はあります。
ただ、「方向性」がフィットしていなければ、分析・資料作成が速いだけのスーパー手が動くだけの人、として残念な人となってしまいますので、「経営」「戦略」「企画」「M&A」など、自分の長期的な方向性とどこが合っているのか、しっかり考えることをお勧めします。

もう一つ、ベンチャーも成長できる、とまことしやかに言われますが、一般論で言えば、「周囲の人は優秀」である一方、「組織に溜まったノウハウはほぼ皆無」であること、「人を育てることの優先順位が低くフィードバックループはいかに自分で回すかが勝負になる」傾向があると思います。

ちなみに、「研修が充実しているから」大企業が成長できそうというのもたまに聞きますが、大学の授業を1週間受けて成長できた!と思う方が仮にいるのなら、それも真かもしれません…(研修はどこまで行ってもバーチャルですし、平均レベルに一般化された話ですので、研修単体での歩留まりはイマイチだと思います)


以上、キャリア第2回、やりたい仕事の見つけ方について、私の考えをご紹介させていただきました。
分かりにくい点、今後書いて欲しいことなど、ぜひコメントいただけると助かります!では、また来週~。

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