見出し画像

誰がデザインを語ってもいい。デザインはみんなのもの 。 #勝てるデザイン 座談会

デザイナーの前田高志です。

ついにあと1日……!(ドキドキ)

3月17日(水)に、僕の初めての著書『勝てるデザイン』が出版されます。

画像1


思い返せば3年前。長く一緒に仕事をしてきたライターの浜田綾さんが、「前田さんの本を出したい。」と本の企画書を書いてくれたのが始まりでした。

僕のデザインに対する考え方をnoteに書いたら大きな反響があって、「これだ!」と。幻冬舎の片野さんが、相談に乗ってくれたのおかげで本当に出版が決定。紆余曲折の末に名付けてもらったタイトルが『勝てるデザイン』です。

このタイトルを生かし、“全く新しいデザインの本”というイメージにできたのは、装丁を担当してくれた戸倉さんのおかげです。

お世話になった3人との座談会も遂に最終回。出版を目前にした今、この本がたくさんの人に届いてほしいと切に願っています。単純に売れたらいいのはもちろんだけど、もっとデザインのことを知ってもらいたいから。『勝てるデザイン』は全ての人に贈るデザインの本です。今回は、僕たちがこの本に込めた思いを語り尽くします。

画像2

【全4回に分けてお届けします】
1.「語れるテーマなんてない」と思っていた僕が、本を出版するまで。
2.タイトルは、本の印籠。見つけた答えは著者の中に。
3.カバーで多くを語るのは野暮。すべての人に送るデザインの本だから。
4.誰がデザインを語ってもいい。デザインはみんなのもの。


新しい旗印

前田:『勝てるデザイン』は、2月26日からAmazonで予約が始まったわけですが、Twitterで「予約しました!」っていうツイートしてくれる人がたくさんいて、嬉しい限りです。

画像3

前田高志
株式会社NASU、『勝てるデザイン』著者


浜田:
そうですね。エゴサーチしてると、このタイトルに対するツッコミもちらほらあります。「勝てるとかしんどい」みたいな(笑)。でもそれって、仲間内だけでなく広く届き始めているからだと思うので、いいことだと捉えています。

画像4

浜田綾
株式会社NASU、『勝てるデザイン』編集協力


片野:
ですね。タイトルもそうだけど、SNSだとこの装丁がサムネ画像として出回るじゃないですか。インパクトがすごいと改めて感じました。

画像5

片野貴司
株式会社幻冬舎、『勝てるデザイン』編集


前田:
「勝てるデザイン」「前田高志」以上! ですからね。

戸倉:「誰、前田高志って?」ってなる人もいますよね(笑)。

画像6

戸倉巌
トサカデザイン、『勝てるデザイン』装丁


片野:
幻冬舎の社内でも、まさにそういう反応でした。部数を決める会議のときに初めて装丁のお披露目をしたんですけどね。そこで言われたのが「『この人、誰?』って絶対思う」と、「ロングで売れそう」だったんです。

戸倉:おぉ〜嬉しい。まさに狙い通り。

片野:はい。これだけタイトルと著者名が大きくても、個人としての主張が激しくない。絶妙なバランスですよね。

戸倉:デザイナーで、ある程度の実績がある人でも、きっと手に取っちゃうと思いますよ。「なんだよ、この前田って!」とか思いながら、いったんチラ見しちゃうみたいな(笑)。

前田:
そのままレジに持って行ってくれたら、全然OKです(笑)。

画像7

前田:それくらい人を惹き付ける力があるタイトルであり、装丁だと思うんですよね。実は、僕の会社、NASUのホームページにも「勝てるデザイン」って言葉を入れていこうかって話をしてます。

片野:いいですね。

浜田:そうなんです。デザインやブランディングをうたう会社は世の中にたくさんあるので、その中で「“NASUならでは”の強みは何だろう?」って考えたときに、「それこそ“勝てるデザイン”だ!」ってなったんですよね。

前田:そうそう。それくらいしっくり来ているんです。片野さんと戸倉さんに、客観的に僕を見てもらって生まれたのがこのタイトルと装丁なので、すごくキャッチーだし、納得感がありますよね。僕にとっても、NASUにとっても、『勝てるデザイン』は新しい旗印になると感じてます。


みんなにとっての「初めてのデザイナー」になる

前田:この本は、最初に綾さんが企画してくれたわけだけど、そのきっかけは、僕が綾さんにとって、初めてのグラフィックデザイナーだったからなんだよね?

