10/18 歯医者仕様トトロ

 今日は歯医者の日。

 それにしても、やっぱり寒い。寒そうだと思って、厚手のパーカーを着て出たのに、生地を通り越して肌に触れる空気がひんやりした。もうパーカー1枚で過ごせる季節は通り過ぎたのか。いつの間に。とはいえ、まだ本気コートを着るほどでもなく。端境期。困る。

 さて、歯医者。前回までは緊張して待合室で気が遠くなったりしていたのだけれど、さすがに慣れてきて、まわりを見る余裕が出てきた。

 診察台(? 診察イス? なんて言うんだ、あの歯医者さんスペシャルなロボロボした設備は)に座ると、正面のスペースにいろんなぬいぐるみ達がいた。怖がる・嫌がる子供たちをあやす用だろう。一角に、トトロの集団がいた。トトロ好きなので、目が吸い寄せられた。子供だったら抱きつき甲斐のありそうなビッグサイズトトロから、手のりサイズトトロまで、いろんなのがいる。みんな、まんまるおめめに口は閉じている、一番よく見るスタンダードな表情のトトロだったのだけれど、1匹だけ、口が「ぅわーっ!」と開いているトトロがいた。珍しい。まんまるおめめトトロと、口がにーっと笑っているトトロはよく見るけれど、叫びトトロかぁ……。珍しいなぁ、なんて思いながらずっとそのトトロの口元あたりをぼんやりと眺めていたら、突然、ひらめいた。あのトトロ、きっと子供たちに歯の状態を説明するときに使われているに違いない! 口をあーっと開けたトトロ、白い歯がしっかり生えているトトロ、歯の裏側までしっかり見えるトトロ……。歯医者さん、小さな子供にあのトトロを掲げて、トトロの奥歯なんかを指さしながら、「きみのね、ここのところの歯が虫歯になっちゃってるからね、これから治すんだよ」なんて説明をしている、のかもしれない……! そんなことを思いついて、思いついたらもうそんなふうにしか見えなくなってしまった。口開きトトロ、あなた、歯医者仕様トトロだったのね! ……実際、どうなんだろう。そんな使われ方、しているんだろうか。単なる考えすぎ・妄想の広がり過ぎな可能性も高い。……自分の子供の頃を思い出してみると、どこかで何かが嫌で泣きじゃくったりとか、ぬいぐるみであやされたりとか、した覚えが特にない。ぬいぐるみであやされるのなんて、記憶が始まるよりもっと前、か?

 歯の治療は、トトロのぬいぐるみに気をとられている間に終わった。着々と親知らずを抜く日が近づいてきていて、怖い。

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