Another Story 〜思いがけない誤算〜
ディノ
最初に会った時は奴の後ろからおっかなびっくりな顔で、俺のこと見てたっけなあ。まだ少女の延長のような年齢だったが、意思の強そうな眼差しは鋭く、俺を検分しているようにも見えた。
男勝りにルカとアージェとついでにバルディに喝を飛ばしているレイラを見ながら、ディノは懐かしい記憶を探っていた。
二回目に会った時は、もう少女は奴の後ろには隠れることはなかった。堂々と俺の前に背を伸ばして立たった彼女に俺は不用意な言葉を投げつけてしまった。だか彼女はまっすぐ俺を見据えて、身につけていたドレスを破ってその決意がどれほどかを見せつけてきた。それ以来、俺は彼女から目が離せなくなった。
もしかしなくても親子ほど歳は離れてる。だがそんなものは、彼女の開かれていく人間としての開花に魅せられてどうでもよくなっていた。同じ船に乗ることになったのはその頃だ。
あれから…もう10年。誰が見ても良い女になっちまったお前が、奴に惚れてることが分かっていても。俺は傍から離れることを選択することはない。お前の存在が今の俺に必要であるから。ただ、これが好きだ惚れたって感情かはまだ定かではない。
それを分かる時まで。まだこうしてお前に必要とされていたい。
それが今の俺のお前への気持ちだ、レイラ。
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