浜田:はい、そうです。お恥ずかしながら、「グラフィックデザイナー」という職業を知りませんでした。聞いたことはあったかもしれないけど、「なんかすごそう」という印象しか持ってなかったと思います(笑)。

画像8

浜田:ブログを書くオンラインサロンで前田さんと知り合って、前田さんの発信、それから当時私も前田さんにイラストやデザインを依頼したので、そのやりとりを通して、デザイナーさんの凄さを知りました。

例えば、『勝てるデザイン』の「デザインは文字が9割」という項目の中にも書いてありますが、デザイナーさんにとって文字の扱いってものすごく重要ですよね。

画像9

浜田:ただ、そもそも私のような人からすれば、この世の印刷物は、デザイナーさんが文字組みしていることって知らなかったんですよね。というか、文字組みの概念すらありませんでした。自動的に綺麗に配置されているものと思ってたので(笑)。でも実際はそうではない。デザイナーさんたちが、心血注いで調整しているから、美しく機能するんですよね。

前田:そう。今では綾さんもIllustratorを少し使うようになったし、文字組みができてないものを見ると「あれ?」って思うでしょ?

浜田:はい、違和感を感じるようになりました。ビジネスパーソンであれば、書類を作ったりプレゼン資料を作ることは多々あるでしょうから、そういう時にも活きるはず。ちなみに、2章に「プレゼンはラブレター」という項目もあるので、おすすめしたいです。

画像10

前田:そうだよね。だから、僕はデザイナーのことをよく知らない人にとっての、初めてのデザイナーになりたい。

デザイナーはもちろんだけど、そうじゃない人にもデザインのことをもっと知って欲しいから。というか、これも本に書いてあるけど、そもそも僕はデザイナーとそうじゃない人という分け方も好きではないんですよね。

現に僕の会社NASUでは、職種を撤廃しています。もちろん対外的に、デザイナーとかライターとか言いますが、綾さんがデザインしてもいいものができるなら、それでいいし、他のデザイナーが文章やコピーを書いていいものができるならそれでいい。



それぞれにとっての『勝てるデザイン』

前田:もっと言えば、デザインって、Illustratorを使って形作ることだけとは僕は考えていないので。

片野:この本の最後の項目「デザインはデザイナーだけのものじゃない」に書かれていることですね。

画像11

前田:そうです。デザインって小難しいことじゃないんです。今日来て行く服を選ぶとか、友達へのプレゼントを選ぶとか。それもデザイン。つまり、ある目的があって、それに対する選択肢が複数ある。その中で最適解を選ぶ行為がデザインです。そう考えたら、世の中みんなデザイナーなんだよね。

浜田:それを聞いた時、「あぁ、私もデザインしているし、私もデザインを語っていいんだな」と思いました。それが私にとっての『勝てるデザイン』です。

片野:僕にとってこの本は、やりたいことを全部試すことができた本です。商業出版って、当たり前ですがまず売ることが求められるので、やりたいことだけを優先できるわけではないんですよね。

でもこの本は、口絵のページをつけたり、年表をつけたり、その中にグラフを入れたり遊び心がたっぷりです。カバーは箔押しもしてますし。遊び心とやりたいことを全部詰め込むことができた一冊になりました。

前田:あ!そうだ。一つどうしても戸倉さんに聞きたいことがあって。『勝てるデザイン』を読んでどう思われました?  数日前に箕輪編集室のコメントで「これホント他にはない本です。でも僕が共感できるカ所は1つだけでした……。他は発見の連続です!」とコメントしてくれていて、すごく気になっています(笑)。

