敢えて、演劇の未来の話をしよう

今、舞台に関する話題は暗い。

特に演劇は、クラスターだのなんだので大変な状況です。
そして、すっかりメジャーな言葉になったクラスターという言葉。今年の頭まで使った事のなかった言葉、クラスター。近所のスマホの使い方が分からないとボヤく爺さんまでが日常会話で使うクラスター。僕も皆も恐れるクラスター。諦めないでどんな時も…と唄うのはサンボマスター。できっこないをやらなくちゃ、と無理して何か催せば発生してしまうクラスター。たちまち連日ワイドショーで袋叩きにあうクラスター。世界はそれを愛とは呼ばないらしい。

こんなふざけた文を書いている僕でも日々色々考えたり悩んだりしております。

現に我々の演劇ユニット・TOMOIKEプロデュースは春の公演を延期しました。そして秋に予定していた公演も告知をする前に延期が決定して。それ以外に予定していた外部の公演も延期になったり、中止なのか延期なのか宙ぶらりんな案件もあったりで。脚本演出のお仕事真っ白のヤバい状態であります。
勿論、命あってのエンタメです。主催公演の延期は苦渋の決断だったし、でも感染対策に細心の心配りをして決行している仲間の団体さんは心から応援しています。
どちらの決断をした団体もみんな悩み苦しんでいます。SNSで演劇関係の方々の投稿を見れば、そういった悲鳴が山ほど液晶画面から飛び込んできます。

だから、敢えて希望の話をしようと思う。これから…というには、ちょびっと時間がかかるかもしれないけど。先の話をしよう。ボクらはまだ死なないし、死ねない。


きっと、この先もっと「演劇は身近な存在」になるよ。
この状況で配信をやる舞台が増えてますよね。例の感染症が落ち着いたって、この習慣は止まらない。もっともっと映像の見せ方や媒体も含めてどんどん進化していくと思う。
そうすれば近くに劇場があまりない地方の方も、劇場に足を運ぶのが様々な事情で困難な方も、もっともっと手軽に演劇を楽しんでくれるようになると思う。

きっと、もっと「世界が近くに」なるよ。
今も海外のミュージカルであったり大きな舞台が配信で観られたりします。映像配信で舞台を観ると映画感覚で観てしまうので、台詞が字幕になっていても洋画を観る感覚でスッと入ってきます。って事は、これからもっともっと海外の演劇も親しめるようになるし、そして日本の演劇を海外で楽しんでもらったりもするようになるはずです。だから、きっともっとお手軽に世界進出します!ってお芝居も沢山出てくるかもしれない。なんかワクワクしません?ボクらの作品も色んな国の人達に観て欲しいなぁ♪って欲が出てきます。

じゃあ、やっぱり「生で観たい!」ってお客様がきっと増えるよ。
人気のYouTuberを生で見たいって人達でイベントがお客様でいっぱいになったりするように。TVで人気のスターが出演するライブがチケット即完売になるように。配信で話題で、海外でも話題ですよって舞台はやっぱり生で観たくなるでしょ?例の感染症が終息したら、きっと前よりもっと劇場に皆行きたくなると思う。生で感じたいって思うようになると思う。やっぱり、人は密になりたい生き物だと思う。

ほら、演劇関係者の皆さん、演劇ファンの皆さん、どうですか?ワクワクしてきません?


夢物語ですか?結構リアルじゃないかなと勝手に僕は思ってますよ。ま、前から夢見がちだとよく怒られる僕ですが。そこは夢物語を創る仕事をしている人間なんで大目に見てくださいよ。

2014年の12月にお笑い芸人の僕は演劇ユニットを起ち上げて、五年後に本多劇場で公演をやる!と宣言をした時は、色んな演劇関係者に鼻で笑われました。

でも、それから五年一ヶ月後の2020年1月に本多劇場で公演をやりました。

微妙に目標を達成出来てないところが僕のショボいところです(笑)

だけど、目標に近い道筋を所々ブレたり横道に逸れながら走っています。
そして今、僕は本気で近い将来に海外で演劇をやってやろうと考えています。あと前から目標に掲げている映画の脚本監督をして海外のでかい映画祭の授賞式で「ぼわっふ」という持ちギャグを披露して変な空気にしてやろうと本気で企んでいます。


本気です。

だからといって、決して夢は絶対に叶うなんて青臭い事を言うつもりはない。夢が叶うなら、十代の頃にダウンタウンさんのようになると本気で思ってデビューしたのに現状なる要素が一つも見いだせない。幼稚園の頃に電車そのものになると七夕の短冊に書いた夢がもし叶ってしまったら怪奇現象過ぎてホラーだ。

でも、これは夢ではなく目標だから。

目標は達成しなければいけない。

こんな夢見がちな目標をたてる僕ですが、実際そんなにポジティブな人間ではない。達成できていない目標も多い。
現に、ここ半年はスケジュールが白紙になってしまい、その白紙のスケジュール帳にはバイトの予定が上書きされて、中止になった公演のキャンセル代に四苦八苦している。

気づいたら、子豚が作った藁の家くらいは吹き飛ばしてしまうんじゃないだろうかというくらいの深いため息をつくし。

夜にふと将来の事を考えて、えげつなく不安になったりする。
同年代で自分より成功している人の欠点を勝手に粗探しして安心しようとしたり。

でも、そんなんじゃ安心なんか出来るはずもなくて嫌になって、真夜中に近所の広めの公園に行って、がむしゃらに走ってみたり。それで思ってたより沢山走りきれなくてバテたり。

バテて座り込んでると、颯爽と走り抜けるランナーの人に急に嫉妬したり。そんな時もクラスター対策でマスク代わりに顔にタオルを巻いたりして。

やっぱり夜の隅っこに走り逃げてきてもクラスターが付いてまわる現実に再びため息をついて。
夜の公園で見る出口は暗くて、走っても中々進まなくて、苦い。

そんな悶々とした想いのまま携帯を開いても、目に映る情報の渦はネットニュースが伝えるクラスターの報道。クラスターの情報。皆が過敏なクラスター。僕自身も過敏なクラスター。近所の横文字が苦手な爺さんも口にするクラスター。頭の中でそれを反芻し続ける自分の脳内こそクラスターが発生している錯覚に覚える。

だけど、そんな情報の渦の中から仲間のSNSを見つけると、日々の生活を楽しんだり怒ったり仕事したり告知したりボヤいたりサボったり…なんだかんだ皆必死に生きている。
そして芸人仲間のラインを見ると、子供が産まれたという報告が。きっと、世界はそれを愛と呼ぶんだろうなぁ~なんて臭い事を考えながら携帯をポケットにしまう。

そういえば、仕事の連絡に返信をしてなかった事を思い出して、今送ろうか朝まで待とうか迷う。夜中に失礼かなと迷いながらも、携帯を再び取り出して文を作成しながら歩き出す。
送信を合図に携帯片手に走り出す。まだ朝まで数時間ある。夜が明ける前に走る。


きっと皆もそうなように、しんどいけどね、頑張りますよ。頑張ろうと思う。
この秋以降、来年、その先に向かって。頑張りたいなと思っています。

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