#38 本を「出産」する
先日、仕事を愛する方たちのエッセイを書いた。
そのエッセイを投稿して15時間後、またしても「仕事を愛している」を体現している方に痺れてしまった。
それは編集者の伊皿子りり子(@lilico_i)さん。
りり子さんは、私が大好きな近藤康太郎先生の名著の編集を担当されている。つまり近藤先生と二人三脚で素敵な作品を世に放った方なのである。
事の発端は、私が所属しているWEBライターラボというコミュニティー内で開催される「近藤康太郎先生の『三行で撃つ』のオンライン読書会」だった。
近藤康太郎先生のファンである私はもちろん参加。
スケジュール帳にもしっかりマルを付けて、仕事も休みを取った。
一度読了した『三行で撃つ』だったが、今度は付箋やマーカー片手に読もうと準備をしていたところ、Xで驚きの通知が。
なんと!
りり子さんも参加なさるという異例の事態に。
そしてその喜びを私がXでポストしたところ、りり子さんからこのようなご返信をいただいた。
「もう、りり子さん、素敵すぎる!!!!!」
私はひとり寝室で叫んでいた。
手塩にかけた我が子(近藤先生の書籍)が世の中にどう旅立っているのかを見届けたい……そんな愛情がじわじわ伝わって、読書会が始まる前から私は幸せな気持ちになった。
人生、こうやって自分が携わったものに愛情を120%かけられたら、なんて幸せだろう。でもきっと、その工程はいくら好きなこととはいえ、平坦だったり、楽な道であるわけがない。
4月17日にオンラインで参加した近藤先生の『ワーク・イズ・ライフ 宇宙一チャラい仕事論』刊行記念トークイベントでそれを感じた。
りり子さんと近藤先生がこの本をつくるためにどれだけ思考を重ね、話し合ったか、をリアルタイムで聞いた。
近藤先生は、「りり子さんから『私は近藤先生のコノ部分をもっと強調した文章が欲しい!』としっかり要求された」と語っていた。
近藤先生と長い間伴走しているからこそ分かる、りり子さんの考える近藤先生の魅力。
私はお二人のやりとりに強い絆を感じた。
良いものを作りたい。その貪欲さを追求することで、つらさを忘れるのか。それって「陣痛の長い出産」みたいではないか、と感じた。
もうキツイ、これ以上は無理!となる瞬間はあっても、出産して世に出てきたら、可愛くてたまらない、という感覚。
以前、ライターの佐藤友美さん(さとゆみさん)のトークイベントで、さとゆみさんが『本を出したい』の編集をしたりり子さんの話をしていた。
「本を出すことは大海に卵を産むような感覚」とりり子さんが言っていた、と。愛情がたくさんつまった我が子のようなこの譬えが、今も心に残っている。
私は3人の子供を帝王切開で生んだから、現実的には陣痛経験がないけれども、もし将来「本」を世に産み落とす時がきたら、産んだ後もしっかり可愛がりたくなるものを作らなきゃ。
無駄にお腹をさすった。
あとがき
りり子さんは近藤先生とのやりとりを「ツライ」と感じたことはなかったそう。
りり子さんと近藤先生の深さって、たぶんご本人たちにしか100%分からない。そのことを300%書き記してくださっているのが、こちらのりり子さんのブログです。このやりとりの後にりり子さんがアップされていて、私、泣きました。