戸倉:ああ、あれですね(笑)。僕は一浪して武蔵野美術大学に入ったんですけど、その前は美大受験の為の予備校に通っていて。浪人生もいるし、周りにはすごいできる人がたくさんいるわけですよ。

画像12

前田:その感じ、わかります。年齢も近いだけに悔しさもありますよね。

戸倉:そうそう。でも、絶対敵わないなぁと思っていて。高校3年のときの夏期講習で、平面構成の課題が出たことがあったんです。何をつくろうか結構悩んだんだけど、ふと「これだ!」と思えるものが見えたんですよね。絶対良いものができるって確信した。でも、周りにはすごいヤツがいっぱいいる。上には上がいるんだと思って、徹夜で必死にやった。そうしたらね、その課題で、浪人生も含めて僕が一番だったんです。

前田:
へぇ〜! めちゃくちゃ良い成功体験じゃないですか。初めて聞きましたよ。

画像13

戸倉:あんまり人に話したことなかったかもね。予備校で一番になるのは大変なんだけど、小さな成功体験としてずっと心に残っていて。そうしたら、この本に書いてあった。「上には上がいる」って。読んだ瞬間、「うわぁ〜!」ってなって(笑)、そのときの記憶が蘇りました。

前田:マジっすか!?  うわぁ〜、こういうのいいなぁ!  戸倉さんが今まさにしてくれたような話を、僕はずっと聞きたかったんですよ。こういうデザインの話、デザイナーさんが考えてきたことを聞けるだけで、本を出して良かったと思います。

僕にとっては「勝てる」デザインでしたが、戸倉さんにとっての〇〇〇デザインってあるはず。それを聞きたいなって思います。

浜田:前田さんは、やっぱり人の頭の中をのぞきたいんですよね。

前田:そう。僕は、やっぱりみんなのデザインの考え方を聞きたい。もしこの本を読んで、デザインについて感じたことや考えたことがあったら、Twitterとかnoteとか何でもいいけど、ぜひシェアしてほしいな。

片野:そうやって、もっと気軽にデザインの話が飛び交うようになるといいですよね。

画像14

前田:ホントそう。誰しも、他人の考えを聞いたら「私もそう思う」とか「私は違うと思う」とか、何かしら自分の考え方が出てくるじゃないですか。『勝てるデザイン』は、個人のデザイナーが、自分のデザインの考え方を全面に出した初めての本だと思います。

だから、この本を読めば、自分の中にデザインに対する考え方があることに気付くはずなんです。この本に対しては、どんな感想を持ってくれてもいいと思っていて。もちろん褒めてくれたら嬉しいけど……(笑)。「これは違う!本当の『勝てるデザイン』はこうだ!」って考えをぶつけてきてくれてもいい。それが20代の僕が本当にやりたかったことだし。僕は、デザイン談義をみんなとしたいんです。『勝てるデザイン 前田高志』という看板を掲げた理由でもありますしね。

戸倉:そこは装丁の印象どおり、前田さんは堂々としていますよね。

前田:はい。まぁ、「勝てる」と言い切った責任もありますしね(笑)。逃げも隠れもしません。この本を通じて、デザインをちょっとでも身近に感じてもらいたいし、もっとたくさんの人とデザインについて語り合えるようになれば、僕はこの本を出せて心から良かったと思います。

浜田:もしもの話ですよ。読んで真似してみた方から、「勝てないじゃないか!」っていう感想を本当にいただいたらどうしましょう?

前田:う〜ん……それは「これから勝つから」とか「負けても勝ちだから」みたいな感じで……いけないか! やっぱり、てへぺろで勘弁してください(笑)。

一同:(笑)。

画像15



(完)


『勝てるデザイン』の予約はこちらから。


本日3月16日は、青山ブックセンター本店にて、僕が1日中お店の中にいます。『勝てるデザイン』を購入してくれた方には、サインと似顔絵を描きます。また、特製名刺もプレゼントしちゃいます。

画像16


また、19時から、刊行記念イベントを開催します。席の残りが少なってきたので、気になる方はお早めに。青山ブックセンターで待ってます。


執筆:木村涼
編集:浜田綾(NASU)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?